飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

プーチン氏、大統領選で一発当選は確実だが、気になる投票率!

2012年02月25日 15時45分07秒 | Weblog
3月4日のロシア大統領選まで、あと1週間。3大世論調査機関の調査結果が出揃い、いずれもプーチン首相が1回目の投票で当選を決めるとみているが、投票率がかなり下がりそうなのが気がかりだ。これも中流層を中心に、反プーチン派が増えてきた影響といえないだろうか。

 有力紙コメルサントは25日の電子版で「決選投票を回避が大勢に」との見出しで3大世論調査機関の調査結果を伝えた。つまり、いずれの調査でも、プーチン氏が1回目の投票で他候補を寄せ付けず、大差で過半数の得票を獲得するという結果である。昨年暮れには決戦投票にずれ込むかどうか微妙だったが、徐々に支持率が上がり、目標達成が迫っているといえそうだ。

 世論調査の設問は「近日中に大統領選が行われた場合、誰に投票するか」というもので、プーチン氏は最も高いレバダ・センターの調査で66%、最も低い世論調査基金でも50%だった。2位はジュガーノフ共産党党首で15―9%、3位はジリノフスキー自由民主党党首で9.9―6%、4位はプロホロフ・オネクシム財閥グループ総裁で6―5%だった。

 3大調査機関の中でも、より詳しい調査を行なったレバダ・センターによると、プーチン氏の当選を予測している人は80%にのぼり、そのうち1回目の投票で当選を決めるとみる人は52%で、決選投票にずれ込むと見る人は20%だった。

 さらに、レバダ・センターは今回の選挙の特徴として投票率の低下を指摘している。過去の調査では投票日が迫ってくると「投票に行く」と答える人が増えるのに、今回は「投票に行かない」と答える人が増えている。昨年12月には、その割合は8%だったが、今回の調査では12%へ4ポイント上がっている。「投票に行くかどうか分からない」と答えた人も昨年暮れの18%から22%に増えている。その結果、「投票に行く」と答えた人は64%で、昨年暮れより5ポイント減っている。プーチン流の強権的支配を嫌うものの、プーチン氏に代わる候補者がいないため棄権に回るという人が増えているのではないだろうか。

 この調査結果からフョードロフ全露世論調査センター代表は「プーチン氏が“全ロシア人の大統領”と言われるためには70%以上の得票率が必要だが、それが難しくなっている。そこで新大統領は多数派だけでなく、少数派の利害や価値にも応える政治を行なっていかなければならない」と話している。また、グドコフ・レバダ・センター代表は「選挙戦でプーチン氏は社会保障の分野で有権者に過大な約束をしたが、今の情勢では実現は難しい。このため今秋にも大衆の抗議行動が増えるだろう」と予測している。

 世論調査が示しているのは、プーチン氏が大統領に返り咲いても、ロシアが安定に向かうとは言えないということだ。とくにフョードロフ代表が「昨年12月に社会が分裂したので、今後情勢は厳しくなる」と語っているのが気になった。これは中流層が「反プーチン」を唱える不正選挙抗議集会に多数参加したことを指している。彼らは都市部では3割前後と見られており、さらに増えていくだろう。彼らが新しいロシアを作っていくのは間違いないだけに、今後注意深く見守る必要がある。




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メドベージェフ大統領の側近が大統領の首相就任辞退を進言!

2012年02月22日 11時43分48秒 | Weblog
3月4日のロシア大統領選でプーチン首相の大統領復帰が確実な情勢になっている中、メドベージェフ大統領の側近、ユルゲンス現代発展研究所長が大統領に対し、プーチン政権下での首相就任を辞退するよう進言、波紋を呼んでいる。プーチン氏は昨年秋の与党大会で大統領選への立候補を受ける際、メドベージェフ氏を首相にすると明言していた。首相を辞退すると、双頭体制継続のシナリオが根底から崩れる可能性も出てきた。

 ユルゲンス氏はメドベージェフ大統領の側近中の側近といわれ、大統領の再選を繰り返し主張してきた。今回の進言は、ブルームバーグ通信のインタビューの中で行われた。首相就任を辞退すべき理由としてユルゲンス氏は①移行期の首相にはメドベージェフ氏のライバルと言われているクドリン前副首相兼財務相が適任②政治家として自立するにはプーチン氏に指名されるのではなく、有権者に選ばれるべきだ、としている。

 ユルゲンス氏はメドベージェフ氏が「大統領として立派に国政を運営してきた」と評価しており、リベラル派の政治家として大成するためにはプーチン氏の傘の下からいったん離れ、自立する必要があることを進言したものとみられる。

 この進言に対し、政界などから様々な反応が起こっている。プーチン寄りといわれる政治評論家のパブロフスキー氏は「メドベージェフ氏が首相ポストを辞退すれば政界に悪いシグナルを与え、メドベージェフ氏に圧力がかかるかもしれない」と、影響の大きさを指摘している。また、中立系の政治評論家ナジェージン氏は「メドベージェフ氏が首相になれば国民に不人気な政策を実施しなければならず、近い将来、辞任することになるだろう」と述べ、ユルゲンス氏の進言を好意的に受け止めている。

 クドリン前副首相兼財務相はプーチン氏と個人的に親しく、08年の金融危機克服に手腕を発揮し、プーチン新政権下の首相候補の呼び声が高かった。ところが、プーチン氏がメドベージェフ氏を次期首相に指名すると発表したことからメドベージェフ氏との関係が悪化。大統領が昨年9月、軍事予算の大幅増を求めた際、クドリン氏がこれに反対したため大統領に解任された。その後も、メドベージェフ氏との確執が伝えられている。

 ユルゲンス氏の進言は、メドベージェフ氏をリベラル派の指導者として高く評価するが故に、強権主義のプーチン氏の陣営から離れるよう促したものといえる。だが、メドベージェフ氏自身はプーチン氏の傘の下から離脱してやっていく自信がないのではないだろうか。側近の心からの進言を今、メドベージェフ氏本人はどのような思いで聞いているのだろうか。

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プーチン首相の得票率、ロシア大統領選終盤の最大の焦点に!

2012年02月18日 00時30分18秒 | Weblog
 来月4日のロシア大統領選で、トップを走るプーチン首相が1回目の投票で過半数の得票率を獲得できるかどうかー。選挙戦の終盤は、この1点をめぐってプーチン陣営と野党陣営が争う展開になっている。リベラル派の中には、世論調査2位の共産党候補に投票を集中させ、決選投票に持ち込む作戦も浮上しており、ブリザード(雪あらし)のように先の見えない闘いになってきた。

 投票日まで残り2週間に迫った段階で、有力な2調査機関による世論調査結果が17日のコメルサント紙(電子版)に掲載された。それによると、プーチン候補に投票すると答えた人は54.7%(全露世論調査センター)、あるいは50%(世論調査基金)で、ともに過半数に達している。2位は共産党党首のジュガーノフ候補で9.2%あるいは9%、3位は極右・自由民主党党首のジリノフスキー候補で8%あるいは7%となっている。残る2候補は6%以下。まだ誰に投票するか決めていない、あるいは分からないと答えた人も16―17%いる。

 この調査結果から、コメルサント紙は「プーチン候補が1回目の投票で当選を決められる支持率」との見出しを付けている。だが、野党側は「プーチン候補が1回目で当選するように、という政権側の“政治的注文”に応えたものだ」とし、世論調査の信頼性に疑問を呈している。とくに共産党のオブホフ下院議員は「有力な世論調査機関は権力に依存しており、権力の利害のために働いている」と指摘、調査結果は実態を反映していないと述べている。

 筆者は20年余にわたって、ロシアの世論調査をチェックし、実務担当者にも面会して話を聞いているが、調査機関が政府の統制下にあり、世論の傾向から大きく外れた調査結果になっているとの印象は持っていない。つまり、プーチン候補が最終的に当選するのは間違いないというのは動かしがたい事実と言える。

 こうした情勢から、不正選挙抗議運動を続けているリベラル派組織「左派戦線」は、プーチン候補の第1回投票での当選を阻止するため、ジュガーノフ共産党候補に投票を集中する方針を決め、他の組織にも呼びかけている。「左派戦線」リーダーのウダリツォフ氏は「プーチン候補には1票も流さないというのが今の段階では最も重要だ。ジュガーノフ候補は決選投票に進める唯一人の候補であり、彼に投票するよう呼びかけている。プーチン候補が1回目の投票で過半数を取れなければ、実質的には我々の勝利といえる」と語っている。

 終盤で突然、熱い視線を浴びることになったのは「不動の2位」といわれてきたジュガーノフ候補だ。これまでに大統領選に3回立候補しているが、いずれも2位に終わっている。このうち、「もしかしたら当選するのでは」といわれたのは1996年、エリツィン大統領が再選を目指した選挙だった。1回目の投票では、現職の大統領に3%差に迫ったが、両候補とも過半数に届かず、決選投票に。その結果、3位以下の票がエリツィン大統領に流れ、13%の差で敗れた。今回もジュガーノフ候補はプーチン候補の対抗馬に浮上したものの、所詮は「当て馬」(有力な候補者を不利にするために立てられる候補)で終わる運命なのかもしれない。(この項終わり)
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選挙のルール無視のプーチン首相を野党側が厳しく批判!

2012年02月15日 01時22分54秒 | Weblog
 来月4日のロシア大統領選投票日まで、あと2週間余り。選挙運動のボルテージが上がる中で、プーチン首相以外の選挙陣営から首相の“テレビ電波独占”やテレビ討論会への出席拒否に批判が高まっている。民主主義の大原則である公平な選挙は、まだロシアでは実現しそうもない。

 大統領選はプーチン首相(59)、ジュガーノフ共産党党首(67)、ジリノフスキー極右・自由民主党党首(65)、プロホロフ・オネクシム財閥グループ総裁(46)、ミロノフ「公正ロシア」党首(58)の5人で争われている。世論調査によると、プーチン氏が他候補を引き離してリードしているが、1回目の投票で過半数を獲得できるかどうかは微妙な情勢。このため、プーチン陣営は政権側の支配下にある国営テレビなどを総動員して、なりふり構わぬ選挙戦を展開している。

 これに対し、他候補陣営から様々な批判が出ている。まず批判のノロシを上げたのは、下院選挙不正抗議運動を推進している民主派が設立した選挙監視グループ「有権者同盟」だ。中央選管と全国ネットの3大テレビ局宛に書簡を送り、「プーチン首相が公務を口実に各地を巡回している様子を報道するのは、明らかに特定候補への肩入れ行為だ」「プーチン首相がテレビ討論会への出席を拒否し、代理を派遣しているのは、他の候補だけでなく、有権者をも侮辱するものだ」などと手厳しく批判している。テレビ局がプーチン候補に肩入れし、公平を欠いているうえ、中央選管もそれを容認していることへの怒りが書簡に表れている。

 さらに、候補を立てている共産党、自由民主党、公正ロシアの各党も「プーチン陣営がテレビ電波を独占しており、公平な選挙ではない」などと批判の声を上げている。共産党が3大テレビなどの選挙放送を調査したところ、プーチン候補の放送時間が全体の67%を占めていたという。それに対し、ジュガーノフ候補とジリノフスキー候補はともに9%、プロホロフ候補は8%、ミロノフ候補は7%だったという。この結果についてオブホフ共産党中央委書記兼下院議員は「自由選挙の基本原則に違反しており、選挙は正当性がない」と言い切っている。

 選挙の度にメディアの公平性が問題にされるが、今回はとくに昨年暮れの下院選で不正選挙が明るみに出た直後だけに、国民の目は厳しくなっている。プーチン氏は初めて大統領に就任した2000年からメディア、とりわけ影響力の強いテレビ局への統制を強め、批判を事実上封じている。こうしたメディア統制がこれまで以上に強まれば、プーチン流強権政治への批判がさらに高まり、プーチン批判票が予想以上に増えるのではないだろうか。  (この項終わり)


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32年目の北方領土返還要求全国大会で「やる気」を見せた野田首相!

2012年02月07日 21時13分42秒 | Weblog
(北方領土返還要求全国大会で挨拶する野田首相、演壇後方に座っているのは元島民の人たち) 

 「北方領土の日」の7日、東京・新宿区の日本青年館大ホールで北方領土返還要求全国大会が開かれた。昨年は菅直人首相がメドベージェフ・ロシア大統領の国後島訪問を「許し難い暴挙」と非難し、ロシア側の怒りを買っただけに、今年は初登場の野田佳彦首相が何を言うか注目された。だが、彼が選択したのは、発言で世間を驚かすことではなく、行動で意欲を示すことだった。

 野田首相が会場に現れたのは、正午に開会して参加者全員で黙祷した直後。山中ちあき・大会実行委員長の後に登壇し、挨拶を始めた。「北方四島の帰属問題を解決するため、ロシアとの交渉を粘り強く進めていく。66年経っても未解決なのは残念だ。時間との競争ということを踏まえて、政府と国民が一丸となって取り組むことが重要だ」と、官民一体となって返還運動に取り組む意欲を強調した。

 ここまでは、歴代の首相とあまり変わらない挨拶だが、そのあと、アドリブで自民党の大島理森副総裁ら各党代表が列席していることに触れ、「すべての政党と超党派で全力を尽くすことをお願いしたい」と、持論の他党との協力路線を打ち出した。大島副総裁もこれに応えるように「北方領土問題が解決しない限り、日本の戦後は終わらないことを改めて思う。交渉は強くなくてはいけない。野田総理は強い交渉力で当たってもらいたい。戦後66年もの間、解決しないのは我々の責任でもある」と、自民党の責任問題にまで言及して野田首相を後押しした。

 さらに、野田首相を得意の弁論で持ち上げたのは、あの鈴木宗男・新党大地代表だ。「私はこの大会にずっと出ているが、いつも首相は挨拶すると大会の途中で帰ってしまう。だが、野田首相は1時間以上も席に座っている。これだけでも野田首相の意欲を示している。領土問題は日露双方の最高指導者の決断にかかっている。大いに期待しようではありませんか」。このヨイショに会場からも拍手が起こった。実際、首相は約1時間半続いた大会の最後まで会場に残って参加者の意見を聞いていた。私もここ4年間、毎年参加しているが、最後まで会場に残った首相は彼一人だった。

 鈴木氏は勢いに乗ってさらにこう続けた。「11年前、私は(領土問題で)2島先行返還論を主張したと言われ、袋叩きにあった。だが、その後の流れを見ても明らかなように、四島一括返還を叫んでもロシアは乗ってこない。交渉には相手があるので、現実的な判断をするしかない。今日の首相を見て、日露関係は動くという確信をもった」と大声を張り上げ、改めて持論を展開した。ここでも拍手が起こったのは言うまでもない。

 今年は雨が降る悪天候の大会だったが、例年になく活気があり、内容のある大会だった。意見発表者の多くが「領土問題は国民の主権の問題だ」と強調していたのが印象に残った。中でも、富山県黒部市から参加した中学生が、市内に住む元島民から「北方領土出前講座」を受けて勉強していると語っていたことに感銘を受けた。北方領土問題の風化が叫ばれて久しいが、野田首相もこういう中学生がいることを知り、勇気づけられたに違いない。その野田首相の「やる気」にこれから注目していきたい。(この項終わり)

 

 
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厳寒のモスクワでプーチン派、反プーチン派合わせて約20万人が集会・デモ!!

2012年02月05日 12時01分14秒 | Weblog
 4日のモスクワは氷点下20度のマロース(厳寒)。だが、クレムリン周辺の4ヵ所でプーチン派、反プーチン派の集会・デモが行われ、20年前のソ連崩壊以来の熱気に包まれた。参加人数は主催者側、警察側によって大きく分かれているが、主催者発表を信じれば優に20万人を超す。3月4日の大統領選を1ヵ月後に控え、早くも「政治の季節」“全開”といえそうだ。

 まず4ヵ所の集会・デモを整理すると、リベラル派の野党が開いたボロトナヤ広場には反プーチン派の市民が参加。この数は警察発表で3万5千人、主催者発表で12万人となる。ソ連崩壊後、最大規模の集会と言われた昨年12月24日の参加者は警察発表で3万人だったので、今回はそれを上回ったことは明らかだ。

 愛国主義勢力が集会を開いた戦勝公園には、プーチン支持派が参加した。こちらはなぜか、警察発表の数字しかないが、それによると13万8千人という。ロシアの有力紙ベドモスチの記者によると、少なくとも10万人は参加したと報告している。

 そのほか、反プーチン派の野党グループが開いた集会に主催者側発表で3万人、極右の自由民主党が開いた集会にも約1500人が参加したとされる。4つの集会参加者を単純に足すと、17万人から20万人以上が参加したことになる。人口900万人といわれるモスクワ市民の50人に1人が参加した計算だ。

 だが、この数字に騙されてはいけない。少なくともプーチン派の集会参加者の中には政府系企業などから動員されたり、金をもらって参加した人が多数含まれていた。ベドモスチ紙によると、集会が始まる30分前、会場前に約10台のバスが到着し、降りてきた人々が集会に参加した。そのバスには政府系石油企業「ロスネフチ」の名前が書いてあった。また、同紙記者が集会参加者に「なぜ参加したのか」と聞いたところ、「小遣い稼ぎだ」「1000ルーブルもらい、酒も振舞われた」などの答えが返ってきたという。

 反プーチン派でも参加者が前回より増えていて、指導者の1人、ルシコフ氏は「不正選挙に抗議する人たちのエネルギーはますます高まっている」と強調している。次回の集会は大統領選直前の26日に開く予定だが、ルシコフ氏は「選挙後の3月11日にも大規模集会を開くことになろう。なぜなら、選挙では大規模な不正が行われるからだ」と予言している。

 プーチン首相の大統領返り咲きは世論調査で見る限りは間違いないと思われる。だが、1回目の投票で過半数の得票を獲得、当選を決めるかどうかは世論調査によって分かれている。プーチン陣営は1回目の投票での当選に威信をかけており、プーチン派と反プーチン派のせめぎあいは大統領選投票日直前まで続きそうだ。(終わり)                      


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ロシア下院選の不正選挙抗議集会をめぐる路線対立が顕在化!

2012年02月03日 17時15分32秒 | Weblog
 ロシア下院選の不正に抗議する大規模集会は4日、モスクワなど全国で開かれるが、それを前に今後の運動をめぐって路線対立が浮き彫りになってきた。あくまで選挙のやり直しを要求するのか、それとも選挙制度改革でホコを収めるかの対立で、4日の状況によっては今後運動が分裂する可能性もある。

 ロシアのコメルサント紙やモスコー・タイムズ紙によると、この路線対立は1日、モスクワで開かれた抗議集会に関する討論会で明るみに出た。討論会には、抗議集会の主催者のひとりで野党指導者のルシコフ氏ら、それにシャンパン製造業のオーナー、チトフ氏が実業界を代表して参加した。この中で、選挙制度改革を求めるチトフ氏は「大規模集会での不明瞭なスローガンに実業界は心配している。市民運動は政治的な不安定化を招くような言動をすべきではない。指導者はもっと現実的に、慎重に対応すべきだ」と批判した。

 これに対し、ルシコフ氏は集会で採択された①政治犯全員の釈放②下院選挙のやり直し③中央選管委員長の解任④政党への規制を緩和する新法、の4つの決議について「いずれも現実的で実現可能だ」と反論したが、チトフ氏は「中央選管委員長の解任以外は過激で政権側に受け入れられない」と強調、要求を再検討するよう主張した。

 また、ルシコフ氏はモスクワの人口の約60%が中間層だと説明し、「中間層の人たちは流血や暴力には向かわない」と断言、チトフ氏が懸念する治安当局との衝突の事態は起こらないことを強調した。これに対してもチトフ氏は「ロシアの中間層は15%前後で、しかもその数は減っている」と反論するなど、議論は平行線に終わった。

 制度改革についてはすでにメドベージェフ大統領ら政権側が改革案を作成、下院に提出している。この中で、不評を買っている州知事、地方首長の大統領任命制を公選制に改め、政党の登録要件を簡素化することなどを盛り込んでいる。だが、下院選挙のやり直しについては頑として認めず、野党との最大の対立点となっている。

 実業界やビジネスマンの間では、これ以上運動を続けても成果が得られない上、3月4日の大統領選が迫っていることから厭戦気分が強まっているようだ。一方では、下院の再選挙を要求して徹底抗戦を主張しているグループも多い。このため、2月4日の抗議集会にどれだけ参加者が集まるかが最大の焦点だ。この日は、極右の自由民主党なども集会を計画しており、大統領選の行方を占う集会になりそうだ。
                                                          (終わり)


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