プーチン氏が5月7日、大統領に復帰するのに伴い、メドベージェフ氏が首相と与党「統一ロシア」の党首を兼任することが内定している。そのメドベージェフ氏はこのほど、与党幹部との会談で「私はリベラルだったことは一度もない」と発言、さらに「私は保守派の価値観を持っている」と述べ、政界に波紋を投げかけている。
与党幹部との会談は4月27日、モスクワ郊外で行われた。5月26日の党大会を前に、幹部らとの顔合わせの会談だったが、リベラル派とみられているメドベージェフ氏を快く思わない幹部が質問を浴びせ、はからずも“査問会”のような雰囲気になった。
これに対し、メドベージェフ氏は次のように答えた。
「しばしば私はリベラル派といわれているが、率直に言うと、一度もリベラルとの信念をもったことはない。自分の信念では、保守的な価値観を持った人間だ。私の価値観は、欧州の基準からすればリベラルから大きく離れている」
この発言は、出席していた幹部の大半から歓迎された。だが、リベラル派の幹部が「リベラルの観念を忘れないことも重要だ」と発言すると、メドベージェフ氏は我が意を得たというように「あなたの発言に全面的に賛成だ。与党にはリベラル派も社会民主派もいるのがいい」と答えたという。
メドベージェフ氏が突然「保守派」と言い出したのは、プーチン次期大統領の入れ知恵とみられている。与党の党首になるからには、前党首のプーチン氏の意見を聞かなければならず、彼の信念からすれば「妥協を強いられた」ということになるだろう。だが、プーチン次期大統領に仕える首相に就任するからには「妥協」もやむを得ないと思っているのかもしれない。
しかし、これまでメドベージェフ氏の下で働いてきたリベラル派官僚などからは「変節」との批判が強まるのは必至だ。もともとプーチン大統領の下での首相就任に反対していた側近のユルゲンス現代発展研究所長は、親分の発言に批判的で「新内閣は根源的な改革よりも安定を優先することになろう」と、皮肉っぽく語っている。
メドベージェフ氏の今回の保守派宣言は、双頭体制が大きく変質した印しともいえる。ツートップからナンバーツーに格下げされたことは明らかだ。このままメドベージェフ氏がプーチン氏の言いなりになるのか、それとも一時的に屈辱を甘受するのか。大学の先輩後輩のこの二人の関係をこれからも注意深く見守っていきたい。(この項おわり)
与党幹部との会談は4月27日、モスクワ郊外で行われた。5月26日の党大会を前に、幹部らとの顔合わせの会談だったが、リベラル派とみられているメドベージェフ氏を快く思わない幹部が質問を浴びせ、はからずも“査問会”のような雰囲気になった。
これに対し、メドベージェフ氏は次のように答えた。
「しばしば私はリベラル派といわれているが、率直に言うと、一度もリベラルとの信念をもったことはない。自分の信念では、保守的な価値観を持った人間だ。私の価値観は、欧州の基準からすればリベラルから大きく離れている」
この発言は、出席していた幹部の大半から歓迎された。だが、リベラル派の幹部が「リベラルの観念を忘れないことも重要だ」と発言すると、メドベージェフ氏は我が意を得たというように「あなたの発言に全面的に賛成だ。与党にはリベラル派も社会民主派もいるのがいい」と答えたという。
メドベージェフ氏が突然「保守派」と言い出したのは、プーチン次期大統領の入れ知恵とみられている。与党の党首になるからには、前党首のプーチン氏の意見を聞かなければならず、彼の信念からすれば「妥協を強いられた」ということになるだろう。だが、プーチン次期大統領に仕える首相に就任するからには「妥協」もやむを得ないと思っているのかもしれない。
しかし、これまでメドベージェフ氏の下で働いてきたリベラル派官僚などからは「変節」との批判が強まるのは必至だ。もともとプーチン大統領の下での首相就任に反対していた側近のユルゲンス現代発展研究所長は、親分の発言に批判的で「新内閣は根源的な改革よりも安定を優先することになろう」と、皮肉っぽく語っている。
メドベージェフ氏の今回の保守派宣言は、双頭体制が大きく変質した印しともいえる。ツートップからナンバーツーに格下げされたことは明らかだ。このままメドベージェフ氏がプーチン氏の言いなりになるのか、それとも一時的に屈辱を甘受するのか。大学の先輩後輩のこの二人の関係をこれからも注意深く見守っていきたい。(この項おわり)