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プーチン大統領就任前夜の昨年5月6日、モスクワのボロトナヤ広場で反プーチン派と治安部隊が衝突、約450人が拘束された事件の裁判が26日、モスクワ地裁で始まった。運動が下火になってから行われた大々的な裁判に対し、リベラル派は「反プーチン運動支持者への見せしめの裁判ショーだ」と批判している。
この事件は、プーチン氏の大統領返り咲きに抗議して反プーチン派がボロトナヤ広場で開いた集会で起きた。参加者は当初の予想より大幅に増え、4万人規模に達したことから、武装した治安部隊と参加者との間で衝突が起き、治安部隊が催涙ガスを発射。さらに、集会参加者をゴボウ抜きにし、ナバルヌイ弁護士、ネムツォフ元第一副首相、ウダリツォフ左派戦線指導者ら約450人を拘束した。この衝突で、治安部隊員4人が負傷したという。
その後、治安当局は事件の首謀者として14人を逮捕した。この日の裁判には、すでに別件などで審理中の2被告を除く12被告が出廷した。検察官が起訴状を朗読、12被告が暴動に参加し、警察官に暴行を働くなどしたと断定した。有罪判決が決まると、最高8年の禁錮刑が科される。
これに対し、被告全員が起訴事実を全面否認し、そのうち数人の被告は「平和的な集会に参加したが、警官隊に“理由なく”妨害された。我々は被害者だ」と訴えた。この日の裁判には市民ら多数が傍聴のため集まったが、法廷には入れず、廷外に映されたスクリーンを見守った。
一方、この事件をめぐっては「アムネスティ・インターナショナル」、「ヒューマン・ライツ・ウオッチ」など国際人権団体が独自の調査委員会を設置して調査を進め今年4月、「集会で暴動は起きなかった」との結論を出している。
プーチン政権は昨年5月の大統領就任後、市民運動や非政府組織(NGO)の活動を規制する法律を次々に制定しており、反プーチン派の運動を壊滅させる方針とみられる。この裁判もその一環で、リベラル派市民に対し、権力に逆らうとどうなるかを見せつけようとしているかのようだ。政権側は、こうした強権的手法をいつまで続けようというのだろうか。
(この項おわり)