飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

G7サミット、焦点の核軍縮、対露戦争とも具体策打ち出せず!

2023年05月22日 08時52分21秒 | Weblog

米国など主要7カ国の首脳が参加して開かれた「広島G7サミット」は21日終了したが、ゼレンスキー・ウクライナ大統領が来日して討議に参加した以上の成果はなく、期待外れに終わった。被爆地・広島でのサミットだけに、我が国の被爆者団体の期待も大きかったが、「失敗だった」と落胆する声が目立った。

最大の焦点だったロシア・ウクライナ戦争については、ウクライナへの支援を継続するとして、西側諸国が戦車に続いて米国製のF16戦闘機の供与も行うことで合意した程度で、具体的な停戦への方策をまとめるまでには至らなかった。これでは今後も戦争が激化する一方で、平和への道筋は一層遠のいた感じだ。

核軍縮に関しても、サミット首脳らが現地で核兵器の惨状を見ることはできたが、それを見てどう思ったか、今後どうすべきかの議論にまでは進まなかったようだ。カナダ在住の日本人被爆者、サーロー節子さんが「核軍縮に関して市民と政府が一緒になって前進させようという機運が生まれただろうか」と嘆いた言葉が胸を打つ。

今回のサミット後、米国に対抗する核大国・ロシアと中国が出したコメントは予想通り、厳しい内容だった。ロシアは「会議で決定されたのは、ロシアを戦場で打ち負かそうとの方針にすぎない」(ラブロフ外相)と反発。中国も「西側の一部先進国が世界を操った時代は終わった」(外務省談話)と、こき下ろした。

問題は今後、サミット参加国がロシアや中国に対して具体的になにをするべきかだ。ロシアをやっつけようという兵器をウクライナに供与する前に、停戦を巡る交渉を直ちに行うべきだ。今こそ、新興国や途上国も加えて、国際協調を取り戻すにはどうすべきかを真剣に討議するべきだろう。(この項終わり)

 

 

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G7サミットでロシア・ウクライナ戦争はどうなる?

2023年05月16日 09時57分35秒 | Weblog

広島市で19日から3日間開かれるG7サミットでは、ロシア・ウクライナ戦争が大きなテーマになっている。議長を務める岸田首相は関係各国を回って事前協議を行ってきたが、停戦への方向性が見いだせるかどうかは不透明だ。結果いかんによっては、岸田首相ばかりか、日本政府全体の評価が下がることは免れないだろう。

岸田首相がG7の議長を務めるのは初めてで、政治手腕に世界の注目が集まっている。特に首相が何回も会談しているバイデン米大統領との18日の首脳会談で、どんな合意ができるかだ。最大の関心事は、戦争の行方とともに、核軍縮に向けて有効なメッセージを発信できるかどうかだ。米国に気兼ねして、中途半端な内容に終わるようでは台無しである。

また、ロシア・ウクライナ戦争では、欧米諸国からウクライナへの戦車やロケット砲システムなどの兵器供与が進められている。最近、供与参加国が増え、ウクライナは軍事的にロシアを追い込んでいるが、ロシアを叩けばいいという問題ではない。西側諸国が一致団結して、戦争を始めたプーチン首相自身に停戦へ向けてカジを切るようにさせられるかどうかだ。

さらに、ロシアとの関係を強化しつつある中国や、ミサイル発射実験を繰り返す北朝鮮への対応も重要だ。力で封じ込めるような強硬策でなく、対話を重ねる方向で協議を進められるかどうかだ。そのためにも、岸田首相はバイデン大統領との事前の首脳会談で、具体的な方策を打ち出して欲しい。

心配なのは、岸田首相にそれだけの大役を果たせる力量があるかどうかだ。政権基盤が弱いだけに、G7を無難にこなして解散・総選挙を急ごうという気持ちはわからないではないが、自分たちの利害ばかり優先していては成果が上がらない。ここは日本、さらには世界全体を考えて全力を尽くして欲しい。(この項終わり)

 

 

 

 

 

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露・ウ戦争、「クレムリン攻撃」で今後どうなる?

2023年05月04日 08時52分26秒 | Weblog

ロシア大統領府を狙ったと見られるドローン2機が5月3日未明、クレムリンを襲撃したことから2年目を迎えたロシア・ウクライナ戦争がさらにエスカレートする可能性が強まっている。双方とも攻撃を否定しているが、和平への道筋は依然定まっていないため、戦争のさらなる長期化が懸念されている。

今回のドローン攻撃に対し、露・ウとも自軍の攻撃を否定しており、真相は明らかではない。ただ、ロシア側はプーチン大統領を標的にしていると主張していて、それを理由にウクライナへの攻撃をさらにエスカレートさせる危険性がある。9日には対独戦勝記念日の式典を控え、報復措置を取る姿勢を見せている。

一方、ウクライナのゼレンスキー大統領も4月30日の国境警備隊の式典で「重要な戦いが控えている」と述べ、大規模な反転攻勢に移ることを示唆していた。すでにNATO加盟国や友好国は、ウクライナに対し、ドイツ製の主力戦車レオパルト2など、1700両を超す戦闘車両を供与している。

だが、すでに1年を越す戦闘で両軍とも多数の死傷者が出ている。米軍情報機関の分析によると、ロシア側の兵士・戦闘員の死者数は昨年12月以降だけでも2万人以上、負傷者も8万人以上に上っているという。ウクライナ側でも同じ程度の死傷者が出ていると米軍は分析している。

このため、ウクライナを支援する西側諸国からは、今後の反転攻勢の成果が乏しければ、ウクライナに対して停戦交渉を求めざるを得ないとの見方も出ている。最大の支援国の米国も、来年には大統領選を控えており、いつまでも戦争を続けたくないとのバイデン大統領側の意向もある。

一方のロシアも、来年は大統領選の実施年に当たっており、プーチン大統領が続投するかどうかが焦点になる。ロシア、ウクライナ双方とも今後、各国の動向を注視しながら動かざるを得ない状況にあり、これからの両軍の戦闘いかんに両国の運命が掛かっているといえよう。(この項終わり)

 

 

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