モスクワは、リーマン・ショックで落ち込んでいるのではないだろうか。2年ぶりに訪れた私は、市内を歩き回り、いろいろな人に聞いてみた。その中で最もわかりやすく、説得力があったのは、私が乗った白タクの運転手だった。
「ロシアの景気はどう?」
「金融危機だといわれているが、モスクワに危機はないよ。街は人々でにぎわっているし、デパートも一杯だ。地方は大変らしいけど、モスクワは違うよ」。
「ところで、プーチンとメドベージェフはどうなの?」
「プーチンが親父でメドベージェフは息子みたいなもんさ。プーチンがすべてを決めているんだ」
「じゃ、3年後の大統領選はどうなるの?」
「プーチンが大統領に復帰し、メドベージェフが首相になるかもしれないよ。どちらにしろ、2人のうちのどちらかさ」
40代の男は、昼間はタクシーを運転し、夜は自分の車を運転して稼いでいるという。「お客はどうかって?全然減っていないよ」。お金を受け取ると、男は車を震わせて夜の街に消えていった。新興国中、最も金融危機の影響を受けた国といわれるロシアだが、庶民は今回もしぶとく生き抜いていた。
夜の街を歩くと、2年前に比べちょっぴりさびしい感じがした。なぜだろうと考えてみた。最初はリーマン・ショックのせいかと思ったが、どうもそうではないらしい。国の命令でカジノの灯が消え、さらにメドベージェフ大統領の“禁酒令”でバーやレストランが盛り上がらないからではないだろうか。
目抜き通りにあるプーシキン広場には、昔のままのプーシキンの銅像が立っていた。向かい側にはファッションやサッカーの大きな広告があり、プーシキンが広告を覗き込んでいるような気がした。恋に生き、決闘で命を失った情熱の詩人は、今のロシアを見てなんと言うだろうか。ぜひ聞いてみたいと思った。(この項はこれで終わりです)
「ロシアの景気はどう?」
「金融危機だといわれているが、モスクワに危機はないよ。街は人々でにぎわっているし、デパートも一杯だ。地方は大変らしいけど、モスクワは違うよ」。
「ところで、プーチンとメドベージェフはどうなの?」
「プーチンが親父でメドベージェフは息子みたいなもんさ。プーチンがすべてを決めているんだ」
「じゃ、3年後の大統領選はどうなるの?」
「プーチンが大統領に復帰し、メドベージェフが首相になるかもしれないよ。どちらにしろ、2人のうちのどちらかさ」
40代の男は、昼間はタクシーを運転し、夜は自分の車を運転して稼いでいるという。「お客はどうかって?全然減っていないよ」。お金を受け取ると、男は車を震わせて夜の街に消えていった。新興国中、最も金融危機の影響を受けた国といわれるロシアだが、庶民は今回もしぶとく生き抜いていた。
夜の街を歩くと、2年前に比べちょっぴりさびしい感じがした。なぜだろうと考えてみた。最初はリーマン・ショックのせいかと思ったが、どうもそうではないらしい。国の命令でカジノの灯が消え、さらにメドベージェフ大統領の“禁酒令”でバーやレストランが盛り上がらないからではないだろうか。
目抜き通りにあるプーシキン広場には、昔のままのプーシキンの銅像が立っていた。向かい側にはファッションやサッカーの大きな広告があり、プーシキンが広告を覗き込んでいるような気がした。恋に生き、決闘で命を失った情熱の詩人は、今のロシアを見てなんと言うだろうか。ぜひ聞いてみたいと思った。(この項はこれで終わりです)