飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

露世論調査;映画や文学作品への検閲を容認する人が過半数も!

2013年07月28日 11時52分30秒 | Weblog
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  ロシア下院はメディアだけでなく、映画や文学でも検閲を受けていない作品の公開を禁止する方針だが、世論調査機関が国家による検閲の是非を聞いたところ、容認する人が過半数に上った。「いかなる検閲にも反対」という人は5人に1人にとどまった。

  26日付けのコメルサント紙によると、この世論調査は中立系のレバダセンターが先月行った。その結果、最も多かったのは「品位を汚す映画や演劇、文学などの作品は国家が禁止しなければならない」という検閲容認派で、53%にのぼった。次いで多かったのは「問題がある場合は公開禁止ではなく、公開を制限すべきだ」と答えた中間派で26%。「いかなる検閲も許されない。何を見るか、読むかは個人が決めるもの」と答えた検閲反対派は最も少なく、18%だった。

  
  国家の検閲容認派は02年の世論調査では43%だったので、この10年余りで10ポイント増えたことになる。グラジダンキン・レバダセンター副所長はこの背景について「最近起きている事態の多くは検閲によって解決することが理解されてきたためだ。とくに、今春からメディアの中傷に対し制裁が課せられるようになり、人々がそれに慣れてきたのだろう」とみている。

  また、シモノフ情報公開保護基金総裁は「人々は言論の自由が第一義的に必要なものではないことがわかってきた。生活が良くない時には言論の自由が必ずしも幸福に結びつかないことも判明して、検閲が必要だと思うようになってきたのだろう」と分析している。

  メディアでの中傷を禁止する法律はすでに与党「統一ロシア」の主導で採択され、プーチン大統領が署名して発効している。それに続いて下院では今年4月、映画、演劇、文学でも検閲を受けていない作品は公開を禁止する法案を基本採択している。

 ソ連時代、インテリを苦しめてきた検閲は、ソ連末期のペレストロイカ期に終わったはずだが、プーチン時代に再び息を吹き返しつつある。その上、プーチン政権は法律で国民の自由を締めつけ、反プーチン運動の核である中間層を抑えつけようとしている。この結果、国民のやる気が失われれば、再びソ連時代のような「停滞の時代」に逆戻りしかねない。(この項終わり)




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露メディア、安倍政権に日露関係強化への期待と右傾化への不安!

2013年07月23日 11時27分04秒 | Weblog
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  ロシアのメディアは21日の参院選で与党が大勝し、自民党中心の安定政権ができることを歓迎する論調を伝えている。その半面、安倍晋三首相が米占領軍作成の憲法を改正し、国防軍設立を目指すタカ派であるとみなし、日本が右傾化する危険性を危惧している。

  23日付けの有力紙コメルサント(電子版)は、タス通信のゴロブニン東京支局長の記事を掲載し、「日本は今後首相を極力替えないことを決めた」との見出しで、参院選の結果と安倍政権の今後の見通しを分析している。

  参院選の結果、自民党と公明党の連立政権が衆院、参院ともに過半数の議席を獲得し、07年以来の「ねじれ」が解消されたと指摘。今後、首相が毎年交代する異例な事態はなくなり、安倍政権は少なくとも次期総選挙が行われる3年後まで安定政権を維持できるとみている。

 安倍政権は、まず第一に経済発展に全力を上げることを強調。すでにデフレ脱却に効果を上げつつあり、今後雇用の拡大と賃金増加を目指すとしている。その一方、安倍首相は今後、「別の目的に関心を移す用意がある」と指摘し、憲法改正問題に言及している。この中で、ゴロブニン支局長は安倍首相が天皇を現在の「国民統合の象徴」から国家元首の地位に戻し、戦争の放棄を定めた憲法九条を改正する意向を持っていると書いている。

  首相は九条改正の具体案として、国際紛争を解決できる国防軍の設立を目指しており、弾道ミサイルのような攻撃兵器の保有を考えているとみている。さらに、首相は戦後の歴史認識に関して近隣諸国に謝罪するのをやめたいとしており、北朝鮮はもちろん、中国や韓国の怒りを買っていると強調している。

  首相は当面、中韓両国との緊張関係が緩和される見通しがないことから、友好国を探す必要に迫られており、ロシアとの関係強化を検討している。すでに首相は、日露間の唯一つの懸案である北方領土問題を解決する用意があると述べている。また、日本のエリートは、ロシアがエネルギーなどあらゆる面で日本との協力を望んでおり、極東で生産される天然ガスの主要な消費国になる考えを持っているとみている。

  東京勤務が長く、日本外交の権威であるゴロブニン支局長は、ロシアと日本の関係が安倍政権で一層緊密になると期待している半面、日本の右傾化を憂慮している面が感じられる。安倍政権は当面、中国、韓国との領土問題、歴史認識問題の解決に全力を上げることになるが、そのあとにロシアとの領土問題の解決が待っている。安倍政権の言動をじっくり注視したいというのがロシア側の本音だろう。(この項終わり)



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ナバリヌイ弁護士への実刑判決に保守派からも批判相次ぐ!

2013年07月19日 15時44分09秒 | Weblog

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  プーチン政権と対立する野党指導者アレクセイ・ナバリヌイ弁護士(37)は18日、ロシア・キーロフ州の裁判所で実刑判決を受けた。これに対し、野党だけでなく、与党の一部からも批判が起きている。さらに野党支持者ら多数がロシア各地で抗議デモを行い、警官隊と衝突した。

  ナバリヌイ弁護士は11年暮れ、下院選挙での不正抗議集会・デモを主導し、一躍反プーチン運動の指導者にのし上がった。すでに18年の次期大統領選への出馬を表明、さらに今秋行われるモスクワ市長選挙にも立候補しており、リベラル派の中心人物とみられている。

  このため、プーチン氏が12年5月、大統領に復帰すると政権側から目の敵にされ、横領罪で起訴された。起訴状によると09年、ロシア中部のキーロフ州の知事顧問をしていた際、公的企業からの木材の横流しに関与し、州政府に約3880万円の損害を与えたとされる。18日に判決公判が開かれ、禁錮5年(求刑・同6年)の実刑が言い渡された。

  インタファクス通信によると、この判決に対し、アムネスティ・インタナショナルなどの人権団体は一斉に「政治的判決だ」とのコメントを出した。リベラル派の野党「ヤブロコ」のミトローヒン代表は「この判決は捏造された、政治的動機によるもので、絶対許されない。ロシアを全体主義政治体制に向かわせる、お決まりの一歩となる」と厳しく批判した。

  また、プーチン大統領と親しいクドリン元財務相兼副首相も「この判決はナバリヌイ氏を社会生活、さらには選挙のプロセスから除外しようとするものだ」と批判。保守派のプロホロフ市民綱領党代表も「この判決は中小ビジネスを打破しかねないもので、若い才能のあるビジネスマンがいなくなってしまう」と警鐘を鳴らしている。

  この裁判は、かつてプーチン大統領の政敵とみなされ、収監されて政治活動の芽を潰されたホドルコフスキー元ユコス石油社長のケースと似ている。ナバリヌイ弁護士は、彼の二の舞になるのを恐れ、早々と次期大統領選への出馬意思を明らかにするなど世論に訴えてきた。だが、このままだと結局同じ道を歩まされる可能性がある。

  プーチン大統領はこれまでも民主主義における野党の存在を認め、「今日の世界では、経済でも政治でも競争がなければ発展しない」といいながら、「あくまで法律の範囲内での行動を」と釘を刺している。だが、それが恣意的だとすれば、全体主義的との批判を免れることはできないだろう。(この項終わり)
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プーチン大統領の支持率が増加傾向って本当?

2013年07月16日 08時02分40秒 | Weblog
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  プーチン大統領が返り咲いてから1年2ヵ月たち、大統領の支持率は下げ止まり、モスクワなどで増加傾向にあるとの分析結果がロシアの有力シンクタンクから公表された。その一方では、プーチン政権は窮地に陥りつつあるとの見方も出ている。真実はどちらにあるのだろうか?

  12日付けの露コメルサント紙(電子版)によると、この分析結果を公表したシンクタンクは「戦略発展センター」(ミハイル・ドミトリエフ所長)。11年春、プーチン政権の支持率が落ち込み、早ければ同年暮れの下院選挙時に危機的状況になると正確に予測した唯一つのシンクタンクである。

  ところが、同センターが最近10ヵ月の支持傾向を分析した結果、プーチン氏が2期目の大統領とその後首相を務めた06~10年当時の安定した状況に似てきたという。特に専門家を驚かせたのは、3期目の大統領選前にプーチン氏と与党「統一ロシア」の支持率低下が著しかったモスクワで、他の地域より5~10ポイント上昇したとされる。

  その一方、モスクワっ子の84%がプーチン政権の将来に不安を感じていることがわかった。だが、モスクワで不正選挙が起きた場合、抗議行動をする意思があるかどうか聞いたところ、あると答えた人は25%にとどまった。サンクトペテルブルクでも12%だったが、人口百万人以下の地域では抗議行動に参加する意思があると答えた人が20~30%と高率だった。

  この結果について専門家は「抗議行動への参加の有無などについて感情的に答える人が少なくない。だが、抗議行動をするつもりだと答えた人が、必ずそうするとは限らない。その点から見て、モスクワっ子はかなり理性的に答えている」と話している。

  同センターでは、プーチン政権の支持率が増加傾向になりつつあるのは、国家を守る能力があり、他に代わるべき人がいない強力な指導者、つまりプーチン大統領のカリスマ性のお陰としている。ただし、この傾向がいつまで続くかは予測できないとし、強力な指導者が社会に吹き込む愛国主義次第とみている。

  これに対し、ワシントン在住の国際関係学者ゴードン・ハーン氏はモスコー・タイムズ紙への寄稿文の中で、大統領復帰後のプーチン氏は「不十分な経済自由化と権威主義の強化により、ロシアを衰退の危険な道へ導きつつある」と分析。「今後大統領が取るべき道は自らの政治的死か、厳しい政治的弾圧かのどちらかしかない」と指摘している。

  プーチン大統領が復帰から2年目に入り、反プーチン運動が下火になったことから、プーチン政権が安定しつつあるという見方も成り立つ。だが、それは強権によって反体制派を押さえ込んでいるにすぎず、いつマグマが爆発するか予断を許さない面がある。モスクワ市長選などの地方選挙が行われる秋の陣で何らかの兆候が表れるだろう。(この項終わり)

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ロシア国民はプーチン大統領の離婚をどう受け止めているのか?

2013年07月12日 14時15分02秒 | Weblog
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プーチン大統領(60)が先月、約30年間連れ添ったリュドミラ夫人(55)と離婚したニュースを、ロシア国民はどう受け止めているのだろうか?その結果がこのほど世論調査機関レバダ・センターで明らかになった。過半数の人が「大統領への評価には影響しない」と意外に冷静に受け止めていた(6月15日に関連記事掲載)。

  11日付けのコメルサント紙(電子版)によると、調査は6月20~25日の間、全国で約1600人を対象に行われた。大統領の離婚を「最も記憶に残る出来事」と思う人は28%だった。男女別にみると、女性の35%がそう思ったのに対し、男性は20%で、男女間に15ポイントの差が出た。

  さらに、離婚のニュースに関して「大統領の評価に影響しない」と答えた人が65%にのぼり、「評価が悪くなる」と答えた人は27%、「評価がよくなる」と見る人は3%足らずだった。グラジダンキン同センター副所長は「ロシア人は有名人の私生活に関心はあるが、離婚は個人的なことで重要な問題とは思っていない」と分析している。

  また、モスクワ大学政治哲学学部のエレーナ・シェストパル教授は「プーチン大統領のイメージは既に固まっているので、どんなに重要な要素でも揺るがない。離婚によって大統領の評価が悪くなるという人は、伝統的な価値の信奉者だ」と語っている。

  一方、与党「統一ロシア」のオリガ・バターリナ下院家族・女性・子供問題第一副委員長は「離婚の事実自体は重要ではない。その後、どのような結果が起きるかだ。大統領は模範的な離婚例を示したので、国民の理解と支持を得ている」と高く評価している。

  また、ブイゾフ・ロシア科学アカデミー世論研究所上席研究員も「大半のロシア人は飲酒を悪習だと言っているが、酒を飲まないわけではない。それと同様に、離婚も大統領を害するものではない」と語っている。

  こうした国民意識の背景には、ロシアが世界有数の「離婚大国」であり、離婚経験者が非常に多いという事情がある。アルコール中毒や薬物依存症の患者が多いうえ、貧困や住宅の狭さも一因とされる。だから、離婚問題で大統領だけ責めるのはおかしいという指摘もわからないではない。だが、今回の離婚で女性の支持率がダウンすることは避けられないだろう。これが、5年後の大統領選に響かないという保証はない。(この項おわり)



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政府は「六本木の赤ひげ」アクショーノフ医師にきちんと報いるべきだ!

2013年07月06日 08時36分45秒 | Weblog
   (診察室で質問に答えるアクショーノフ医師=7月5日撮影)
  
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旧満州のハルビンから戦争中に来日、日本語を学んで医師になり、東京・六本木で開業している白系ロシア人、エフゲーニー・アクショーノフ医師(89)に1年ぶりで会った。11年暮れに脳血栓で倒れ、その後どうなったか心配だったが、60年目の今も診療を続けていて、想像以上に元気だった。

  医師と知り合ったのは、モスクワ特派員を6年間務めて帰国した97年秋。知人から「戦後の暗部をよく知っている白系ロシア人がいる」と聞いたのがきっかけだった。何度か会って話を聞いているうちに、この人の人生を描いてみたいと思い、約1年半通って聞き取りし、03年春に単行本『六本木の赤ひげ』(集英社刊)を出版した。

  聞き取りは週に1回、診察の合間を縫って行ったが、飽きずに続けられたのは文字通り、波乱万丈の半生だったからだ。ロシア革命を逃れて両親が移住したハルビンで生まれ、偶然知り合った日本の華族の勧めで来日。日本語を猛勉強して医師国家試験に合格、六本木に外国人向けの「インターナショナル・クリニック」を開業した。

  医師は、これまでに歌手のマイケル・ジャクソン、マドンナ、俳優のジョン・ウエイン、シラク仏大統領ら有名人を多数治療した。その一方、東南アジアなどから出稼ぎに来て病気になり、治療費を払えない青年らにも無料で診療し、生活費まで援助したこともある。

  診察室で再会したアクショーノフ医師に「元気ですか」と声をかけると、「よく食べ、よく眠っている。足が不自由になったが、そのほかは大丈夫」としっかりした答えが返ってきた。今は週3日診察しているが、さすがに往診は控えているという。

  「ロシアへ帰りたくはありませんか」との質問には「世界で一番住みやすい所は東京。人は優しいし、安全だ」と答えた。日本人の奥さんと2人暮らしで、近くに息子夫婦と10歳になる孫の男の子が住んでいる。家庭では良きおじいちゃんだ。

  「やり残したことなどはありませんか」と聞くと「私は何度か(警察当局から)スパイとして疑われたが、何度調べられても証拠はなく、最後は釈放された。だが、これまでに日本政府からなんの謝罪もない」と語り、不満を漏らした。

  医師は1954年、米国へ亡命したラストボロフ駐日ソ連大使館員のスパイ事件に絡み、日本の協力者として名前が挙がった。ラストボロフは米上院調査委の聴聞会で、医師から性病治療に関する情報を得ていたと供述したが、医師は「会ったこともない」と全否定している。そのほか、神奈川県警が捜査した無線機スパイ事件で逮捕され、何日も取り調べを受けたが、無実と判明、釈放された。

  その後、医師は98年、財団法人吉川英治国民文化振興会から吉川英治文化賞を受賞した。「日本文化の向上に尽くし、称えられるべき業績をあげながら報われることの少ない人」として異例の受賞だった。

  医師は何ヶ国語も話せるので、日本語の話せない外国人を昼夜の別なく診察して都内のホテルなどから感謝されている。いわば行政が行うべき仕事を、行政に代わって務めてきたといえる。こうした行為に対して日本政府は報いるべきではないか。ましてや、スパイ呼ばわりして精神的に圧力をかけてきたことに対し、謝罪の言葉もないというのはおかしい。早急に何らかの手を打つべきだ。(この項おわり)
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プーチン大統領、全ロシアの「ロシア正教化」を狙う?

2013年07月01日 13時54分42秒 | Weblog

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  プーチン大統領は、ロシア正教などの信者を侮辱した者を処罰する法案と、青少年に同性愛の宣伝を禁止する法案を承認した。これを受け、両法律は直ちに施行される。これは、プーチン政権がロシア正教と結託して実施している「保守反動化作戦」の一環とみられている。

  リベラル派のルシコフ元下院議員によると、政権側がこうした法案を次々に国会に提出、成立させているのは、反プーチン派に対する「保守反動勢力の反撃」だという。プーチン氏が大統領に復帰した昨年5月以来、ロシア正教と協力して行なっているもので、大都市のリベラル派を迫害し、保守反動勢力に都合のいい国家を作るのが狙いという。

  ルシコフ氏は、こうした保守反動派の攻撃でロシアの将来に絶望し、海外に流出する有能な専門家が驚くべきペースで増えていると指摘する。近年は年間約10万人が国外に脱出し、海外に住むロシア人は200万人を超えているとみられる。

  30日付けのコメルサント紙(電子版)によると、信者侮辱処罰法案は刑法の改正案の一つで、社会に敬意を払わず、信者の宗教的感情を侮辱する目的で行われた、公然たる行動を処罰対象としている。罰則は最高30万ルーブルの罰金、あるいは最高1年の禁錮刑などとされる。また、同性愛宣伝禁止法案の罰金は最高5000ルーブルとなっている。

  宗教関係では昨年、女性のパンクバンド「プッシー・ライオット」が、ロシア正教会の聖堂内でプーチン政権批判のゲリラ演奏を行った事件に絡み、法律改正が行われている。今回は、これに続く宗教関連法案の罰則強化となる。

  こうしたロシア社会の現状について中村逸郎・筑波大教授は「確実にプーチン政権による『全ロシアの正教化』が深化している」と指摘する。プーチン大統領は、正教会に積極的に接近しながら愛国主義を鼓舞し、官僚機関と巨大な与党を手中に収めていると同教授は『ろくでなしのロシア』(講談社)の中で書いている。

  政権側のこうした攻勢は、ロシア社会の保守化を促進するだけでなく、国民の政治への不信感を一層募らせているに違いない。今秋、モスクワ市長選をはじめ、地方自治体の首長・議会選が行われるが、有権者がどういう審判を下すか、じっくり見ていきたい。(この項おわり)


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