飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

ロシアの2010年、ことしも色々なことがありました!!

2010年12月30日 10時43分49秒 | Weblog
 2010年も残すところ、わずかになりました。そこで今年1年、ロシアで何が起きたかを振り返ってみようと思います。ロシア国営インタファクス通信の「ロシア:今年の総括」を参考にしました。

 インタファクスは国際ニュースと国内ニュースに分けているので、まず国際ニュースからはじめます。カッコ内は私のコメントです。
 ①米議会、ロシアとの新核軍縮条約を批准(ロシアにとって米露関係が一番大事で、協調関係の柱である新条約批准を歓迎している。だが、共和党の発言力が今後強くなり、対露政策がさらに厳しくなることを警戒している)
 ②ウィキリークス、米外交公電暴露(この事件は大きなニュースになったが、メドベージェフ大統領の「我々にとっては(公電暴露は)屁でもない」を引用し、ロシアへの影響を否定している)
 ③対外政策は成功(諸外国の中でも不仲だったポーランドとの関係を取り上げ、「カチンの森」事件追悼式参列途中に大統領の乗った飛行機が墜落、死亡するという不幸な事故はあったが、メドベージェフ大統領のワルシャワ訪問で正常化したと受け止めている)
 ④NATOとの和解(08年のグルジア戦争以来、対立していたNATOとの関係が正常化し、ミサイル防衛システムで協力することになった。だが、一部でいわれているNATOへの加盟や連合については「仮説に過ぎない」と否定的だ)
 ⑤カザフスタン、ベラルーシと関税同盟結成(3国の同盟になったが、ロシアはさらにウクライナにも加入を勧めている。ウクライナが加盟すれば旧ソ連諸国で大きな影響力を行使できる)

 続いて国内ニュース。こちらは10大ニュースとなっている。
 ①今夏、記録的猛暑(ロシア全土で猛暑が続き、森林火災などが多発し、62人が死亡、穀物の収穫量が3分の2に減る大惨事となった)
 ②モスクワのルシコフ市長、9月にメドベージェフ大統領から解任される
 ③モスクワ地下鉄で3月、爆破テロ発生、40人が死亡、150人負傷
 ④サッカーファンが12月、クレムリン近くのマネージ広場で暴動
 ⑤ロシア、18年のサッカー・ワールドカップ開催国に決まる
 ⑥ロシア人スパイ10人が6月、米国で一斉逮捕される
 ⑦モスクワ郊外の「ヒムキの森」通過の高速道路建設めぐり騒動
 ⑧石油大手ユコスの元社長ホドルコフスキー被告、12月にまた有罪判決
 ⑨モスクワ新市長にソビャニン副首相就任
 ⑩ロシアの警察の名称「ミリーツィア」を帝政時代の「ポリーツィア」に改称

 国内ではなんといっても37度という歴史的猛暑に見舞われたことが最大の事件でした。モスクワ市内も一時火災に伴うスモッグに覆われ、航空機の発着も出来ない状態になりました。私もその直後にモスクワへ行きましたが、すでに平常に戻っていて、猛暑のかけらも残っていませんでした。いまさらながら国土の大きさと回復力の速さに驚きました。

 ここで、メドベージェフ大統領が24日、テレビ3局との会見であげた5大ニュースを再録します。第一は、金融危機からの脱出、第二にロシアの人口減少問題、3番目は夏の猛暑、4番目は米露の新核軍縮条約締結、5番目は対独戦勝65周年です。指導者とマスメディアとの見方の違いがはっきりでていて面白いと思います。

 この日の大統領会見では、北方領土問題について「4島ともロシアの領土だ」と発言したことが日本で大きく取り上げられました。この発言はテレビ局幹部の質問に答えたものです。大統領の北方領土初訪問は5大ニュースにはもちろん、インタファクス通信の10大ニュースにも入っていません。

 ロシアでは今年も色々ありましたが、夏の猛暑を除けばまずまずの年だったのではないでしょうか。来年は暮れに下院選、そして12年3月には大統領選が予定されていて、年明けから本格的な「政治の季節」に入ります。来年は今年以上に目が離せない年になるでしょう。私も懸命にウオッチするつもりなので、みなさんもお付き合いください。では、良いお年を! 
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ロシアの超国家主義がプーチン大統領の復帰につながる!?

2010年12月27日 11時09分01秒 | Weblog
 モスクワ中心部で12月11日に起きた、サッカーファンの若者らによる暴動は、ロシアの今日的な問題をあぶりだした。ブレジネフ・ソ連共産党書記長当時の「停滞の時代」に匹敵する社会の閉塞感が、若者を超国家主義あるいは排外主義に向かわせているからだ。こうした雰囲気が12年の次期大統領選まで続くと、強権主義のプーチン大統領復帰につながるとの見方も出ている。

 11日の暴動は、クレムリン脇のマネージ広場を中心に起きた。サッカーファンら約5500人が、サッカーファンとカフカス地方出身者とのけんかで死亡した事件の不公正な捜査に抗議する集会だったが、若者たちは「ロシア人のためのロシア」「モスクビッチのためのモスクワ」などと排外主義的なスローガンを叫びだしたのだ。これを押しとどめようとした治安部隊との間で乱闘になり、30人以上が負傷、60人以上が拘束された。

 この暴動をメドベージェフ大統領は「ポグロム(集団的な迫害)であり、罪を起こしたものは罰せられる」と非難し、国民の不安感を煽る結果になった。これに対し、野党指導者のネムツォフ元第一副首相は「こうした暴動はロシアの崩壊につながり、ロシアには“強い手”が必要だという声が強まる。結果的にプーチン大統領復帰の道を開くことになる」と警告した。

 今回の事件について民主派のラティニナ女史はモスコー・タイムズ紙への寄稿文で、超国家主義的暴動はカフカス・ファシズムとロシア・ファシズムの源流があり、ロシア・ファシズムに関しては「プーチン大統領時代の8年間に日常化した」と指摘している。その理由として女史は、プーチン体制のイデオロギーがファシズム的だったことをあげている。

 ロシア国内に超国家主義的な雰囲気が広がっていることは、世論調査の結果からもうかがえる。昨年9月に世論調査機関ネバダ・センターが調査したところ、「ロシア人のためのロシア」のスローガンを支持する人は調査対象者の56%にのぼったという。さらに、ロシア系住民とカフカス地方出身者とのけんかやリンチ事件が多発していることも指摘されている。

 ロシアには160以上の民族が住んでいる。ロシア人は約80%を占めるが、そのほかにタタール系、ウクライナ系、カフカス系などの民族がいる。多民族国家で超国家主義や排外主義が高まると、秩序維持が難しくなる。次期大統領選を巡り、メドベージェフ大統領とプーチン首相の争いが水面下で進む中、国内の治安をいかに維持するかが双頭体制の重要な問題になってきた。

 
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政府は北方領土交渉に向け、思い切った人事異動を断行せよ!!

2010年12月23日 11時12分06秒 | Weblog
 日本政府は、メドベージェフ露大統領の北方領土初訪問の判断を誤った河野雅治・駐ロシア大使を更迭する方針を決めた。事態打開に向けたこの人事をひとまず歓迎したい。だが、大使交代だけでは不十分だ。領土問題に本格的に取り組むには、もっと思い切った人事を断行すべきだ。

 大統領の北方領土初訪問の話は、今年9月から出ていたのに、それを放置したのは河野大使だけの責任ではない。それを指導・監督すべき本省の幹部が「大統領が訪問するわけがない」と決めてかかり、出先に対し十分な調査を命じなかったからだ。まさに同罪といわなければならない。

 そもそもロシア側と日本側との意思疎通がうまくいかなくなったのは、鈴木宗男衆議院議員(当時)が2002年、あっせん収賄罪などで逮捕された事件を巡る日本政府の措置にロシア側が不信感を抱いたからだ。この事件に関連して当時の東郷和彦欧州局長らロシアン・スクールの幹部を一掃し、それまで築いてきたプーチン大統領ら政府要人との信頼関係をご破算にしてしまったといっても過言ではない。

 そのうえ外務省は、当時鈴木議員“追い落とし”の尖兵だった小寺次郎ロシア課長を、対露外交の責任者である欧州局長に昇格させている。これでは、ロシア側が外務省を信頼して情報を流すわけがない。しかも、小寺局長は11月の大統領北方領土訪問直前まで「訪問はありえない」と新聞記者らに公言していたという。

 大統領の北方領土訪問以来、ロシア側は北方領土の実効支配を強めている。プーチン首相は今月6日、ハバロフスクで演説し、極東・シベリア地域のインフラ整備を急ぐ方針を表明した。それを受けてロシア政府は金融危機で減額していたクリル(千島)諸島社会経済発展計画の予算を元通りに復活させることを決めた。こういう動きをみていると、ロシアは北方領土交渉を完全に打ち切るのでは、と思えてくる。

 だが、その一方で、日本側に領土問題を含む対露政策を刷新し、交渉のテーブルに就くよう求めているとの声も聞こえてくる。今回の一連のロシア側の措置は、そのためのショック療法だというのである。ロシアのこれまでのやり方を見ていると、強硬な姿勢を示してきたときこそ、こちら側のチャンスであることが少なくない。

 今回の事態を深刻に受け止め、「過を転じて福となす」には、日本側も肉を切らせて骨を切るくらいの気概をもって事に当たらなければならない。この際、日本政府は大使の首のすげ替えだけに終わることなく、さらなる人事異動を含む抜本的な態勢立て直しを進めてほしい。
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プーチン露首相、来年の下院選も与党名簿トップで立候補する意向!!

2010年12月20日 10時34分54秒 | Weblog
 来年暮れのロシア下院選に、プーチン首相が与党「統一ロシア」の名簿1位で立候補する意向を示した。07年の前回選挙でも首相は与党の立候補名簿1位で選挙戦を闘い、与党が「全議席の3分の2獲得」に貢献した。次回も前回通りだと、プーチン首相は12年の次期大統領選に立候補しないことになるが、はたしてどうなるのか…。

 20日の有力紙コメルサント(電子版)によると、首相はテレビ番組「土曜ニュース」のインタビューで「このことを発言するのはまだ速いが」と断りつつ、来年暮れの下院選に与党名簿の1位で立候補する意向を表明した。首相は現在与党党首だが、次回選挙でも「与党の顔」として選挙戦に臨む意思を示したものだ。

 ロシアの下院選は、次期大統領選を占う重要な選挙だが、首相はこれまで次期大統領選、下院選についての具体的な構想を何も語ってこなかった。今回の発言は「政治の季節」に向けての「最初の選択」(コメルサント紙)といえる。だが、焦点の次期大統領選の立候補問題については言及していないため、政界では様々な憶測が乱れ飛んでいる。
  
 改革派野党ヤブロコ(りんごの意味)のイワネンコ政治委員は「下院選で与党の勝利が必要なのは、次期大統領選に大統領と首相のどちらが立候補するにせよ、大統領選に直結するからだ」と語り、次期大統領選の立候補を巡る大統領と首相の争いはまだ続くと見ている。

 政治評論家のミンチェンコ氏は「はっきりしているのは、大統領も首相も政界に残りたいということだけだ」と、クールな分析。また、政治工学センターのマカレンコ氏も「2人ともイメージが良くなることは、ひとつも逃すまいと努力しているということだ」と突き放した見方をしている。いずれにしろ、来年3月の地方議会選挙が終わるまでは、双方とも大きな動きはないというのが大方の見方だ。 
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クレムリン脇でサッカーファン数千人が警官隊と乱闘、40人が負傷!!

2010年12月13日 10時17分45秒 | Weblog
 モスクワ中心部のクレムリン脇で11日、サッカーファン数千人が無届けデモ中に警官隊と乱闘となり、デモ隊と警官合わせて約40人が負傷した。背景にはロシア人とカフカス系住民との対立があり、尾を引きそうだ。

 サッカーファン数千人はこの日、クレムリン脇のマネージ広場で仲間の死を再調査するよう要求するデモを行った。彼らは口々に「ロシア人のためのロシア」「カフカス系は出て行け」などと叫んだ。その後、デモ隊はカフカス系の若者グループを見つけ、袋叩きにしようとして警備の警官隊と乱闘になった。この騒動でデモ隊の66人が拘束された。

 抗議デモのきっかけは、サッカークラブ「スパルターク・モスクワ」のファンだったエゴール・スビリドフさん(28)が今月5日、北カフカス系の若者と乱闘になり、死亡したためだ。警察は北カフカス系の1人を拘束したが、その仲間は事情聴取後に釈放した。このため「警察は金をもらって釈放した」とのうわさが流れ、サッカーファンら約5500人が無届けデモを行い、警察に抗議した。

 乱闘後、モスクワ警察署長がデモの代表と話し合い、スビリドフさん事件の再調査を約束したため、デモ隊は解散した。だが、カフカス系住民らが仕返しに来るとのうわさが流れ、12日もモスクワ市内は騒然とした状態が続いた。

 ロシアでは最近、ロシア系住民とカフカス系住民との乱闘事件が相次いでいる。サッカーファン・クラブと民族主義組織がオーバーラップしているとの見方もあり、サッカー協会関係者は「ナショナリストがサッカーファンを巻き込もうと扇動したことは明らかだ」と語っている。ある民族組織リーダーは「デモ参加者の少なくとも半数はナショナリストだ」と認めている。

 18年のサッカー・ワールドカップ開催地はロシアに決まったが、サッカーが民族主義運動に利用されるようでは先が思いやられる。メドベージェフ政権は今後こういう暴動が起きないよう、きちんとした再発防止策を講じてほしい。
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クレムリン、「ヒムキの森」伐採の有料自動車道建設にゴーサイン!

2010年12月10日 10時40分01秒 | Weblog
 ロシアのメドベージェフ政権は、自然保護の市民運動グループが強く反対していたモスクワ郊外の有料自動車道建設にゴーサインを出した。周辺住民を巻き込んだ反対運動が広がりを見せたため、メドベージェフ大統領は今年8月、建設を一時凍結して建設ルートの再検討を進めていた。(7月23日、8月27日の「飯島一孝ブログ」参照)

 10日の経済紙「ベードモスチ」によると、クレムリンとしての最終決定だというが、その理由についてはコメントしていない。この決定により、樫の木の原生林が生い茂っている「ヒムキの森」のうち、道路建設ルートにかかっている部分はことごとく伐採されることになる。

 ヒムキの森は、モスクワ北方のシェレメーチェボ国際空港近くにある。この森は、モスクワとサンクトペテルブルク間を結ぶ有料自動車道の建設ルートにかかっているため、自然保護運動家らが反対運動を起こした。有名なロックバンド「U2」のボーカル、ボノ氏(50)が今夏モスクワのコンサートで建設中止を呼びかけたことから、メドベージェフ大統領が調停に乗り出し、モスクワ市など関係当局と専門家による特別委員会を設置、検討していた。

 この道路建設を巡っては、この問題を追及しているジャーナリスト3人が何者かに襲撃され、大ケガを負う事件が起きている。11月には、有力経済紙コメルサントのオレグ・カーシン記者が襲撃され、重傷を負って今も入院している。

 クレムリンは、来年後半から始まる下院選挙や大統領選を控え、反対運動がこれ以上盛り上がるのを恐れて早期決着を図ったものと見られる。だが、ジャーナリスト襲撃事件もいまだに未解決で、市民のさらなる反発を招くことは必至だ。一時凍結を決めたメドベージェフ大統領が、なぜこういう結論を支持したのか、是非説明を聞きたい。
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次期ロシア大統領選、「プーチン抜き」ならメドベージェフ圧勝!?

2010年12月08日 10時31分28秒 | Weblog
 次期大統領選(2012年)をプーチン首相抜きで行えば、メドベージェフ大統領が圧勝するという世論調査結果がこのほど明らかになった。クレムリンに近い世論調査機関が行ったものだが、なぜ「プーチン抜き」で調査を行ったのか、その真意を巡って様々な憶測が乱れ飛んでいる。

 8日のモスコー・タイムズ紙(電子版)によると、この世論調査は先週、ロシア国内の83地域中、46地域で1600人を対象に行われた。「次の日曜日に大統領選が行われた場合、誰に投票するか」との質問に対し、メドベージェフ大統領と答えた人が過半数を越え、そのほか、ジリノフスキー自民党党首が5%、ジュガーノフ共産党委員長が4%、ショイグ非常事態相は3%だった。

 問題は、なぜ次期大統領選の最有力候補であるプーチン首相を大統領候補からはずしたかだ。世論調査機関側はその理由を明らかにしていないが、ライバルの調査機関代表は「クレムリン上層部の判断だろう」と語り、政治的意図を匂わせている。

 問題の調査機関はこの調査とは別に、政治家人気度調査も実施しており、その調査結果によると、トップはプーチン首相の48%、メドベージェフ大統領は2番で42%だった。人気調査では、いまもプーチン首相がトップの地位を守っていることは変わっていない。

 次期大統領選の焦点は、2人のうち、どちらが立候補するのかに絞られていて、2人は選挙が近づいたら話し合って候補者を決めると語っている。今回は大統領側近が意図的に「プーチン外し」の世論調査を行い、メドベージェフ優勢の流れを作ろうとした可能性がある。

 この世論調査結果は、今後の大統領選にどんな波紋を投げかけるのだろうか。いまもプーチン首相が実権を握っているのは確実で、大統領陣営に手痛いしっぺ返しがあるかも…
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ロシアが2018年のサッカーW杯開催地に決まったものの、難題が…

2010年12月03日 10時21分59秒 | Weblog
 「ウラー!ウラー!」。2018年のサッカー・ワールドカップ開催地にロシアが決まった瞬間、チューリッヒのFIFA理事会会場はロシア代表団の喜びの歓声に包まれた。シュバロフ副首相や棒高跳びのイシンバエワ選手は飛び上がって喜びを表していた。

 この模様は2日夜、ロシアのテレビのトップニュースで伝えられた。全国ネット3局の中でも「第一チャンネル」はニュース番組「ブレーミャ」で大々的にこのニュースを報道。ロシアのサッカーファンやちびっ子選手たちの喜びの声を放送したほか、メドベージェフ大統領とプーチン首相のメッセージも流した。
  
 大会招致に尽力したプーチン首相は「ロシア人はサッカーが好きで、第二次世界大戦の最中でもサッカーに興じていた」と語りだし、「ロシアには大会を価値の高いレベルにするためのすべてがある」と開催への自信を見せた。そして直ちに代表団の労をねぎらうため、チューリヒに向かった。

 だが、ロシアは喜んでばかりはいられない。有力経済紙コメルサントは3日の電子版で「(サッカー・ワールドカップ開催は)ロシアにとって歴史上、最も高額の、最も困難なプロジェクトになる。2014年のソチ冬季五輪よりも金がかかり、大変だ」と財政上の問題を指摘している。

 ロシアの計画では、モスクワなど13都市に分散して試合が行われ、各都市で4万人以上収容のスタジアムを新設しなければならない。この建設費で38億ドル、さらに運営費が6億ドル以上かかる。これだけにとどまらず、各都市で道路、空港、ホテルなどのインフラを整備しなければならない。総額でいくらかかるのか、ロシア政府もまだつかみきっていないのが実情だ。

 その一方で、鉄鋼業界や建設業界は「業界にとって大きな朗報だ」と、早くも降って沸いた受注大幅増を当て込んでいる。ロシアのインフラ整備はまだまだ緒に付いたばかりなので、今回の決定が近代化の大きな弾みになるのは間違いない。

 14年のソチ五輪に加えて18年のサッカー世界大会の開催が本決まりとなり、ロシアにとっては大きく飛躍するチャンスだが、巨額の財政負担もかかってくる。このチャンスを生かせるかどうか、ロシア総体の真価が問われている。
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