飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

メドベージェフ露首相が予定通り択捉島を訪問!

2015年08月22日 08時54分29秒 | Weblog
メドベージェフ首相は22日、公言していた通り、北方四島の択捉島を訪問した。これに関連してロシア外務省は声明を発表し、日本政府の閣僚訪問中止要請を拒否する姿勢を明確にした。このためプーチン大統領の訪日は当分の間延期される見通しとなった。
タス通信によると、メドベージェフ首相は空路択捉島に入り、同島で開催中の青年研修キャンプに出席。さらに、建設中の飛行場や文化スポーツ会館を視察する。これらの施設はロシア政府の「北方四島社会経済発展計画」に基づいて建設されているもので、その進捗状況を確認するというのが表向きの訪問理由にされている。
メドベージェフ首相訪問と同時に発表されたロシア外務省の声明によると、最近日本政府側からロシア政府閣僚の北方四島訪問に対し『受け入れられない』とのコメントが聞かれるが、我々の閣僚の日程作成に当たって日本政府の立場を考慮に入れることは考えていないと明言。とりわけ、北方四島計画の進捗状況をチェックする訪問については今後も続けるとして、日本政府の要請を拒否した。
声明は最後に「日本政府は北方四島の根拠のない要求について、いつも第二次大戦の公然たる結果を無視する態度をとっているが、そのような言動は戦後70年を目前に控えた国際社会にとって遺憾である」と言い切っている。
この声明は日本政府の要請への「最後通牒」ともいえるもので、日本政府としても看過出来ないだろう。安倍政権はプーチン大統領の年内訪日を希望して岸田外相の訪露の準備を進めていたが、これで当分は凍結となろう。ウクライナ紛争も解決の見通しが立たず、双方による経済制裁が継続中であり、日露関係は再び停滞が続きそうだ。(この項おわり)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ロシアで国旗や国歌への関心が急速に高まっている!?

2015年08月20日 13時09分23秒 | Weblog
ロシアで国旗を持っている国民が、この10年間に3人に1人から2人に1人へと増えたうえ、国歌の歌詞をちゃんと知っている国民も10年前に比べ大幅に増えているー。こんな世論調査結果が20日のイズベスチア紙(電子版)に掲載された。これはやはりロシアで愛国心が高まっている証拠なのだろうか。
この調査は中立系世論調査機関レバダ・センターが、ロシア国内46カ所で800人を対象に行ったもの。同センターは8月22日の国旗の日を前に、国旗と国歌への関心度を探ろうと調査したという。
その結果によると、国旗を持っていると答えた人は47%で、このうち大きな国旗を持っている人が11%,小さな国旗を持っている人は36%だった。05年には国旗を持っている人が28%だったので、10年間で19ポイント増えたわけだ。
また、現在のロシア国歌の歌詞を知っているかどうかを聞いたところ、「知っている」と答えた人は43%、「知らない」は53%と10ポイントも多かった。10年前と比べると、知っていると答えた人が28%へと15ポイント増えている。
さらに、国歌の歌詞を知らないといけないと思っているかどうか聞いたところ、「その通りだ」と答えた人が81%に上った。年代別では18歳から24歳までの若者の64%が「知っている」と答えたのに対し、55歳以上の中高年の62%が「知らない」と答えている。
若者の方が歌詞を知っているのはソ連崩壊後、国歌が変更され、新しい国歌の下で育ったことが影響している。一方、中高年からすればソ連国歌の方に郷愁があるからだろう。
ロシア国旗への関心が高まっている理由について社会学者のカリーナ・ピピヤさんは「最近、ソチ冬季五輪や世界選手権があったり、ウクライナ紛争でクリミア半島のロシア編入があり、国旗を掲げる機会が増えたからだろう。その背景には現政権への信頼があるからに違いない」と分析する。
ロシアは多民族国家なので、日本などと違ってなかなかまとまりづらい面がある。それでも国旗の所有者がざっと国民の半分に増えたことは、愛国心が高まりつつあると言っていいだろう。また、プーチン政権への支持も何割か含まれていると言えるかもしれない。
だが、ソ連崩壊から四半世紀経とうとしているのに、まだ国家としての一体感が出てきたとまでは言えない。依然続いているウクライナ紛争も同じ民族同士の争いという面もある。われわれは隣国として、今後ともロシアの行く末を注視する必要がある。(この項おわり)



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

70年目の終戦の日に思うこと

2015年08月15日 15時08分58秒 | Weblog
今年の終戦の日は、安倍首相の「戦後70年談話」に振り回され過ぎた感じがする。日本のメディアも談話の中身をアレコレと詮索し、談話に期待を持たせ過ぎたのではないだろうか。結局、出てきたのは、これまでの村山談話、小泉談話の枠内にとどまり、内外に気を配った内容に過ぎないように感じる。
毎日新聞の識者談話の中でいうと、武村正義元官房長官の「まるで人ごとのよう」と言う談話が私には一番ピッタリする。「侵略」「お詫び」「反省」などのキーワードをちりばめているものの、解説調に触れただけで、国家の指導者として語った形になっていない。
我々の関心は現在審議が進んでいる安保法案がどうなるのか、与党はどうやって今の国際状況を切り拓いていくのか、という現実問題である。ところが、こういう問題には具体的に触れず、談話がまさに宙に浮いている感じがする。逆に言うと、談話と安倍政権が現在進めていることがシックリせず、談話が綺麗事にしか映らないのである。
作家の佐藤優さんに言わせると、「戦後レジームからの脱却」を主張していた人物が、戦後レジームそのものとも言える談話を出したことに「違和感を覚える」ということになる。同感である。所詮はこの程度のことしか考えていなかったということだろうか。
安倍談話が最後の部分で未来志向を提言している点については共感出来ないわけではない。だが、それが安倍首相の言う「積極的平和主義」では賛成出来ない。言葉の響きとは裏腹に、軍事力に対して軍事力で対応するという中身だからだ。あくまで専守防衛を貫き、外交で国際問題を解決することを最優先するべきだ。今のような安保法案は集団的自衛権をふりかざして相手を挑発するだけの効果しか感じられない。安倍政権は今こそ国民の声にじっくり耳を傾け、出直すべきではないだろうか。(この項おわり)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

メドベージェフ首相、再び大統領を狙うのか?

2015年08月01日 10時42分12秒 | Weblog
前回、2012年の大統領選でプーチン氏に大統領ポストをゆずった形のメドベージェフ氏だったが、次期大統領選(2018年)を控え、ようやく動き出したかに見える。先月、北方領土訪問を言い出したのも、内外に存在感を示そうと云う狙いがあったのではないか。
その証拠とも言える「政治家ランキング100」が、中立系の独立新聞最新号の電子版に掲載された。それによると、ランキングトップは当然ながらプーチン大統領だが 、久々にナンバーツーに復帰したのがメドベージェフ首相だった。ナンバースリーはプーチン大統領の友人のイワノフ大統領府長官で、2位からのダウンとなった。
ちなみに、4位はボロジン大統領府副長官 、5位がラブロフ外相である。地味な外相が5位以内に入るのも異例だろう。
ここで思い当たるのは、メドベージェフ首相が北方領土訪問を言い出した狙いである。彼が国家元首として初めて北方領土訪問を強行した10年11月は、前回の大統領選を間近に控えた時期だった。今回も同じような時期に言い出したと言っても過言ではない。その狙いとはズバリ、大統領候補として存在感を示そうということに加えて国民の人気取りに他ならない。
日本政府は当然ながら強く反発したが、プーチン大統領の訪日を調整している時期だけに、それほどのインパクトはなかった。
最近のメドベージェフ首相の言動をみていると、以前のような改革派的な面はすっかり影をひそめ、なんとかプーチン大統領に気に入られようと懸命になっている感じがする。やはり、タンデム政権と言われた頃は二人で別の顔を演じていたのだろうか。
今後プーチン後継を巡って再び政治闘争がはげしくなるだろう。だが、その中心に誰がいるかは未だなんとも言えない感じだ。メドベージェフ首相は、このままプーチン大統領の影武者的存在で終わるのだろうか?(この項目 終わり )













コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする