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ロシア連邦検察庁の捜査委員会は26日、反プーチン派の指導者で野党勢力「左派戦線」のウダリツォフ代表を騒動準備の罪で起訴した。だが、共犯の仲間2人とは違って逮捕は免れた。この異例な取り扱いに野党勢力内でも、当局側の真意を測りかねている。
ウダリツォフ代表は、昨年秋以降の反プーチン政権デモを組織した指導者の一人で、ブロガーのナバリヌイ弁護士と並ぶ有名人である。今回の起訴事実は、ウダリツォフ代表ら3人が親米国のグルジアから資金援助を受けてプーチン政権の転覆を画策したとされる。この事件ではすでに野党勢力の2人が逮捕・起訴されている。
ウダリツォフ代表は26日、当局側から呼び出しを受け、弁護士と一緒に捜査委員会の取調室に入った。代表は容疑を否認したが、起訴を告げられた。この後、代表は逮捕されると思っていたが、当局は現在地を離れず、言動を慎むとの誓約書を書かせて帰宅させた。このあと、当局は「代表が騒動準備に加わったとの十分な証拠がある」との声明を発表したが、逮捕しなかった理由についてはコメントを拒否した。
この理由についてウダリツォフ代表は「権力側は私と(逮捕された)2人を仲違いさせようとしているからだ。私の方が悪いのに、逮捕されないのはおかしいと思わせようとしているのではないか」と語った。仲間の反応を見ると、権力側の狙いは一部成功したとの見方も出ている。
さらに、ウダリツォフ代表は記者団に「権力側は私に誓約書を書かせたことで、私が抗議活動に参加する自由を奪った。彼らは今後いつでも私を逮捕できる。私はこれからも抗議運動に参加するが、最大限危険防止に努めなければならない」と述べた。代表は事実上行動の自由を制限されたことになり、権力側にとっては一定の成果につながることは間違いない。
ウダリツォフ代表は共産党左派グループに属し、反プーチン運動で頭角を現した。ナバリヌイ弁護士はどちらかというとリベラル派で、大都市で人気があるのに対し、ウダリツォフ代表は地方で圧倒的な人気を誇っている。今後運動が地方に波及するためには、ウダリツォフ代表は欠かせない人物とみられている。
政権側はプーチン大統領の就任後、反プーチン運動の指導者を締め出す作戦を展開しており、すでにナバリヌイ弁護士を7月末、国有会社から資金を盗んだ罪で起訴、女性キャスターのクセニア・サプチャクさんも脱税で検挙されている。これにウダリツォフ代表も加わったわけで、運動は今後大きな制約を受けることになりそうだ。(この項おわり)