飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

ロシアの両指導者は対照的な夏休みの過ごし方を考慮中?!

2010年07月30日 09時56分03秒 | Weblog
 もうすぐ8月。世界中の指導者が夏休みを取る季節だが、ロシアのメドベージェフ大統領とプーチン首相は今夏、どんな夏休みを過ごすのだろうか。ちょっぴり涼しくなった日に、そんなことを考えてみるのも一興か。

 そんな読者の期待に応えてくれる記事が30日付けの独立新聞(電子版)に載った。双頭体制といわれる大統領と首相のコンビがどんな計画を立てているかを紹介して、二人の性格の違いを浮き彫りにしようという記事である。

 まずメドベージェフ大統領は法律で1ヶ月以上休暇を取れるようになっているが、この期間も仕事量を落とさないようにする考えだ。つまり、夏休み期間中も会議や行事をいつも通りこなす構えだという。来年末に下院選挙、再来年春には大統領選があるので、それまで事実上休暇はないと考えているようだ。

 ただし、夏休み期間中は南部のリゾート地ソチの別荘に移り、そこで会議を開いたり、外国からの賓客を迎える予定だ。すでに8月初め、南アフリカ大統領を迎えるスケジュールが入っているほか、国内の地域の指導者たちを別荘に招いて懇談する予定。さらに、大統領は法律専門家らを呼んで懸案の司法改革の具体案作りに取り組む考えで、法律書と格闘する日々になるかも。

 一方、いまだに実権を握っているとされるプーチン首相も1ヶ月の休暇があるが、「国内できっちり休みたい」と、余裕を見せている。休養先はまだ決まっていないが、本人は北部地域と極東を候補地に挙げていて、とくにまだ行ったことのない北部を最優先に考えているという。大統領とも夏休み中に数日一緒に過ごす予定だという。

 首相はアウトドア派で、昨年夏にはツゥバ共和国を訪問、上半身裸で川釣りに興じているところを写真に撮られている。いや、むしろ筋骨隆々の写真を通信社に流させ、マッチョ振りをアピールしたかったのだろう。首相は12年の大統領選について「大統領と相談して決める」と述べているが、メドベージェフ大統領を1期でやめさせ、再立候補を目指しているとの憶測が絶えない。今年も「力強さ」をアピールする写真が配信されるかも知れない。

 今大統領は「ロシア版シリコンバレー」建設計画を推進する一方、西側との協調関係づくりに努めている。対する首相は金融危機後の経済立て直しに全力を挙げ、ようやく経済が好調局面に入ってきている。有権者から見れば、やはりプーチン首相のほうが功績を挙げていると見るだろう。大統領とすれば、近いうちに具体的な功績がほしいところだ。夏休みの「猛勉強」が秋に実るかどうか。おちおち休んでいられないというのが本音だろう。

 
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プーチン首相、帰国したロシア人スパイと愛国ソングを歌う!

2010年07月26日 11時28分51秒 | Weblog
 プーチン首相は、米国内でロシア情報機関のスパイとして逮捕・国外退去処分になったロシア人10人と面談し、一緒にソ連時代の愛国ソングを歌ったことを明らかにした。首相が外国でスパイ行為を働いた元被告と直接会うのは異例のことだ。

 26日付けのモスコー・タイムズ紙(電子版)によると、首相は24日、ウクライナのクリミヤ半島で記者団に明らかにした。10人と会った日時や場所については明かさなかったが、彼らが国外退去処分を受けモスクワに戻った9日以降とみられる。彼らは現在、ロシア対外情報局の詳しい事情聴取を受けているとされる。

 プーチン首相の話によると、首相は美人スパイと騒がれたアンナ・チャップマン元被告(28)ら10人と会い、人生について話し合った。首相は「彼らはそれぞれにふさわしい仕事を見つけられると確信している。彼らが有意義な、明るい生活を送れることは疑いない」と、第二の人生を祝福した。
 さらに、首相は彼らとカラオケではなく、生バンドで何曲か歌を歌ったと述べ、そのなかに、68年のソ連映画「盾と剣」の主題歌が含まれていたという。その映画はナチス・ドイツでロシア人スパイが活躍する姿を描いたものだ。

 もっと驚いたのは、首相が今回のスパイ事件摘発の影に裏切り者がいると明言したことだ。氏名など具体的なことは明かさなかったが、「裏切り者の最後はいつも悲惨だ。飲酒や薬物常習者としてどん底の生活を送って死ぬだろう」と言い切った。「裏切り者に復讐しないのか」との質問に対し「諜報活動はルールに従って行われており、誰もがそれを知っている」と述べるにとどまった。

 米国側も10人のスパイの動向をどうしてつかんだかを公表していない。彼らは米国に偽名を使って住み着き、職業を持ちながら情報収集活動を行っていたとされる。首相の話から推測すれば、ロシアの情報機関内部の人間か、スパイの友人かが米国側に密告したことになる。

 首相は最後に海外で諜報活動を行う難しさを詳しく述べ、彼らの努力をねぎらう口ぶりだったという。1980年代の冷戦終了間際、東ドイツにKGB中佐として派遣され、情報収集活動を行った自身の過去と重ね合わせていたのだろう。だが、首相が裏切り者の存在を公言したことから今後、何らかの措置が取られるかもしれない。このスパイ事件は、まだ幕が下りていないようだ。
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陳情に来た自然保護活動家がロシア政府庁舎前で一時拘束!

2010年07月23日 10時07分49秒 | Weblog
 モスクワのロシア政府庁舎前で22日、警官隊が陳情に来た自然保護活動家5人をいきなり拘束する事件が起きた。ロシア下院が集会を取り締まる法案を基本承認するなど、このところ基本的人権への締め付けが強化されつつある。

 モスコー・タイムズ紙の22日付け電子版などによると、同日午後2時ごろ、「ヒムキの森」保護運動を続けている約50人がモスクワ中心部のロシア政府庁舎前に現れ、プーチン首相らに面会を求めたところ、突然警官隊が襲い掛かり、ウダリツォフ代表ら5人が拘束された。その後、5人は釈放されたが、「違法な拘束だ」と抗議している。

 ヒムキの森は、モスクワ北方のシェレメーチェボ国際空港近くにある。この森はモスクワとサンクトペテルブルクを結ぶ有料自動車道の建設ルートにかかっているため、木材伐採業者が樹木の伐採を開始した。これに抗議する活動家たちがこの日、伐採された樹木の木片を持ち、政府当局者にルート変更などを陳情に来たという。参加者の1人は「我々は自分たちの住む環境を守りたいのだ」と主張している。

 有料自動車道は今年から3年計画で建設される。総延長は650㌔で、総工費は日本円で約5800億円にのぼる大規模工事だ。途中に立体交差32ヵ所、橋が85ヵ所設置される。計画路線上にヒムキの森がかかっていたため自然保護活動家らが路線変更を求めて訴訟を起こしたが、最高裁は今年4月、訴えを却下する判決を下した。

 メドベージェフ政権は3年目に入り、米国など西側との関係強化に努める一方、旧KGBの後身である連邦保安庁(FSB)の権限を強化するなど、秩序維持を強める動きがみられる。集会の自由を制限しかねない法案もその一部を構成しているとみられる。こうした法案が成立すれば、人権を軽視する警察国家の様相がますます強まりかねない。

 メドベージェフ大統領が12年の次期大統領選で再選されるために「強い指導者」のイメージを打ち出そうとしているとの見方がある。だが、そんなことをすれば西側の対ロシア観が再び悪化し、国際協調路線が台無しになってしまう。ここは是非、大統領の真意を聞きたいところだ。

 
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モスクワでも猛暑が続き、国際空港が一時ダウンする騒ぎに!

2010年07月20日 10時09分36秒 | Weblog
 夏といっても気温は滅多に30℃以上には上がらなかったモスクワで、7月に入ってから猛暑が続き、17日には最高気温が35℃を記録した。週末までには38℃まで上がるという予報も出ており、モスクワっ子はプールや川に殺到している。

 猛暑は暑さに弱い市民生活に大きな影響を与えている。20日付けのモスコー・タイムズ紙(電子版)によると、シェレメーチェボ国際空港で16日夜、荷物コンベアーとパスポートコントロールのコンピューターが突然停止した。回復するまでに2時間もかかったため、荷物引渡しや入管事務が大幅に遅れ、荷物は飛行機からターミナルまで作業員が手作業で運ぶという異例の事態になった。

 原因は電力供給が一時的にストップしたためとされる。時ならぬ猛暑で電力需要が急増しており、あちこちでこういう事故が起きているようだ。ちなみに今月2週間の電力消費量はロシア全土で昨年同期に比べ5%増えている。とくに首都モスクワを含む中心部の消費量は6・1%のアップという。

 この猛暑で飛ぶように売れているのがエアコンと扇風機だ。エアコンは暑くなり始めた6月初めから10倍もの売れ行きで、販売店の棚はたちまち空になるほどだったという。また、扇風機もモスクワとサンクトペテルブルクでは品切れになるほどの売れ行きで、とくに持ち運びできる小型扇風機は昨年7月に比べ10倍も売れているという。

 その一方で、水死者もうなぎのぼりに増えていて、6月1ヵ月間に全国で1240人にのぼった。大半が遊泳禁止場所での事故で、しかも遊泳前に飲酒した人がほとんどだったという。ロシア人の酒好きがここでも悲劇を招いている。ロシア人の大酒飲みは、死ななきゃ直らないーということか。

 
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ロシアのスパイ事件で明るみに出たソ連以来の古い手法!!

2010年07月16日 10時25分00秒 | Weblog
 ロシア人のスパイ10人が米国で摘発され、米国のスパイ4人との交換で解決した事件は、冷戦終了後もロシアがスパイを外国に派遣して情報収集を続けていたことを世界に暴露した形になった。なぜこうした古臭いやり方が行われていたのだろうか。

 ソ連時代には外国でのスパイ活動はKGB(国家保安委員会)が行っていたが、ソ連崩壊後はロシア対外情報局(SVR)が引き継いだ。情報局にはアカデミーと呼ばれる訓練所があり、ここで訓練を受けて外国に派遣される。正規の職員は不逮捕特権などがある外交官として派遣されるが、今回逮捕された10人は会社員や新聞記者の職業を持つ非正規の職員だった。いわゆる非合法のスパイである。

 ソ連当時でも、国際共産主義運動が盛んだった時代には、こうした非合法の工作員が多数海外に派遣された。だが、スターリンによる粛清があってからは縮小されたものの、続けられていた。戦後の冷戦期には、各国とも非合法工作員を海外に派遣することはほとんどなくなったというが、ロシアではなぜ、こうした伝統的手法が続いていたのか。

 13日付けのモスコー・タイムズ紙(電子版)は、「ソ連スパイのノスタルジー」とのタイトルでこの問題を解説している。それによると、冷戦時代には米ソ間でイデオロギー戦争が続いていたので、敵国のモラルを破壊する意味はあったが、現代では公開情報から隠された情報を探しても、米国の国益損失にはつながらないので意味はないと断言している。

 そのうえで同紙は、ロシア対外情報局が古い手法を捨てきれないのは、伝統的手法を維持することに誇りを持っており、これまでどこからもそれを迫られなかったからだとしている。しかし、こうした古い手法がすでに時代遅れであり、冷戦後には適切でないことは明らかだと言い切っている。

 そして同紙はこう結論付けている。冷戦時代には国民に情報機関の活動をどこまで知らせるかは情報機関自身で決められたが、今では情報活動が失敗したかどうか調査する権限も国民にある、と。

 さらにモスコー・タイムズ紙は国民にこう質問するようアピールしている。「対外情報機関はいつまで古いやり方を踏襲し、活動についてのニセ神話を維持し続けるつもりなのか?」。この質問に当局は是非答えてほしい。でも、プーチン首相はじめ、旧KGB出身者が国政を牛耳っている限り、伝統的手法を改めるのは無理なのかも。
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ロシア紙、参院選での与党・民主党の敗北を大々的に報道!

2010年07月13日 14時10分09秒 | Weblog
 ロシア各紙は13日付けの新聞(電子版)で参院選の結果を大きく取り上げ、「民主、屈辱的敗北」(コメルサント紙)、「民主、壊滅的敗北」(独立新聞)などと最大級の表現で与党・民主党の大敗を伝えている。

 ロシア紙は事前にはあまり参院選のことを取り上げなかったが、結果については大事件並みの扱いとなった。昨年の衆院選と違って参院選は直ちに政権交代につながらないからだが、今回の民主党の惨敗で日本の政治が再び不安定な状態に陥るとの懸念がロシア側に強まっているからだろう。

 その感じが強く表われているのは、各紙の見出しである。独立新聞は「日の出る国(日本)が二重権力に」と表現、一方のコメルサント紙は「日本の民主主義者には1院しか残っていない」とし、参議院が事実上野党側に奪われたという認識を示している。ともに政権運営が極めて困難になったという印象を与える見出しである。

 コメルサント紙は、今回の与党敗北で民主党が政権を失うことはないとしながらも、参議院で多数派の野党があらゆる手段を使って菅政権を妨害すれば法案の成立が難しくなるばかりか、政権のフリーハンドが失われ、外交面でも打つ手が限られてくるとみている。このためロシアとの北方領土交渉は厳しい停滞の局面に入るとの見方を示し、このことは「モスクワを喜ばせることになろう」と書いている。

 その半面、同紙は他の方面では露日関係は順調に発展しつつあり、議会の政治情勢は関係ないと指摘、一例としてサハリンの天然ガス供給問題を取り上げている。一方、独立新聞は参院選の結果、民主党崩壊のプロセスが始まる可能性もあるとし、すでに党内が動揺し始めていると指摘している。

 いずれにしろ、ロシア紙の見方は日本の新聞各紙よりやや厳しいように感じられる。日本には、当事者より局外者のほうが物事がよく分かるという意味で「岡目八目」ということわざがあるが、そういうことなのだろうか。あるいは、ソ連崩壊後、様々な経験を積んでいるロシアのジャーナリストだけに先を見通せるのかも。

 
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ロシア紙、今回のスパイ事件を「ソ連時代以来の失敗」と嘆く!

2010年07月09日 10時21分00秒 | Weblog
 米国内でロシア人10人がスパイ容疑で逮捕された事件は、米露両国が互いに拘束中のスパイを交換することで一件落着したが、ロシア紙には今回のスパイ事件で、旧ソ連以来の情報機関の評判に傷がついたと嘆く論調が出始めている。

 今回のスパイ交換はマスコミから「冷戦以来、米露間で行われる最大のスパイ交換」と注目を集めている。だが、ロシア側からすれば、CIA関連企業に機密情報を流して国家反逆罪で懲役15年の判決を受けた大物スパイを含む4人を手放す羽目になり、屈辱感が残るというのも無理からぬところがある。

 なにしろ今回米国で逮捕されたロシア人10人は、投資会社役員や旅行代理店社員など、どちらかというと素人集団であり、米国の機密情報がロシア側に流れた形跡も今のところ浮かんでこない。ロシアのスパイというと、すごいやり手を想像させるが、今回は美人女性スパイだけが話題になっていて、とてもプロの集団とは思えない状態だ。

 モスコー・タイムズ紙は8日付けの電子版で「すべての権力をロシアの失敗したインテリジェンスに」と題する寄稿文を掲載、スパイ作戦の失敗とスパイの能力低下を嘆いている。とくに、プーチン大統領時代、「すべての権力をソビエトに」ならぬ「すべての権力をスパイに」といわれるくらいスパイを増やしたのに能力が伴なわず、今回、ソ連時代から続いていた情報機関の評判に傷をつける結果になった、と皮肉たっぷりに書いている。

 今回のスパイ事件はメドベージェフ大統領が訪米し、オバマ大統領と良好な両国関係を確認してきた直後に摘発された。この背景には、ロシアとの良好な関係を喜ばない勢力があることは間違いない。その勢力の中に治安機関や情報機関の幹部がいてもおかしくはない。それだけに、普通なら公にしないかもしれないスパイもどきの事件を摘発した米側に対するロシア側の不満があることも事実だ。

 こうした流れからみて、オバマ大統領の捜査機関への監督責任は免れないだろう。このところ原油流出被害などで支持率が低下している大統領だが、せっかく「リセット」から「協調」に移っている米露関係を再び悪化させるようなことがあってはならない。また、ロシア側も冷戦時代ではないのだから、スパイをこれ以上増やすべきではない。旧ソ連流にいうなら「すべての権力を平和のために」としてほしい。


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モスクワ・国際空港に通じる街道の渋滞は緩和されたが…

2010年07月05日 10時33分03秒 | Weblog
 モスクワのシェレメーチェボ国際空港に通じる街道の交通渋滞問題は、プーチン首相が介入してようやく緩和されたが、根本的な問題は依然解決されておらず、まだまだ尾を引きそうだ。

 5日のモスコー・ニュース紙(電子版)によると、プーチン首相の叱責を受け、モスクワ市当局、モスクワ州当局、それに政府の交通省担当者が1日、緊急会議を開いて協議した結果、モスクワ市当局が通行を禁止しているレニングラード街道のうち、2車線を開放することで合意した。これを受け、市当局が2日、この事実を発表した。

 この問題は、モスクワ市当局が関係者に周知徹底せず、レニングラード街道の工事を先月26日(土)から開始、一部車線を通行禁止にしたため5キロ前後の交通渋滞が発生した。予約した国際便の出発に間に合わなかった利用客が続出する事態になったため、プーチン首相が1日の閣議でこの問題を取り上げ、イワノフ副首相に事態打開を命じていた。
 
 この渋滞で損害を受けたのは航空会社のアエロフロートだけではなかった。街道沿いにある大規模家具店イケアでは、先週の買い物客が30%ダウンしたとして訴訟を起こす構えを見せている。一方、連日数千万円の損害を出したアエロフロートでは、「モスクワ市当局が市所管のブヌークボ空港に有利になるように街道をブロックした」と怒っている。ブヌークボ空港では、3日から国際線が供用開始する予定になっていた。

 今回の渋滞劇の黒幕と目されるルシコフ・モスクワ市長は、この件に関しては今のところ沈黙を守っている。メドベージェフ政権から早期退陣を迫られているだけに、「沈黙は金なり」というところだろうか。
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モスクワの交通渋滞が、ついに政治問題に発展!?

2010年07月02日 13時42分51秒 | Weblog
 モスクワ・シェレメーチェボ国際空港に通じる道路が工事のため交通渋滞となり、国際便に乗り遅れる乗客が相次ぎ、ついにプーチン首相が事態解決に乗り出す異例の事態となっている。

 交通渋滞が起きているのは、以前から「渋滞常習道路」になっているモスクワ北方のレニングラード街道だ。先週の土曜日(26日)から鉄道と交差する地点で道路の改修工事が始まり、貨物自動車などの通行が制限されていた。ところが、この情報が、なぜか今週月曜日(28日)まで流されなかったため、日曜日(27日)から5キロ前後のひどい交通渋滞になっていた。

 問題は、この街道がモスクワ中心部とシェレメーチェボ空港をつなぐ幹線道路だということだ。この渋滞の結果、先週の土曜日に空港から国際便に乗る予定だった約1300人が航空機に乗り遅れたほか、連日千人前後の乗客が乗り遅れる事態となった。この事態にプーチン首相は1日、閣議で急遽この問題を取り上げ、「シェレメーチェボ空港から乗客が出発できないとすれば問題だ」と発言、イワノフ副首相にモスクワ市当局と協力して事態の打開に当たるよう指示した。

 この街道を使わずに国際空港へ行くには、モスクワ市内のベラルーシ駅から空港行きの急行列車に乗る方法がある。交通渋滞後、この列車も連日約1万5000人の乗客で混雑し、朝夕のラッシュ時には座れない乗客が急増している。普段の乗客は9千人程度だったというから1・7倍も増えたことになる。

交通警察では1日から交通量のモニターを開始したが、事態はいっこうに改善しそうもない。このため「小さなヘリを作って乗客を運ぶしか方法はない」と、交通警察幹部はぼやいているという。ロシア航空会社アエロフロートでは、月曜日の1日だけで70万ユーロ(約7700万円)の損害を受けており、平均すると1日約40万ユーロ(約4400万円)の損害だと話している。

 一方、今月3日からモスクワ市所管のブヌークボ空港が国際空港として供用を開始する予定で、背景には空港間の対立があるのでは、との見方も出ている。折りしもメドベージェフ政権は、18年間も市長の座を独占しているルイシコフ・モスクワ市長の退陣を迫っており、国とモスクワ市のさや当てとみる向きもある。最高検察庁もこの渋滞問題の調査を開始したと伝えられていて、とんでもない大ネズミがいぶりだされるかも、とモスクワっ子は期待している…


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