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この1年でロシアとの関係が悪化したとみる国民が増加していることが内閣府の行った「外交に関する世論調査」結果から明らかになった。昨年暮れからのウクライナ紛争が原因であることは明白で、ロシアに「親しみを感じない」という国民も微増している。このところ日露間の友好ムードが高まりつつあっただけに、残念な事態である。
この調査は内閣府が毎年実施している調査で、20歳以上の日本国民3000人を対象に10月中下旬に行われた(回収率60%)。調査結果によると、「ロシアに親しみを感じる」と答えた人は20.1%で、昨年より1.4ポイント減った。「親しみを感じない」と答えた人は76.4%で、昨年比で1.6ポイント増えた。この回答では男女の見方が大きく違っていて、男性で「親しみを感じる」と答えた人が25.1%だったのに対し、女性では16.1%と9ポイントの差があった。この差はどこから来るのだろうか。
最近の傾向を見ると、「親しみを感じる」と答えた人が2012年(19.5%)、2013年(22.5%)と増えつつあったが、ここにきてまた元に戻りかねない状況になった。とくに今回、「親しみを感じない」女性(79.6%)が男性(72.6%)より7ポイントも多かったのは、クリミア半島編入などでソ連時代の残忍で怖いイメージがよみがえったからかもしれない。
また、日本とロシアとの関係に関する質問では、「良好だと思う」と回答した人が21.3%で、昨年の30.4%から9.1ポイントも減ったのが目立つ。逆に、「良好だと思わない」と回答した人は昨年の64.6%から67.2%へと2.6ポイント増えている。ウクライナ紛争で西側が経済制裁を行い、ロシアが孤立を深めている現状を反映しているといえそうだ。
ただ、年齢別にみると、20代の若者の30.9%が「良好だと思う」と答えていて、20%前後の30代以上の年齢層を圧倒しているのが目を引く。若者の間では、アニメなどの文化・芸能面で日露交流が活発化しており、関係が悪化しているとは思えないのだろう。
日露関係を好転させるには、懸案のプーチン大統領訪日を早急に実現するべきだとの声が高いが、ロシアに対する経済制裁が続いている限り、訪日は難しいだろう。仮に大統領が訪日できたとしても、北方領土問題の解決は当分無理に違いない。今は民間レベルで日露関係を好転させる道を考えるべき時かもしれない。(この項おわり)