飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

ロシア下院選、与党「統一ロシア」の勝利に変わりはないが・・・!

2021年09月21日 09時43分23秒 | Weblog
ロシア下院選は19日、3日間の投票が終了、中央選管は開票作業に入った。暫定結果は20日、発表されたが、中央選管は「開票作業中に不正の情報などが入っていて、それをチェックしてから開票結果を発表する」としている。このため、正式発表は今週末にずれ込む公算が強い。

ロシアの有力紙コメルサントの21日付け電子版によると、下院選の暫定結果は与党「統一ロシア」が1位を占め、投票総数の49・82%を獲得した。定数450の3分の2の議席(300議席)を維持するのは確実と見られる。これにより、「統一ロシア」は単独で憲法改正ができる議席数を確保、安定政権は維持される見込みだ。

だが、与党の今回の得票率は前回2016年の54・2%を下回り、前回議席数343議席を割り込む見通しだ。「統一ロシア」の支持率が過去最低の水準にまで下がっていることの表れと見られる。この背景には、年金問題などで国民の生活が苦しくなっていることと、プーチン大統領の長期政権に対し、国民の不満が高まりつつことが挙げられよう。

一方、得票率2位の左派・共産党は前回の13・34%から18・93%にアップしている。逆に、3位の極右・自由民主党は前回の13・14%から7・55%にダウンしている。4位の左派・公正ロシアは6・22%から今回7・46%に若干アップしている。ここまでは前回と同じだが、今回初めて新政党「新しい人々」が5・32%の得票率を得て、比例代表で議席を獲得できることになった。昨年設立されたばかりの中道右派の政党とされるが、今後プーチン政権に対し、どういう立場を取るのかは未知数だ。

最終的には、中央選管の正式な結果発表が待たれるが、与党「統一ロシア」が今後ともプーチン大統領と一体化して政権を運営していくことは変わらないだろう。とはいえ、徐々にではあるが、国民の間で変化が起きつつあることは確かだろう。それに対し、政権側がどういう態度を取るのか。国民もいつまでも唯々諾々と従ってはいないだろう。(この項終わり)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

プーチン政権の存続を左右する下院の総選挙スタート!

2021年09月19日 11時18分07秒 | Weblog
ロシアでは5年に一度の下院総選挙が9月17日から3日間の日程でスタートした。プーチン大統領は初当選した2000年以来、21年間に渡って事実上、政権を維持している。だが、与党の「統一ロシア」は過去最低の26%まで支持率が落ち込み、プーチン大統領はかつてないほどの危機庵を募らせている。選挙結果によっては、プーチン政権の存続が問われることにもなりかねない。

与党「統一ロシア」の支持率がこれほど下がった要因には、いくつかの見方があげられている。その主な要因を列記すると、①年金支給年齢の引き上げなど、不人気な政策②実質所得の減少や食料品の高騰など、国民生活の悪化③プーチン政権の長期化に伴う飽き、または厭世気分の高まり、などだ。

このため、プーチン政権は態勢立て直しのため、以下の政策を明らかにした。主な政策は①全ての年金受給者に約1万五千円の一時金を支給する②投票日をこれまでの1日から平日を含む3日間に拡大③全国区比例代表名簿の上位にラブロフ外相らの人気者をあげる、などだ。

こうした必死のテコ入れで、与党「統一ロシア」の支持率が上がっていると伝えられる。世論調査などによると、与党の獲得議席数が過半数を占めるとの予測も出ている。だが、政権反対勢力への厳しい攻撃には、国民の間からも批判が強まっている。特に、有力な野党候補である反体制派指導者、ナワリヌイ氏への執拗な弾圧は良識派のひんしゅくを買っている。

選挙の成否のバロメーターは、投票率だ。中央選管プレスセンターは投票2日目の18日午後8時現在(モスクワ時間)の投票率を31・5%と発表した。投票最終日の19日に、投票率がどこまで伸びるかが問題だ。投票率が50%を割ったり、大掛かりな不正投票が露見したりすれば、再び大きな混乱が生じる恐れがある。今後の動きを注視したい。(この項終わり)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする