飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

プーチン大統領の“華麗な生活”を暴露する報告書作成!

2012年08月30日 16時56分24秒 | Weblog

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 反プーチン派の指導者、ネムツォフ元第一副首相らは、プーチン大統領が別荘、ヨット、高級車などを持ち、派手な生活を送っているとの報告書を作成した。大統領は昨年暮れ、年収4百万ルーブル(約1千3百万円)と公表しているが、ネムツォフ氏は「実際ははるかに多く、国民をだましている」と告発している。

 ロシアの有力紙コメルサント(電子版)によると、報告書のタイトルは「ガレー船での奴隷の生活」となっている。ガレー船は古代から地中海で使われた軍船のことで、プーチン氏自身が2期8年間の大統領生活を振り返り、「ガレー船の奴隷のように8年間、朝から晩まで全力を尽くした」(08年2月の会見)と語ったくだりを引用したものだ。

 ところが、報告書によると、プーチン氏は大統領として20もの宮殿、別荘、住居を持ち、飛行機やヨット、高級車を乗り回していると指摘。「ペルシャ湾岸諸国の君主や突飛な新興財閥と比べられるような生活をしている」と手厳しく批判している。

 とりわけ報告書では、大統領が利用している乗り物を重視。飛行機が43機、ヘリが15機、豪華客船が4隻もあるとして「大統領のミニ艦隊のようだ」と皮肉っている。さらに、メルセデスのような高級車を4台、高級時計を11個も持っていると書き、「もし贈り物なら申告しなければならない」と強調している。

 これに対し、ペスコフ大統領報道官は「何が問題なのか、今のところはっきりしない。大統領の住居や乗り物については全てを公表しており、秘密は何もない。これらは全て国家のものだ」と反論している。

 ネムツォフ氏は、モスクワ市長だったルイシコフ氏の蓄財疑惑など、これまでに与党政治家の汚職に関する報告書を何冊も発行している。だが、今回は「写真が多く、記事が少ない」「プーチン氏のイメージがそれほど損なわれることはないだろう」などと、前評判は芳しくない。

 だが、プーチン氏本人だけでなく、側近や取り巻きの汚職疑惑はこれまでも何度となく表に出ている。昨年夏にも「プーチン腐敗白書」がネット上で公開され、プーチンとその周辺の汚職疑惑が浮上した。一番有名な疑惑は、サンクトペテルブルクに失業して滞在中、共同出資して不動産協同組合を設立、湖畔の別荘地を購入した際の仲間7人がプーチン政権になってから大成功を収めていることだ。

 こうした疑惑が浮かんでは消え、また浮かぶが、いずれも捜査がきちんと行われたという話は聞かない。プーチン大統領が政権維持に汲々とし、こうした疑惑を放置するようだと、メドベージェフ政権以上に官僚・役人の汚職・腐敗が深刻化するのは必至だ。今こそ大統領は自ら姿勢を正し、国民に不信感を持たれないようにすべきだ。(この項おわり)
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プーチン大統領、民族政策で野党の積極的な協力を求める考え表明!

2012年08月26日 11時53分44秒 | Weblog

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プーチン大統領はロシアで民族主義が高揚し、民族同士の衝突が多発していることから、野党の協力を得て克服していく考えを表明した。反プーチン勢力が拡大し、国民の“プーチン離れ”が強まっているため、野党を積極的に取り込む方針とみられる。

 大統領は24日に開いた大統領付属の民族間関係評議会で演説し、この考えを明らかにした。この評議会は、大統領に就任後の6月に創設され、この日初会議が開かれた。大統領は会議の冒頭、「ロシアは米国に次いで世界で2番目の移民国家となり、民族間の問題をめぐる衝突が起きている」と述べ、移民を統合する状況を作る必要性を強調した。

 このため大統領は、民族間関係評議会に常任委員会を設置し、問題を多角的に検討する意向を示した。そして、関係閣僚を評議会に招くほか、市民社会、とりわけ野党と積極的に協力していく方針を明らかにした。そのうえで民族問題をオープンに協議するフォーラムにしたい考えだ。

 また、大統領は10年暮れにモスクワ・マネージ広場で起きたロシア系とカフカス系の民族衝突について「まず第一に、治安機関の不作為と官僚の無責任による」と指摘し、社会的な監視システムを作るため国会、地方議会などとの協力が必要だと述べた。

 ところで、コメルサント紙(電子版)は24日、6年後の次期大統領選で誰が選ばれるのか、とのレバダ・センターの世論調査結果を掲載した。それによると、プーチン大統領と答えた人は22%、メドベージェフ首相を上げた人は7%で、「第三の候補」と答えた人が49%にのぼった。約半数が2人以外の候補を考えているというショッキングな結果で、政治評論家のビノグラードフ氏は「国民がプーチン氏に飽きたため」と分析している。

 こうした国民感情を察知するのが得意なプーチン大統領だけに、なんとか野党を取り込みたいという思いがこの評議会での演説で出たのだろう。だが、形だけ取り入れようとしても、野党の協力は得られない。野党の考えにどれだけ歩み寄れるかが、3期目のプーチン大統領存続のカギではないだろうか。(この項おわり)


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プーチン政権はタンデム方式から旧共産党政治局方式に逆戻り?!

2012年08月22日 15時41分04秒 | Weblog
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第二次プーチン政権は、大統領と首相で機能を分担するタンデム(双頭政権)方式から、数人の利益代表で協議して決める旧ソ連共産党政治局方式に戻った―。ロシアで影響力のあるシンクタンクが「プーチンの大きな政府と政治局2・0」と題する報告書をまとめ、こう結論付けた。プーチン政権の現状と今後を占うものとして注目される。

この報告書は「ミンチェンコ・コンサルティング」(エフゲニー・ミンチェンコ代表)が政治・経済エリート約60人のインタビューを元に作成したもので、21日付けのコメルサント紙(電子版)に掲載された。それによると、ロシアの権力は、資源をめぐってお互いに競い合っているグループの寄合世帯であり、プーチン大統領がその調停役を務めている。ただ、大統領は唯一の指導者ではなく、いわば灯台の管理人のようなものとみている。

さらに報告書は、旧政治局員に当たる人物として、メドベージェフ首相、イワノフ大統領府長官、ボロージン同第一副長官、セーチン・ロスネフチ会長、、チェメゾフ国営会社会長、ソビャーニン・モスクワ市長、企業家のティムチェンコ氏、銀行家のコバルチュク氏の8人を上げている。メドベージェフ氏については「今春の大統領選に立候補しなかったため信用を失ったが、政権内に仲間がいて、再度中枢に戻る可能性がある」と指摘している。

しかし、このチームには、保守強硬派のセーチン・ロスネフチ会長と改革派のドボルコビッチ副首相がともにエネルギーを担当していて、2人の間で対立が生じる恐れがあるとみている。また、政権の危機が生じた場合、プーチン大統領と親しいクドリン元財務相やプロホロフ元大統領候補を重要ポストに起用する可能性があるとしている。

また、報告書では、反プーチン派の抗議行動は続くものの、エリートの大半はロシアの政治、経済は今後も安定した状態が続き、反動的、反西欧的グループが政権を握ることはありそうもないと指摘している。さらに、エリートの主要目標はロシア国内と欧米諸国の人々に対し、自分たちの財産は正当に得たものであることを示すことだとしている。

 この報告書は、すでに言われていたタンデム政権の崩壊を明確に認め、合議政治体制に移っていることを示している。カリスマ性も国民統合のシンボル性も失ったプーチン大統領は、今後何を支えに国政を運営していくのか。自らの地位を守るためだけの“延命政治”はやめてほしい。
(この項おわり)
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反プーチン・ライブを敢行した女性3人に禁錮2年の厳しい判決!

2012年08月18日 11時50分00秒 | Weblog
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 モスクワ市地区裁判所は17日、ロシアのシンボル的教会で反プーチンのライブを行なったとして逮捕・起訴されていた女性ロックバンド3人に禁錮2年(求刑・同3年)の判決を言い渡した。プーチン支持派と反プーチン派が対立した3月の大統領選直前に起きた事件で、早期釈放か、厳罰かを巡って国論が二分されていた。ロシア社会が大きな曲がり角に来ていることを象徴する出来事といえよう。

 禁錮2年の判決を言い渡されたのは、女性パンク・ロックバンド「プッシー・ライオット」(子猫の騒動の意)のメンバーで、ナジェージダ、マリア、エカテリーナの3人。2月21日、モスクワ市内の救世主キリスト大寺院でライブを行い、覆面をかぶって踊りながら「マリア様、プーチンを追放して!」と歌い、刑法213条(乱暴狼藉)違反容疑で逮捕された。3人はそのまま長期間拘留され、7月に予審が行われ、今月に入って裁判が続けられていた。

 この日、裁判所周辺には女性ロックバンドの無罪を支持する市民ら数千人が集まり、警備の警官隊と対峙した。午後2時から公判が始まり、裁判官が判決を朗読。午後6時頃、禁錮2年の判決が言い渡されると廷内から「恥を知れ!」の声が飛んだ。それに呼応して廷外でも支持者が厳罰判決を非難し、警官隊の包囲網を破ろうとして小競り合いになり、約50人が拘束された。

 同日夕、ロシア正教会が事件後、初めて公式声明を発表。国家に対し、冒とく的行為を繰り返さないよう、ロックバンドに法律の範囲内で寛大な措置をとるよう呼びかけた。教会側はこれまで捜査や裁判に悪影響を与えないよう、慎重に対応していたとされるが、首都の有名寺院で起きた事件だけに教会に災難が及ぶのを懸念していたようだ。

 判決公判を傍聴した反プーチン運動の指導者、ナバリヌイ弁護士は「3人の被告に対する制裁であり、これみよがしに裁判制度を破壊する判決だ」と厳しく批判した。また、作家のリモノフ氏は「ロシア社会を二つに分裂させる、愚かでいい加減な判決だ」と酷評した。一方、与党「統一ロシア」のチェスナコフ幹部会副書記は「判決は社会的意識と現代的なモラルに合致する妥当なもの」と評価した。判決の評価は反プーチン派とプーチン派で完全に二分された形だ。

 プーチン大統領は判決前、インタビューに答え「法律に則って厳正な判断を」と述べていたが、その結果が今回の判決なのだろう。だが、西側の見方は「表現の自由の範囲内で、これほどの厳罰に当たる行為とは言えない」で一致している。この事件でまたプーチン政権は、ロシアの異質性を世界にさらしてしまった。この判決が再び、ロシアの中流階層を刺激しないでは置かないだろう。(この項おわり)




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ロシア、ロンドン五輪の金メダル獲得数で初めてトップ3から脱落!

2012年08月13日 11時37分40秒 | Weblog
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 ロンドン五輪が12日終了し、ロシアは金メダル獲得数で米国、中国、英国に次いで4位となった。ロシアは旧ソ連を含めて五輪でトップ3から脱落したのは初めてで、国民などから不満の声が上がっている。

 ロシアのメダル獲得数は金24、銀25、銅33の計82で、北京五輪に比べ、金メダルが1個増え、全体でも9個多かった。だが金メダルの国別順位では地元・英国に次いで4位。ロシアは、なによりも世界トップ3から脱落したのがよっぽど悔しいらしく、プーチン大統領の右腕ともいわれるイワノフ大統領府長官は「失敗だった」と酷評した。

 ある世論調査によると、ロンドン五輪の結果について「満足した」と答えた人は8%足らずで、「期待はずれだった」と答えた人が38%に上った。「アスリートは全力を出し切っていない。ロシアはもはやソ連時代のような“アスリート大国”ではない」という意見さえ出た。

 その半面、銅メダルが33個と世界最多だったことから「それだけロシア・スポーツの裾野が広がっている」と評価する見方がある。他方、専門家に言わせると「チームの力がピークに届かなかったため」と、力不足を指摘する声も少なくない。


 ロシアの力が全体的に落ちたのはなぜなのか。ソ連時代にボート選手だったプロストフ氏はモスコー・ニュース紙に対し「資金不足が原因だ。多くの資金が送り先にまで届かず、途中で盗まれたためだ」と語っている。五輪チーム向けの資金が誤用されたとの報告書も出ている。

 一方、ミュトコ・スポーツ大臣は「選手は非常によくやった」と賞賛している。ただ、ボクシングなどの審判には不満で「どうしてそんなスコアが出せるのか。目が見えないのか」などと怒りをぶつけている。だが、大臣はプーチン大統領の信任が厚く、クビになることはないとみられている。

 肝心のプーチン大統領は、お得意の柔道が初めて金メダルを3個も取ったことにご満悦で、わざわざ柔道選手たちの労をねぎらったほど。大統領は五輪終了後、メダル獲得数について「北京五輪よりメダルの数が9個上回ったのだから文句なく成功だ」と選手団を称えた。

 プーチン大統領にとって今後最大の関心事は、自分が誘致した14年のソチ冬期五輪が成功裏に開催できるかどうかだろう。それに「大国ロシア」の全精力を傾けているといっても過言ではない。ここは一つ、大統領のお手並み拝見といこう。(この項おわり)


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ロシアで新党が続々誕生したが、世論の反応は歓迎一色ではない?!

2012年08月10日 17時03分26秒 | Weblog


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 昨年秋以降の反プーチン派による民主化要求運動で、ロシアでは政党の登録が簡素化され、すでに24の新党が誕生している。ソ連崩壊以来の民主化が進行中といえるが、この動きを国民はどう見ているのか。それを占う世論調査結果が10日明らかになった。国民は歓迎一色ではなく、懐疑的に受け止める人も少なくないことが浮かび上がった。

 ロシア中央選管によると、新政党はこれまでに24党新設され、計31党に膨れ上がった。以前からの政党は7党なので、この半年間にざっと4倍に増えたことになる。新政党はいずれも今秋の地方選に向けて準備を進めているが、資金面までは手が回らないのが実情。唯一つ資金が豊富な新党は「ロシア全民族同盟」で、ソ連崩壊前後から民族派の指導者だったバブーリン氏が党首を務めている。

 一方、10日付けのコメルサント紙(電子版)には、レバダ・センターによる世論調査結果が掲載されている。それによると、「新党は何人かの政治家の野心を満足するために創設された」と見ている人が22%、「新党は住民の利益を優先させることができる」とみる人が17%、「人々に現実的な選択の可能性を与える」と見ている人が15%いる。その他、「野党に投票する住民を遠ざけるため」(11%)、「政権に抵抗する有権者を分散させるため」(6%)、「民主主義の信用を失墜させるため」(3%)などと懐疑的に見ている人も少なくない。

 その半面、与党「統一ロシア」に対する国民の見方が好転していることも指摘されよう。与党は反プーチン運動が起きた当初、「詐欺師と泥棒の党」と呼ばれていたが、現在でもそうみなす人々は一時の42%から13%へ大幅に減っている。このため与党の政治家を「買収された政治家」とみなさない人々も47%に増えている。

 選挙工学研究所のスチコフ所長は「世論調査の結果は新党創立のプロセスを反映していて、ロシアの有権者は言われているほど愚かではない。政権政党に対する市民の姿勢が好転してきたのも『詐欺師と泥棒の党』というスローガンが必ずしも事実に即していないということが分かってきたためだろう」と分析している。

 「政治家の野心を満足させるため」とクールに眺めたり、「野党に投票させないため」と批判的に受け止めるなど、ロシアの有権者が新党設立ラッシュの本質をしっかり捉えていることが世論調査結果から浮かび上がった。与党への一方的批判も和らいでおり、政党設立の緩和策が民主主義への理解が広まるきっかけになったことは間違いない。(この項おわり)
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プーチン大統領は「官僚、大企業主、シロビキ寄り」との世論調査結果!

2012年08月06日 12時26分48秒 | Weblog
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 プーチン・ロシア大統領は3期目に入ってからますます官僚、大企業主、実力部隊幹部寄りになっていると考える国民が増えているとの世論調査結果が明らかになった。プーチン政権が中流層や庶民から離れてきたことを示すもので、支配層と非支配層との対立が今後一層深まるとみられる。

 この調査結果は、4日付けの有力紙コメルサント(電子版)に掲載された。その記事によると、プーチン氏が誰の利益を優先しているかとの質問に対し、シロビキ(軍や情報機関幹部)と答えた人が43%、新興財閥、銀行家、大企業家が39%、官僚が32%(いずれも複数回答)だった。これらはいずれも1年半前に比べて10ポイント前後高くなっている。

 その半面、中流層と答えた人は21%、労働者、サラリーマンは14%で、いずれも1年半前に比べ、5、6ポイント下がっている。調査したレバダ・センターのグラジダンキン副社長は「1期目のプーチン大統領は、エリツィン時代の(民主派)官僚などと対立しながら国政を運営していたが、3期目になってからは官僚や大企業の経営者に完全に取り込まれていることを示している」と分析している。

 世論調査ではまた、メドベージェフ首相についても、誰の利益を優先しているかと質問しているが、「プーチン氏の側近」と答えた人が39%に上った。首相が大統領だった1年半前は18%だったので、2倍近く増えたことになる。大統領時代はリベラル派とみられ、独自性があったものの、昨年秋、次期大統領候補を辞退し、プーチン氏を候補に推薦したことから完全にプーチン・チームの一員になったとみられている。

 この調査結果について野党の共和党・国民自由党共同代表のカシヤノフ元首相は「プーチン氏はすでに12年も権力の座にあるので、どんな人物か十分研究されている。プーチン氏を支持しているのはまさに官僚、シロビキ、新興財閥である」と語る。一方、与党「統一ロシア」のイサエフ幹部会副書記は「今は多くの人が夏期休暇に入っているが、休暇中でない人はかんしゃくを起こしているので、こういう調査結果になった」とクールな反応を示している。

 昨年秋からのロシア情勢をみていると、官僚や大企業主らの支配層とインテリや弁護士らの中流層との対立が目立っている。こうした中で、今春の大統領選で当選・復帰したプーチン氏がますます支配層寄りになっていることが世論調査で裏付けられた。秋以降、内政だけでなく、外交でも支配層対非支配層の対立が激しくなるとみられ、何かが起こる予感がする。(この項おわり)
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ロンドン五輪の柔道で金ラッシュのロシア勢。巨額の報奨金のせい!?

2012年08月01日 10時44分05秒 | Weblog
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柔道は「御家芸」と言ってきた日本だが、ロンドン五輪では男女とも不振で、金メダル獲得の目標達成は難しい情勢だ。日本とは対照的に好調なのはロシア勢で、早くも金メダル2個、銅メダル1個を獲得した。いずれも日本勢を破っての快挙だが、日本にとっては思わぬ“伏兵”にやられたというのが本音だろう。

 柔道の種目は大会2日目の28日から始まり、60キロ級の平岡拓晃選手に金メダル第1号の期待がかかったが、決勝戦で日本の期待を打ち砕いたのがロシアのガルスチャン選手。それも「技あり」の判定に異議が出され、一本に訂正された後味の悪い敗戦だった。

 30日の男子73キロ級では、中矢力選手が順調に勝ち進んだが、またもや決勝で日本の金メダルを阻んだのがロシアのイサエフ選手。この日は女子57キロ級で松本薫選手が日本初の金メダルを獲得、男子の敗戦ショックは幾分やわらいだが、日本にとっては惜しい金メダルを逃した。

 さらに、31日の男子81キロ級で中井貴裕選手は準々決勝で敗戦。敗者復活戦で勝ち上がり、3位決定戦に進んだが、ここで日本の銅メダルを阻んだのが、またしてもロシアのニフォントフ選手だった。3位決定戦の取り組みは偶然とも言えるが、3回もこうしたことが続くと「ロシア憎し」の気分が日本国内に広がらないとも限らない。

 今回のロシア勢の快進撃は、ロシア人にとっても「予想外の勝利」。なにしろ、五輪でメダルが取れたのは、アフガニスタンへの侵攻で西側がボイコットした1980年のモスクワ五輪以来というので、ロシアのメディアは連日、自国選手の快挙に舞い上がっている。柔道躍進の理由についてロシアの専門家は、招致したイタリア人コーチの指導が良かったことを上げているが、それに加えて巨額の報奨金についても触れている。

 今回のロシア政府からの報奨金は、金メダルだとなんと400万ルーブル、ドルにすると100万ドル、円に換算して約8千万円である。銀メダルで250万ルーブル、銅メダルでも170万ルーブルもらえるのだ。このほか、選手の出身地やスポンサーからも賞金や賞品が出る。ちなみに、金メダルのガルスチャン選手には外車(メルセデス)と60平方米のアパート、同じくイサエフ選手には3000万ルーブル相当が贈られるという。

 さすがにロシア国内からも「報奨金が多過ぎる」との批判が起きているが、ソ連時代の「国家丸抱え」とは違い、今の時代は選手を続けていくのは至難の技だけに、「そのぐらい払っても当然だ」と擁護する声も少なくない。日本も、金メダルが取れないと嘆く前に、アスリートをもっとサポートする方法を考えたほうがいいのではないだろうか。(この項おわり)

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