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フランスの第3代大統領、ジスカールデスタン氏(89)は訪露中の29日、モスクワ大学で講演し、「クリミア半島は一度もウクライナ領だったことはない」と述べ、ロシアのクリミア編入を事実上擁護する発言をした。ただし、ロシア一国で決める問題ではないとし、国際会議を開いて討議すべきだと提案した。
ジスカールデスタン氏は独立共和派の政治家で、1974年の大統領選で左派統一候補を僅差で破って当選した。大統領として欧州通貨制度の創設など、欧州統一を推進したが、81年の大統領選で社会党のミッテラン候補に敗れた。
29日付けのロシア経済紙コメルサント(電子版)によると、ジスカールデスタン氏はモスクワ大学で学生を前に約30分間、欧州連合(EU)の外交政策をテーマに講演した。この中で、ロシアをEUのメンバーにするかどうかを議論したことは一度もないと述べ、「ロシアはEUの最も重要なパートナーである」と強調した。
さらに、ジスカールデスタン氏はこれまでロシアと西側の間で経済制裁を行うような対立を避けてきたことを指摘し、「EUはロシアに対する厳しい制裁を科す試みに反対すべきだ」と訴えた。また、同氏は欧州とウクライナとの関係について「われわれはウクライナを欧州の一員にするという問題を討議したことはない。ウクライナは欧州の軍事同盟に入るべきではない」と指摘。ウクライナ危機の解決策として完全な停戦を実現し、ウクライナを非中央集権国家にすべきだと提案した。
ジスカールデスタン氏は講演で、28日にプーチン大統領と会談したことを明らかにし、「大統領は私に『ロシアはウクライナの国境を変更するつもりはないが、世界中で誰もこのことを知らない』と話していた」と語った。
最後に同氏はクリミア編入問題について「歴史を学ばなければいけない。クリミアは一度もウクライナ領だったことはない」と指摘し、この問題で国際会議を開いて討議するよう世界に向けて呼びかけた。
ジスカールデスタン氏は欧州統一に向けて尽力した政治家として知られているが、ロシアのクリミア編入を擁護するような発言を行うとは思わなかった。もちろん、歴史的な観点からの意見で、これを国際社会が承認するためには関係各国が参加する国際会議で討議する必要があるとしている。事態の打開案として検討すべき意見ではないだろうか。(この項おわり)