飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

「全国紙」がなくなる日は、そう遠くない!?

2024年05月04日 09時12分01秒 | Weblog

メディアの実情を伝える月刊誌「FACTA]は5月号で、『「全国紙」がなくなる日』というタイトルの記事を掲載。その中で、全国紙の発行部数が年々落ち込み、その影響で人件費の削減が続き、特に地方支局でその影響が広がっていると指摘している。

まず全体状況から見てみよう。2023年末に日本新聞協会が公表した同年の日刊110紙の総発行部数が前年に比べ7・5%減った。6年連続の減少だ。日本ABC協会がまとめた日刊紙の朝刊販売部数(月間)は昨年同期に比べ7・2%の減少で、その約7割を全国紙が占めている。つまり、地方紙の減少率は全国紙に比べ全体として低いというのだ。

そこで、新聞業界で大手紙の朝刊販売部数を10年前と比べると、各紙とも大幅に落ち込んでいる。読売新聞と朝日新聞は年平均で約40万部の減少。読売新聞と毎日新聞、日経新聞は半分以下になったという。部数が減れば当然売上高が減ってくる。例えば朝日は22年度の売上高が10年前の6割弱に落ち込んだ。

売り上げが減った場合、帳尻合わせの最も手っ取り早い方策は人件費の削減だ。新聞各紙、特に全国紙は「部数減→支局・記者減→取材力低下→紙面の質低下→部数減の負のスパイラルに陥っている」という。中でも地方の取材拠点を急速に減らしているのは朝日新聞で、10年7月に296ヶ所あったのが、23年7月には158ヶ所に大幅に落ち込んだ。このうちの大半は支局の削減だ。

削減の方法は新聞社によって多少異なるが、毎日新聞、産経新聞も取材拠点を半減させている。中でも産経新聞は支局や通信部を大幅に減らし、そうした地域では共同通信の配信に依存している。これに対し、読売新聞は05年以降、300を越す取材拠点を保持している。「唯一無二の全国紙」を目指しているという。

こうした全国紙の地方撤退は「道府県版などの紙面の劣化として表れてきている」とFACTA誌は指摘している。こうした地方取材網の削減は、記者の労働強化につながる。特に選挙の時には担当地域が2倍になれば2倍忙しくなるので、部数減のしわ寄せは地方記者に重くのしかかっているという。

以上の実態から、FACTA誌は「このままのペースで取材網縮小、記者削減が続けば5、6年後には100万部を上回る新聞は読売新聞だけになる見通しだ。名実ともに『全国紙』と言える新聞はほとんどなくなってしまうだろう」と指摘している。果たしてこれで良いのだろうか。(この項終わり)

 

 


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