ロシアのメドベージェフ大統領が北方領土を近く訪問すると明言したことに対し、日本政府は29日、訪問を避けるようロシア側に強く申し入れた。こうした動きについてロシア紙は「日露間に新たなスキャンダルが起きている」と、日本側の過剰な反応をヤユしている。
30日付けの有力紙コメルサント(電子版)は「メドベージェフ大統領を島々(北方領土)へ行かせまいとしている」との見出しでこの問題を報道している。それによると、日本のメディアは大統領が中国訪問の帰途に北方領土を訪問する計画を上海に到着した時から報道し、この騒動が起きてすぐ菅直人首相が記者団に「領土問題への日本の姿勢は不変」との公式立場を表明したと伝えている。
さらに、記事の中で、菅首相は9月中旬の内閣改造時の会見では領土問題について「日本の姿勢はこの10年間変わっていない」と述べただけなのに、今回はあっという間に日露間のスキャンダルになっている、と振幅の大きさを皮肉っている。そのうえで、大統領が北方領土訪問を延期したのは、悪天候のせいで航空機が飛べなかっただけだとしている。
また、ロシア政府の要人がこれまでに何人も訪問を計画したが、実現できなかったのは天候のせいだと述べ、最近ではラブロフ外相が07年に訪問しただけだと報じている。さらに今回の大統領発言に対し、日本政府は政治的波乱が起きたかのように対応し、直ちに仙谷官房長官が記者会見で大統領の領土訪問に否定的な考えを示したと書いている。
コメルサント紙は続いてロシアの識者2人のコメントを掲載。まずクナーゼ元外務次官は「日本政府の今回の対応は戦術的に間違いだった。領土問題の解決を遠くに押しやっただけだ。クリル島(北方領土)訪問は大統領にとって今後重要な意味を持ってくるだろう」と語り、北方領土問題へのマイナス面を強調した。
また、ストレリツォフ・モスクワ国際関係大学教員は「大統領がクリル島を訪問することは憲法の保証人として異例なことではない。もし大統領が訪問を拒否したとすれば、日本への不当な妥協と非難されるだろう。現時点で領土問題は2国間の問題ではなく、日本の内政問題だ」と述べた。
こうした論調から、大統領の北方領土訪問計画を日本側が騒ぎ立てるのはおかしいとのロシア側の姿勢がはっきりと読み取れる。それとともに、大統領が自ら訪問し、問題の島々の現実をこの目で見ようという積極性もうかがえる。日本側は大統領訪問を政府もメディアも「領土返還要求をけん制する狙い」と決め付ける傾向があるが、それは言い過ぎではないか。もっと冷静に受け止めるべきではないだろうか。
30日付けの有力紙コメルサント(電子版)は「メドベージェフ大統領を島々(北方領土)へ行かせまいとしている」との見出しでこの問題を報道している。それによると、日本のメディアは大統領が中国訪問の帰途に北方領土を訪問する計画を上海に到着した時から報道し、この騒動が起きてすぐ菅直人首相が記者団に「領土問題への日本の姿勢は不変」との公式立場を表明したと伝えている。
さらに、記事の中で、菅首相は9月中旬の内閣改造時の会見では領土問題について「日本の姿勢はこの10年間変わっていない」と述べただけなのに、今回はあっという間に日露間のスキャンダルになっている、と振幅の大きさを皮肉っている。そのうえで、大統領が北方領土訪問を延期したのは、悪天候のせいで航空機が飛べなかっただけだとしている。
また、ロシア政府の要人がこれまでに何人も訪問を計画したが、実現できなかったのは天候のせいだと述べ、最近ではラブロフ外相が07年に訪問しただけだと報じている。さらに今回の大統領発言に対し、日本政府は政治的波乱が起きたかのように対応し、直ちに仙谷官房長官が記者会見で大統領の領土訪問に否定的な考えを示したと書いている。
コメルサント紙は続いてロシアの識者2人のコメントを掲載。まずクナーゼ元外務次官は「日本政府の今回の対応は戦術的に間違いだった。領土問題の解決を遠くに押しやっただけだ。クリル島(北方領土)訪問は大統領にとって今後重要な意味を持ってくるだろう」と語り、北方領土問題へのマイナス面を強調した。
また、ストレリツォフ・モスクワ国際関係大学教員は「大統領がクリル島を訪問することは憲法の保証人として異例なことではない。もし大統領が訪問を拒否したとすれば、日本への不当な妥協と非難されるだろう。現時点で領土問題は2国間の問題ではなく、日本の内政問題だ」と述べた。
こうした論調から、大統領の北方領土訪問計画を日本側が騒ぎ立てるのはおかしいとのロシア側の姿勢がはっきりと読み取れる。それとともに、大統領が自ら訪問し、問題の島々の現実をこの目で見ようという積極性もうかがえる。日本側は大統領訪問を政府もメディアも「領土返還要求をけん制する狙い」と決め付ける傾向があるが、それは言い過ぎではないか。もっと冷静に受け止めるべきではないだろうか。