東西冷戦の象徴だったベルリンの壁が崩壊して20年目の今年、各界の識者や政治家が冷戦終結に関して様々な発言をしている。
当時、ソ連の大統領だったゴルバチョフ氏と、ロシアの中立系「独立新聞」の編集長だったトレチャコフ氏の発言が興味深いので紹介したい。この際、冷戦の敗者とされているロシア側の見方を聞いてみよう。
現在78歳のゴルバチョフ氏はモスクワでの会見で、「ベルリンの壁の崩壊で欧州は全世界にとって平穏でで安全なモデルになると期待したが、そうはならなかった。我々はすべきことをせず、20年を無駄に費やしてしまった」と悔やんだ。そして、東西対立の終了を全体の利益のために生かすよう検討せずに、ソ連を破り冷戦に勝利したと喜んでいただけだと西側を批判した。
ゴルバチョフ氏は欧州では「ソ連解放の立役者」と評価されているが、ロシア国内ではソ連を崩壊させた人物として評判が悪い。本人も内心忸怩たるものがあるだろうが、西側が冷戦の勝利に酔って何もしなかったことへの不満を強調した。
一方、トレチャコフ氏は外交・国防政策評議会へのアンケートで「ロシアは疑いもなく冷戦に敗北した。しかし、壊滅されたのではなく、半分自主的な降伏だった」と述べている。ところが、西側の指導層はロシアを冷戦に負けた国と決め付け無条件の勝利を渇望、事実上の降伏後も「ロシアの遺産」の分割に奔走し、”戦い”を続けたと手厳しく批判している。
さらにトレチャコフ氏は、90年代初めの新世界秩序形成について「自らの歴史以外のすべての歴史の終えんを宣言する高慢な人たちとどうして合意できようか。その結果としてロシアは抵抗し、立ち上がった。そして、プーチンが現れたのだ」と指摘した。西側への強硬姿勢を貫くプーチン氏の登場は、ロシアが分裂あるいは消滅へと導かれる危険性を国民が認識したためだというのである。
ロシアの代表的な論客の発言で、西側への怨念が20年たっても晴れていないことがわかる。いま米国の一極世界が壊れ、多極化に向かいつつあるといわれているが、「怒れるロシア」を新世界秩序にどう取り込むかが今後の課題である。
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現在78歳のゴルバチョフ氏はモスクワでの会見で、「ベルリンの壁の崩壊で欧州は全世界にとって平穏でで安全なモデルになると期待したが、そうはならなかった。我々はすべきことをせず、20年を無駄に費やしてしまった」と悔やんだ。そして、東西対立の終了を全体の利益のために生かすよう検討せずに、ソ連を破り冷戦に勝利したと喜んでいただけだと西側を批判した。
ゴルバチョフ氏は欧州では「ソ連解放の立役者」と評価されているが、ロシア国内ではソ連を崩壊させた人物として評判が悪い。本人も内心忸怩たるものがあるだろうが、西側が冷戦の勝利に酔って何もしなかったことへの不満を強調した。
一方、トレチャコフ氏は外交・国防政策評議会へのアンケートで「ロシアは疑いもなく冷戦に敗北した。しかし、壊滅されたのではなく、半分自主的な降伏だった」と述べている。ところが、西側の指導層はロシアを冷戦に負けた国と決め付け無条件の勝利を渇望、事実上の降伏後も「ロシアの遺産」の分割に奔走し、”戦い”を続けたと手厳しく批判している。
さらにトレチャコフ氏は、90年代初めの新世界秩序形成について「自らの歴史以外のすべての歴史の終えんを宣言する高慢な人たちとどうして合意できようか。その結果としてロシアは抵抗し、立ち上がった。そして、プーチンが現れたのだ」と指摘した。西側への強硬姿勢を貫くプーチン氏の登場は、ロシアが分裂あるいは消滅へと導かれる危険性を国民が認識したためだというのである。
ロシアの代表的な論客の発言で、西側への怨念が20年たっても晴れていないことがわかる。いま米国の一極世界が壊れ、多極化に向かいつつあるといわれているが、「怒れるロシア」を新世界秩序にどう取り込むかが今後の課題である。