プーチン・ロシア大統領は3月の大統領選で通算5選を達成し、今後6年間、大統領の地位を維持できる態勢ができた。だが、後継者が育っていないうえ、ロシアでは高齢の71歳だけに、先行きへの不安も指摘されている。このため、プーチン大統領は今夏にもウクライナへ大規模攻勢を仕掛けるとの見方が出ている。
プーチン氏はロシア初代大統領であるエリツィン氏の推薦で2004年3月、大統領選に立候補して圧勝、2代目大統領に就任した。平和的な政権交代は、ロシア史上、初めてといわれている。当初は前大統領の方針を踏襲して民主的な政策を実行していたが、その後、暴力と恐怖で押さえ込むソ連時代のスターリン流統治に変化している。
特に近年は、プーチン氏を批判する政敵が謀殺される事件が相次いでいる。中でも、リベラル派の旗手だったネムツォフ元副首相や、傭兵部隊ワグネルの指導者プリコジン氏殺害の背後には政権側の影が感じられる。国民も混乱を恐れ、強い指導者を求める傾向が強いため、プーチン氏の抑圧指導体制が今後も続くと見られる。
一方、西欧諸国はロシアを恐れる余り、NATO( 北大西洋条約機構)に結集する傾向が強まった。これまで一貫して中立の立場をとっていたフィンランドとスウェーデンのNATO加盟が決まり、バルト海に面する国はロシア以外、全てNATOの勢力圏となった。対するロシアは中国との連携を強化して、西欧側に対抗しようとしている。
中でもロシアは、ウクライナとベラルーシを生命線とみなし、両国がNATOへ加盟すれば、ロシアは存亡の危機に追い込まれると恐れている。そこでプーチン政権は今夏にも先手をとって、ウクライナへ大規模攻勢を仕掛けるとの見方が浮上している。そうなると、ロシア・中国の連合軍と西欧諸国との総力戦になる恐れもある。それこそ、第三次世界大戦に直結しないとも限らない。(この項終わり)
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