飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

ロシア・ウクライナ戦争は今後どうなるのか、目が離せない!

2024年01月29日 12時58分16秒 | Weblog

プーチン露大統領は3月中旬に予定されている大統領選を前に、ウクライナとの戦争を「できるだけ早く終わらせたい」と述べている。だが、あくまで「ロシア側の条件下であれば」という”しばり”を付けている。これに対し、ウクライナのゼレンスキー大統領はロシア側の撤退が条件との立場を変えず、歩み寄りは見られない。

プーチン氏は毎年年末に多数の記者を集めて大規模会見を開いている。昨年12月14日の会見では、ウクライナの「非ナチ化」や「非軍事化」の目標が達成されていないとして、戦争を継続する意向を示していた。ただ、国民に不評な軍隊の徴兵に付いては「新たな動員は必要ない」として予備役などの招集は行わないことを明言した。

その一方、プーチン氏は昨年末と今年始め、北朝鮮のミサイルを使用してウクライナを攻撃した。使用されたミサイルはロシア製の「イスカンデルM」に似た弾道ミサイル「KN23 」だった。ロシアは弾道ミサイルが不足しているので、このミサイルでウクライナの防空能力の弱点を突くためだ。

プーチン氏は現在71歳。3月の大統領選で勝利すると5期目となり、今後さらに2期12年間、続投することができる。戦時下の選挙となるが、プーチン氏の人気は相変わらず高く、最近の世論調査では8割前後の支持率を得ている。そのうえ、強力な対抗馬がいないため、今回も楽勝と予測されている。

それに引き換え、ゼレンスキー大統領は昨年6月に「反転攻勢」を開始してからも、期待通りの成果が得られていない。それどころか、軍内部からも不協和音が出ていて、大統領は厳しい状況に追い込まれている。特に、大統領が頼りとする米国や欧米諸国で「支援疲れ」が広まっているのが響いている。

中でも不安要素を抱えているのは欧州連合(EU)だ。表向きは「必要な限り支援を続ける」としているが、早くも足並みが乱れ始めた。その張本人はハンガリーで、大規模なウクライナ支援に難色を示している。この動きがEU内で、さらに広まる可能性もある。

今年はロシアのほか、米国などで大統領選を控えていて、その結果いかんでは西側のウクライナ支援が得られなくなる事態も考えられる。そうなったら、ウクライナは戦争どころではなくなる。新冷戦下で起きた初めての「ホット・ウオー」だけに、その行方が今後の世界情勢を大きく変えることになりそうだ。

    (この項終わり)

   

 

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