3月4日のロシア大統領選まで、あと1週間。3大世論調査機関の調査結果が出揃い、いずれもプーチン首相が1回目の投票で当選を決めるとみているが、投票率がかなり下がりそうなのが気がかりだ。これも中流層を中心に、反プーチン派が増えてきた影響といえないだろうか。
有力紙コメルサントは25日の電子版で「決選投票を回避が大勢に」との見出しで3大世論調査機関の調査結果を伝えた。つまり、いずれの調査でも、プーチン氏が1回目の投票で他候補を寄せ付けず、大差で過半数の得票を獲得するという結果である。昨年暮れには決戦投票にずれ込むかどうか微妙だったが、徐々に支持率が上がり、目標達成が迫っているといえそうだ。
世論調査の設問は「近日中に大統領選が行われた場合、誰に投票するか」というもので、プーチン氏は最も高いレバダ・センターの調査で66%、最も低い世論調査基金でも50%だった。2位はジュガーノフ共産党党首で15―9%、3位はジリノフスキー自由民主党党首で9.9―6%、4位はプロホロフ・オネクシム財閥グループ総裁で6―5%だった。
3大調査機関の中でも、より詳しい調査を行なったレバダ・センターによると、プーチン氏の当選を予測している人は80%にのぼり、そのうち1回目の投票で当選を決めるとみる人は52%で、決選投票にずれ込むと見る人は20%だった。
さらに、レバダ・センターは今回の選挙の特徴として投票率の低下を指摘している。過去の調査では投票日が迫ってくると「投票に行く」と答える人が増えるのに、今回は「投票に行かない」と答える人が増えている。昨年12月には、その割合は8%だったが、今回の調査では12%へ4ポイント上がっている。「投票に行くかどうか分からない」と答えた人も昨年暮れの18%から22%に増えている。その結果、「投票に行く」と答えた人は64%で、昨年暮れより5ポイント減っている。プーチン流の強権的支配を嫌うものの、プーチン氏に代わる候補者がいないため棄権に回るという人が増えているのではないだろうか。
この調査結果からフョードロフ全露世論調査センター代表は「プーチン氏が“全ロシア人の大統領”と言われるためには70%以上の得票率が必要だが、それが難しくなっている。そこで新大統領は多数派だけでなく、少数派の利害や価値にも応える政治を行なっていかなければならない」と話している。また、グドコフ・レバダ・センター代表は「選挙戦でプーチン氏は社会保障の分野で有権者に過大な約束をしたが、今の情勢では実現は難しい。このため今秋にも大衆の抗議行動が増えるだろう」と予測している。
世論調査が示しているのは、プーチン氏が大統領に返り咲いても、ロシアが安定に向かうとは言えないということだ。とくにフョードロフ代表が「昨年12月に社会が分裂したので、今後情勢は厳しくなる」と語っているのが気になった。これは中流層が「反プーチン」を唱える不正選挙抗議集会に多数参加したことを指している。彼らは都市部では3割前後と見られており、さらに増えていくだろう。彼らが新しいロシアを作っていくのは間違いないだけに、今後注意深く見守る必要がある。
有力紙コメルサントは25日の電子版で「決選投票を回避が大勢に」との見出しで3大世論調査機関の調査結果を伝えた。つまり、いずれの調査でも、プーチン氏が1回目の投票で他候補を寄せ付けず、大差で過半数の得票を獲得するという結果である。昨年暮れには決戦投票にずれ込むかどうか微妙だったが、徐々に支持率が上がり、目標達成が迫っているといえそうだ。
世論調査の設問は「近日中に大統領選が行われた場合、誰に投票するか」というもので、プーチン氏は最も高いレバダ・センターの調査で66%、最も低い世論調査基金でも50%だった。2位はジュガーノフ共産党党首で15―9%、3位はジリノフスキー自由民主党党首で9.9―6%、4位はプロホロフ・オネクシム財閥グループ総裁で6―5%だった。
3大調査機関の中でも、より詳しい調査を行なったレバダ・センターによると、プーチン氏の当選を予測している人は80%にのぼり、そのうち1回目の投票で当選を決めるとみる人は52%で、決選投票にずれ込むと見る人は20%だった。
さらに、レバダ・センターは今回の選挙の特徴として投票率の低下を指摘している。過去の調査では投票日が迫ってくると「投票に行く」と答える人が増えるのに、今回は「投票に行かない」と答える人が増えている。昨年12月には、その割合は8%だったが、今回の調査では12%へ4ポイント上がっている。「投票に行くかどうか分からない」と答えた人も昨年暮れの18%から22%に増えている。その結果、「投票に行く」と答えた人は64%で、昨年暮れより5ポイント減っている。プーチン流の強権的支配を嫌うものの、プーチン氏に代わる候補者がいないため棄権に回るという人が増えているのではないだろうか。
この調査結果からフョードロフ全露世論調査センター代表は「プーチン氏が“全ロシア人の大統領”と言われるためには70%以上の得票率が必要だが、それが難しくなっている。そこで新大統領は多数派だけでなく、少数派の利害や価値にも応える政治を行なっていかなければならない」と話している。また、グドコフ・レバダ・センター代表は「選挙戦でプーチン氏は社会保障の分野で有権者に過大な約束をしたが、今の情勢では実現は難しい。このため今秋にも大衆の抗議行動が増えるだろう」と予測している。
世論調査が示しているのは、プーチン氏が大統領に返り咲いても、ロシアが安定に向かうとは言えないということだ。とくにフョードロフ代表が「昨年12月に社会が分裂したので、今後情勢は厳しくなる」と語っているのが気になった。これは中流層が「反プーチン」を唱える不正選挙抗議集会に多数参加したことを指している。彼らは都市部では3割前後と見られており、さらに増えていくだろう。彼らが新しいロシアを作っていくのは間違いないだけに、今後注意深く見守る必要がある。