北方四島訪問団にロシア当局が出入国カードへの記入を求めた問題で日本政府は四島住民への人道支援を中止したが、これは手続き上の問題であり、それほど大騒ぎするような問題ではない。しかも、金融危機に悩むロシアのメドベージェフ政権が今、日本側に秋波を送ってきている時だけに、いたづらに対立をあおるのは日本にとって得策ではない。早急に話し合いで解決するよう、配慮すべきだ。
出入国カード問題は、テロリストや密輸グループを水際で防ごうとロシア内務省移民局がすべての外国人に義務付けたものだ。これに対し、ロシア外務省は日露間の「ビザなし交流」を例外扱いするよう求めたが、内務省に押し切られたという。プーチン政権下で台頭した治安・情報関係幹部(シロビキと呼ばれる)がロシア政府の主導権を握っているからだろう。
一方、日露間のビザなし交流でも訪問者の名簿は双方が提出することになっており、名簿を出すかカードに記入するかの問題ともいえる。だが、日本外務省は「カード提出は北方領土のロシアの主権を認めることになる」と主張、これを拒否している。
そればかりか、日本のマスメディアに対しても、ロシアのビザを取得して北方領土入りすることを固く禁じている。これを破った場合は、外務省記者クラブ(通称霞クラブ)への立ち入りを禁ずるなどの『処分』を課してきた。これも出入国カード記入と同じ論理で対処しているわけだが、あまりにも建前にこだわりすぎているのではないか。
日露貿易は昨年、合計で300億ドルを超え、サハリンの石油輸入も始まるなど、日露関係はいま、これまでにない良好な関係になっている。メドベージェフ大統領は2月にサハリンで行われるLNG(液化天然ガス)出荷記念式典に麻生首相を招き、首脳会談を開くと提案している。さらにプーチン首相の訪日も予定されており、日露関係は新時代に入ろうとしている。こういう大事な時期に、いたづらに両国の対立をあおるような対応は避けるべきだ。
出入国カード問題は、テロリストや密輸グループを水際で防ごうとロシア内務省移民局がすべての外国人に義務付けたものだ。これに対し、ロシア外務省は日露間の「ビザなし交流」を例外扱いするよう求めたが、内務省に押し切られたという。プーチン政権下で台頭した治安・情報関係幹部(シロビキと呼ばれる)がロシア政府の主導権を握っているからだろう。
一方、日露間のビザなし交流でも訪問者の名簿は双方が提出することになっており、名簿を出すかカードに記入するかの問題ともいえる。だが、日本外務省は「カード提出は北方領土のロシアの主権を認めることになる」と主張、これを拒否している。
そればかりか、日本のマスメディアに対しても、ロシアのビザを取得して北方領土入りすることを固く禁じている。これを破った場合は、外務省記者クラブ(通称霞クラブ)への立ち入りを禁ずるなどの『処分』を課してきた。これも出入国カード記入と同じ論理で対処しているわけだが、あまりにも建前にこだわりすぎているのではないか。
日露貿易は昨年、合計で300億ドルを超え、サハリンの石油輸入も始まるなど、日露関係はいま、これまでにない良好な関係になっている。メドベージェフ大統領は2月にサハリンで行われるLNG(液化天然ガス)出荷記念式典に麻生首相を招き、首脳会談を開くと提案している。さらにプーチン首相の訪日も予定されており、日露関係は新時代に入ろうとしている。こういう大事な時期に、いたづらに両国の対立をあおるような対応は避けるべきだ。