飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

ロシアの核兵器、ベラルーシへ拡散で危険度高まる!

2023年03月28日 09時39分02秒 | Weblog

ロシアのプーチン大統領がベラルーシへの核兵器配備を表明したため、核使用の危険度が高まっている。ソ連時代には、ロシアがウクライナなどへ核を配備していたが、ソ連解体をきっかけに全てロシア国内に移していた。ベラルーシは軍事面でロシアと足並みをそろえていて、核拡散が現実味を増しつつある。

ベラルーシは、ロシアの西部に位置していて、面積は約20万平方キロで日本の約半分。人口は約1000万人とされる。ソ連時代は白ロシアと表記していたが、ソ連解体後は「白」も含めてロシア語に替え、「ベラルーシ」と呼ばれている。ロシア、ウクライナと合わせ、3カ国でロシア系民族を構成している。。

ベラルーシを有名にしたのは、ルカシェンコ大統領で、独特の風貌と激しい発言で「ヨーロッパ最後の大統領」の異名を持っている。1994年に大統領に就任し、その後任期を延長したり、3選禁止条項を一方的に撤廃したりで、すでに6選を果たし、約30年間にわたり君臨している。現在はロシア・ベラルーシ連盟国の国家元首でもある。

ベラルーシは以前、核兵器を配備しないと憲法で定めていたが、ルカシェンコ大統領は昨年2月、国民投票を経てこの条項を削除した。すでに核が搭載できる爆撃機が提供され、弾道ミサイル「イスカンデル」が配備されている。さらに7月1日までに戦術核の保管施設が完成する予定だ。

今回の決定についてプーチン大統領は「ルカシェンコ大統領の長年の希望だった」と主張している。だが、ルカシェンコ氏は欧米諸国との関係改善を目指した時期もあったが、2020年8月の大統領選をめぐる不正疑惑でロシアの支援を仰いだため、プーチン大統領に弱みを握られ、核配備を受け入れざるを得なかったとみられている。

ロシア国外への核配備は27年ぶりで、欧州各国が猛反発するのは必至である。とりわけ、NATO(北大西洋条約機構)との全面対決に繋がる危険性が強まるのは明らかだ。今のプーチン大統領は聞く耳を持たないという姿勢を崩していない。このため、ベラルーシを核拡散に引きずり込み、欧州各国に対し、今後さらなる揺さぶりをかけるのは間違いない。こうした動きを抑えるためには、欧米諸国だけでなく、世界各国が協力して国連などの場で、ロシアやベラルーシに圧力をかけるとともに、粘り強く説得する必要がある。(この項終わり)

 

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ロシアとウクライナの戦争、どうなる春の陣!

2023年03月18日 16時07分05秒 | Weblog

ロシアとウクライナの戦争は、いよいよ二度目の春の陣に突入する。ロシアはウクライナ東部のドネツク州を制圧し、一気に東部全域を勢力下に収めたい方針とみられる。だが、ウクライナ側も欧米諸国の支援を得て、反撃する構えを見せていて、どちらが春を制するかで情勢が変わって来そうな状況だ。

両国の戦闘は、二年目に入り、激しさを増している。特にウクライナが米国から高機動ロケット砲システム「ハイマース」を供与されたことからロシア軍の弾薬庫が狙われ、前進が止まった状態になった。そのため、ウクライナは東部ハルキウ州や南部ザポリュージャ州の一部を奪還し、双方は膠着状態になっている。

春になると、ウクライナがザポリュージャ州に攻勢を掛けると見られている。その際、大きな戦力になるとみられるのが、欧米諸国から提供されることになっている戦車部隊である。この戦車部隊が早めに投入されればウクライナ側の攻勢に拍車がかかるだけに、ロシア軍はその前に状況を前進させたいと考えている。

このため、どちらが先手を取るかに当面の勝敗がかかっているといえそうだ。ロシア、ウクライナ双方とも、結果を出せなければ停戦交渉に入るわけにはいかないからである。いわば、春の陣に戦争終結の行方がかかっているともいえよう。それだけに、これまで以上に厳しい戦いになるのは必至である。(この項終わり)

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