飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

ロシアの大富豪ポターニン氏に月額2400万円の養育費命じる!

2014年02月26日 19時00分32秒 | Weblog


   モスクワの裁判所は25日、ロシアで7番目の大富豪ウラジーミル・ポターニン氏(53)の離婚訴訟で、妻ナターリアさんに月額約2400万円の養育費を支払うよう命じた。ロシアでも異例の高額養育費の裏には、140億ドル(ざっと1兆4000億円)とも言われるポターニン氏の資産を巡るトラブルがあった。

   インタファクス通信などによると、裁判所の決定はポターニン氏の離婚を認める代わりに、妻のナターリアさんに月収の4分の1を養育費として支払うよう命じている。この金額が850万ルーブルで、日本円にして約2400万円となる。2人の間には、長女(29)と長男(24)、二男(13)の計3人のこどもがいる。

   ナターリアさん側によると、昨年11月にポターニン氏から離婚を切り出され、金銭の要求はしないとの文書に署名するよう求められた。ポターニン氏はすでに財産は慈善事業に回しているので、支払う金はないということだった。ところが、ポターニン氏が資産隠しを画策している疑いが出てきたため、ナターリアさんは財産分与ではなく、毎月の養育費を要求して訴訟を起こしたという。

   ポターニン氏は1999年に自分の名前を付けた慈善基金を設立し、毎年約1,000万ドルを基金に回している。4年前のフィナンシャル・タイムズ紙とのインタビューでは、「自分の財産をこどもたちに残すつもりはない。慈善事業に必要な分だけ渡す」と語っていた。こどもに巨額の財産を残すと、こどもたちのためにならないとの信念からとみられる。

   ポターニン氏は1991年、外国貿易会社インターロスを設立。その後、オネクシム銀行を創立し、頭取に就任。96年の大統領選ではエリツィン大統領の再選に手を貸し、その論功行賞で第一副首相を務めた。その後も銀行家、企業家として経済界に影響力を行使している。ノリリスク・ニッケル社長のプロホロフ氏とはビジネス・パートナーだった。

   有名人の離婚訴訟では巨額の慰謝料や養育費が話題になるが、日本での慰謝料ナンバーワンは、1998年に離婚した演歌歌手の千昌夫さんの50億円である。アーチストの小室哲哉さんが2002年に離婚した際は、慰謝料1億円、財産分与10億円、養育費月50万円だった。今回のポターニン氏の養育費約2400万円は、ロシアでも高額慰謝料の時代が到来したことを示している。(この項おわり)
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ティモシェンコ元首相はウクライナの救世主になれるか?

2014年02月24日 15時31分54秒 | Weblog

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   欧州連合(EU)との統合をめぐる内紛から政治危機が続くウクライナでは、ヤヌコビッチ政権が崩壊、野党主導による新政権に移行することになった。ここでクローズアップされてきたのは、オレンジ革命の立役者の1人、ティモシェンコ元首相(53)である。首相か大統領になるのはほぼ確実とみられているが、ウクライナの真の救世主になれるだろうか。

   美人で聡明、経営者の経験もあり、04年の民主化運動では「オレンジ革命のジャンヌダルク」とも呼ばれた。10年の大統領選では、親ロシアのヤヌコビッチ氏との一騎打ちになり、決選投票で敗れた。ティモシェンコ陣営は「不正選挙が行われた」と主張、裁判闘争に持ち込んだが、途中で訴えを取り下げた。

   その後も、ヤヌコビッチ政権と激しく敵対したことから、首相時代のロシアとのガス契約交渉を巡って政権側に職権乱用罪で起訴された。11年10月、裁判所は職権乱用罪を認定して禁錮7年の実刑判決を言い渡した。政権側が判決後も保釈を認めなかったため、EUはウクライナの加盟につながる「連合協定」への調印を渋った経緯がある。

   ティモシェンコ氏は22日、特別立法により収監先の東部ハリコフで釈放されると直ちに首都キエフに入り、デモ隊が集まる独立広場で演説。「これまでと違う政治を目指す」と述べ、政治活動への復帰を宣言した。5月の繰り上げ大統領選に立候補する意向を示したと伝えられたが、本人は「まだその時期ではない」と明言しなかったという。

   ヤヌコビッチ政権が崩壊したことから、野党側は政権の受け皿つくりに動いているが、親欧米派の中で政治家としての経験が豊富で、外国の首脳と直に交渉できる指導者は数少なく、ティモシェンコ氏が最適という声が国会内で強まっている。だが、デモ隊の中には、過去2回の首相時代に実績を残せなかった同氏に不満を抱く人も少なくない。

   24日付けのロシア紙「独立新聞」(電子版)によると、ティモシェンコ氏が首相か大統領に就任するのは確実とみられている。本人は大統領就任に執念を燃やしているとみられるが、9月までに大統領権限を弱める新憲法が採択されることになっていて、首相の権限が強化される見通しである。このため25日に開かれる予定の国会で、同氏が首相に就任する可能性もある。

   この他、最大野党「祖国」を率いるヤツェニュク氏、野党第2党「ウダル」のクリチコ党首らも首相候補に挙がっている。だが、財政破綻の瀬戸際に立つウクライナは、欧州だけでなく、ロシアとも交渉できる人物でなければ「国家存亡の危機」を乗り切れない。政界では、プーチン大統領とも渡り合えるティモシェンコ氏への期待が高まっているが、デモ隊など市民がどういう反応を示すかは不透明である。(この項おわり)

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ソチ五輪の影で日中がロシアを取り込む外交戦を展開!

2014年02月17日 23時35分00秒 | Weblog

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   ロシア・ソチの冬季五輪開会式(7日)に出席した日中首脳が、ロシアの取り込みを狙って舞台裏で激しい外交戦を展開していた実態が浮かび上がった。欧米の主要国首脳が軒並み欠席する中で、中国は早くから出席を公表、プーチン大統領と会談し歴史問題で得点した。一方の安倍首相は開会式直前に到着、翌日の会談で大統領の訪日を確認、巻き返した形だ。

   先にソチ入りした中国の習近平国家主席は6日、プーチン大統領と会談。両首脳は年内に5回会談し、このうち大統領が2回訪中することで合意した。安倍首相が昨年4回、大統領と会談したことから、それを上回ろうという中国側の思惑が見えてくる。

   さらに、中国国営の新華社通信によると、プーチン大統領は会談で「日本の軍国主義が中国などアジアの人々に対して犯した重大な犯罪を忘れてはならない」と述べたとされる。ところが、ロシア側はこの部分を発表しておらず、日本側に配慮した発言ではないかとの見方が出ている。

   一方、日本側は最初、ソチ五輪の期間中、安倍首相が現地でプーチン大統領と接触する程度でいいと考えていた節がある。それも開会式に出席するのは日程的に無理なので、閉会式に行くことも検討された。その後、急きょ開会式に出席することになり、首脳会談も本格的なものになったのは、中国側の動きに触発されてのことだとみられている。

   習主席は翌7日には、ソチで潘基文・国連事務総長と会談し、来年第二次大戦70年を迎えることに関し、「正確な歴史観を堅持し、第二次大戦後の秩序を揺るぎなくする必要がある」と述べた。これは歴史問題に絡めて安倍首相を暗に批判した発言と受け取られている。中国側はあらゆる機会をとらえて“日本叩き”をしているようにみえる。

   中国と日本がロシアを取り込む外交戦を展開していることについて、ロシアのある外交関係者は「中国は一生懸命ロシアを巻き込もうとしているが、ロシアにはその気はない」と言い切る。その半面、「中国とは戦略的パートナー関係なので、国連などでの協力は日本とは比較にならない。しかし、日本はG8の重要メンバーであり、重きを置いている」と語り、中国との特別の関係を強調する。

   そのうえで、この関係者は日本との関係についてこう語る。
 「ロシアは日本との関係強化に関心がある。無視するつもりはない。それと同時に、第二次大戦の結果は大事である。だが、日本が見直しをしない限り、(歴史問題を)わざと問題にすることはしない」

   要するに、ロシアのスタンスは①第二次大戦の結果は重要であり、来年70年の行事を行う予定である②大戦の結果は現在の世界の制度につながっているので、全ての国との関係を発展していきたい③ロシアとしては、他の国と一緒になって第三国と対立するつもりはない、というのである。

   つまり、中国と組んで日本に対抗するつもりはないというのだ。とはいえ、中国の方が日本より重要な関係なので、できる限り中国の要請には応えていく方針といえる。日本側はロシアの態度に一喜一憂しがちだが、こうした基本的スタンスを踏まえたうえで、ロシアと接するべきだろう。(この項おわり)




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プーチン大統領、ソチ五輪で欧米メディアなどの批判封じに奮闘!

2014年02月13日 12時38分13秒 | Weblog
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   ソチ冬季五輪を自ら誘致したプーチン大統領は、大会開会の7日から現地に詰めっきりで外国メディアや観客の批判に反論している。そのかいあってか、汚職疑惑や大会施設の不備への批判がめっきり減り、観客や選手からの賞賛の声が増えているようだ。

   ロシア紙の報道によると、プーチン大統領は大会初日から4日間、ソチに滞在し、国際社会に向けて大会成功を印象づけるパフォーマンスに努めた。9日にはソチ五輪組織委員会代表と会談。施設建設に510億ドルかかったことを説明し「大会後、この施設をどう利用するかが今一番の問題だ」と語った。

   大会前、イスラム過激派のテロが心配されたが、これまでのところ、大会は順調に進んでいる。このためIOCは毎日行っていたロシア側とのミーティングを中止した。バッハIOC会長は「我々は4日間、大会の運営状態を見てきたが、満足している。そこでIOCとソチ組織委員会との定期的ミーティングを中止することにした」との声明を発表した。

   また、欧米諸国はロシアが同性愛宣伝禁止法を成立させたことに対し、「人権侵害だ」と厳しく批判していたが、プーチン大統領はオランダの選手村を訪問、同性愛を公表した選手と英語で会話して“批判封じ”に努めた。その後、同性愛の選手はメディアに、プーチン大統領からハグされたと自慢そうに語った。

   さらに大統領はオーストリアの選手村を訪問、選手たちに「全てがうまくいっていて嬉しい。みなさんが大会でベストを尽くすことを期待する」と、今度はドイツ語で話し、拍手を浴びた。ソ連崩壊前、KGBの一員として東ドイツでスパイ工作をしていただけあって、ドイツ語は完璧だという。

   その後、大統領は中国の選手村を訪問し、ロシア人と中国人の子供たちが空手の演技を披露しているのを見学した。いつもなら大統領自身が柔道の腕前を披露するところだが、この日は見学に徹していたという。

   英字紙のモスコー・タイムズ紙は、プーチン大統領が大会のホストとして汚職疑惑や施設不備の批判封じの先頭に立ったことから、「観客や選手からの賞賛が批判にとって変わった」と評価している。いつもは大統領に批判的な新聞だが、今回ばかりは大統領の功績を素直に認めているようだ。(この項おわり)

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プーチン大統領、安倍首相との首脳会談で北方領土交渉に前向き発言!

2014年02月08日 23時36分26秒 | Weblog
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   ロシア・ソチの冬季五輪開会式に出席した安倍晋三首相は8日、ソチ郊外の大統領別邸でプーチン大統領と会談した。欧米諸国の主な首脳が開会式に次々欠席する中で、安倍首相が思い切って出席しただけに、大統領もこれに応えて特別待遇で歓迎した。首脳会談でも大統領は機嫌が良く、今秋の訪日を確認するなど、領土問題解決に向け前向きな発言が見られた。

   プーチン大統領は会談の冒頭、日露間で昨年暮れ、「2プラス2」が初めて行われたほか、日露間の貿易額が増えていることに触れ、「両国間の最も難しい問題の解決のため、良い環境ができあがりつつある」と述べ、領土交渉の環境づくりが順調に進んでいることを強調した。
 
   一方、安倍首相は「大統領が心血を注いだ冬季五輪の大成功をお祈りする」と、ソチ五輪に言及。「今回の(両首脳による)5回目の会談で日露の歴史に新しいページを開いたと考える」と語り、首脳会談の頻度の多さを力説した。

   会談後会見した安倍首相は、プーチン大統領と今秋訪日することで合意したと述べ、「(北方領土に関する)協議を続けていくことで意見が一致した」と語った。さらに、首相は「可能な限り早期に解決していかなければならない」と述べ、今秋の首脳会談で領土問題解決の糸口を見出す考えを示唆した。

   安倍首相は、ソチに向けて出発する7日昼、東京・日比谷公会堂で開催された北方領土返還要求全国大会で「日露間の最大の懸案である北方領土問題を最終的に解決し、平和条約を締結すべく、交渉に粘り強く取り組んでいく」と決意表明した。続けて首相は、「日露間に平和条約が締結されないことは異常である」とも述べ、「早急に締結を図るべく努力する」と繰り返していたのが印象的だった。

   この発言からも、終戦からまもなく70年経過することに苛立ちを痛感している首相の思いが伝わってくる。なんとしても自分の任期中に解決のメドを立てたいということだろう。その思いはプーチン大統領も同じに違いない。双方の思いが合わされば、今秋の首脳会談で解決の方向性がつかめるかもしれない。日本政府、与党も安倍首相をバックアップして、しっかり準備を進めてほしい。(この項おわり)




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日本政府は国民から北方領土解決の妙案を集めたらどうか!

2014年02月01日 10時22分09秒 | Weblog
 
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   プーチン大統領の年内訪日の先陣を切って31日、東京で日露次官級協議が行われた。この1年の領土交渉を占う会談は予定時間を上回る約9時間にわたったというが、進展の糸口がつかめたのだろうか。詳しい内容はわからないが、双方の主張の隔たりは大きく、溝は埋まらなかったようだ。この際、日本政府は広く国民から解決の妙案を集めたらどうだろうか。

   協議は午前と午後に分かれて行われ、午後は平和条約問題、つまり北方領土問題を集中的に討議したとされる。今回の協議に関するロシア側の報道は見つからないので、日本側のブリーフを元に類推するしかないが、戦後の歴史を踏まえながらお互いのこれまでの主張を繰り返したとみられる。

   日本側は北方四島が日本の固有の領土であることを前提にした上で、四島の帰属確認を求め、それが認められれば返還時期は柔軟に対応すると主張している。これに対し、ロシア側は第二次大戦で旧ソ連が四島を占領したことを前提に議論するよう求めている。ここまではジャブの応酬で、その先は双方が知恵を出し合い、いかに双方が納得できるような妥協案を絞り出すかにかかっている。

   過去の交渉は主に冷戦時に続けられてきたが、今は国際情勢がガラリと変わり、中国の台頭を日露がどう抑えるかが最大の問題になっている。その上、シェール革命でロシアはエネルギーの販路をアジアに求めなければならない状況にある。今の状況は日本にとってフリーハンドが広がる有利な状況で、これをいかに交渉に活かすかが日本側の腕の見せどころといっていいだろう。

   最終的には安倍晋三首相とプーチン大統領との首脳会談で決めることになるが、それまでの段階で日本の外務省や国会議員が知恵を絞り、現実的で双方の世論が受け入れられる案をまとめる必要がある。具体的にはロシア側の2島と日本側の4島の中間で、双方にとって魅力的な解決案を提案できるかだ。

   そのためには、官僚や議員だけでなく、広く民間の学者や有識者の意見を聞く必要がある。外務省はとかく「外交は外交官がするもの」という固定観念に縛られがちである。だが、外交官に任せた結果、戦後70年近くたっても一向に解決する兆しが見えないのが実情だ。この際、政府は思い切って広く国民に解決案を求めるべきではないだろうか。(この項おわり)







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