ロシアによるウクライナ侵攻から3カ月経過するが、戦闘は依然ウクライナ優勢で進んでいて、このままだとウクライナが勝利する可能性が強まっている。こうした情勢を受けて、ロシアの周辺2カ国が相次いでNATO(北大西洋条約機構)への加盟を申請した。これが認められると、ロシアは事実上敗北する形になりかねない。だが、ロシアはあくまで戦闘を続ける構えで、いつになったら世界に平和が戻ってくるのだろうか。
ロシアのプーチン大統領は、数カ月以内にウクライナ軍を破って勝利するとみてウクライナへ攻め込んだが、ウクライナ軍の思わぬ善戦でロシア軍の敗色が濃くなっている。こうした動きを受けて、西欧とロシアの間で非同盟・中立政策を維持してきたフィンランドとスウェーデンが、米欧の軍事同盟であるNATOへの正式加盟を申請した。申請が認められると、NATOはバルト海沿岸をほぼ勢力圏に収めることになり、ロシアは出口をふさがれることになる。
両国の中でも、約1300キロに渡ってロシアと国境を接するフィンランドは、1917年に帝政ロシアから独立したものの、第二次大戦中にソ連の侵攻を受け、国土の約1割を奪われた。戦後、東西両陣営の間で中立を維持し、その後、ソ連と友好協力相互援助条約を結ぶ一方、欧州連合(EU)に加盟して独自の中立外交を守ってきた。スウェーデンも同じように中立外交を維持し、昨年までNATOへの加盟を否定してきた。だが、ロシアのウクライナ侵攻で加盟にかじを切った。
ロシアはウクライナへの侵攻の最大の口実としてNATOの拡大阻止を上げてきたが、2カ国の加盟申請で逆効果となったわけだ。ただし、新規加盟にはNATOの全加盟国(30カ国)の承認が必要だ。加盟国の中で両国の加盟に難色を示しているのはトルコだけだが、その理由として両国がクルド独立派を受け入れていることを挙げており、厄介な問題が残されている。それ以上にロシアは両国の加盟に強く反発し、核兵器使用を含む対抗措置を取ると警告しており、これをきっかけに軍事的緊張がさらに高まる恐れもある。
一方で、ウクライナの善戦は米国の巨額の軍事支援によって支えられており、親ロシアの国などから「米国の独り勝ち」との批判も出ている。とりわけ、中国はロシア・ウクライナ戦争に乗じて米国が国際政治力の拡大と軍事産業の膨張を狙っているとして警戒を強めている。今後、バイデン米大統領への批判が高まることも予想され、この紛争がすんなり決着するかどうかは依然、予断を許さない状況だ。(この項終わり)
ロシアのプーチン大統領は、数カ月以内にウクライナ軍を破って勝利するとみてウクライナへ攻め込んだが、ウクライナ軍の思わぬ善戦でロシア軍の敗色が濃くなっている。こうした動きを受けて、西欧とロシアの間で非同盟・中立政策を維持してきたフィンランドとスウェーデンが、米欧の軍事同盟であるNATOへの正式加盟を申請した。申請が認められると、NATOはバルト海沿岸をほぼ勢力圏に収めることになり、ロシアは出口をふさがれることになる。
両国の中でも、約1300キロに渡ってロシアと国境を接するフィンランドは、1917年に帝政ロシアから独立したものの、第二次大戦中にソ連の侵攻を受け、国土の約1割を奪われた。戦後、東西両陣営の間で中立を維持し、その後、ソ連と友好協力相互援助条約を結ぶ一方、欧州連合(EU)に加盟して独自の中立外交を守ってきた。スウェーデンも同じように中立外交を維持し、昨年までNATOへの加盟を否定してきた。だが、ロシアのウクライナ侵攻で加盟にかじを切った。
ロシアはウクライナへの侵攻の最大の口実としてNATOの拡大阻止を上げてきたが、2カ国の加盟申請で逆効果となったわけだ。ただし、新規加盟にはNATOの全加盟国(30カ国)の承認が必要だ。加盟国の中で両国の加盟に難色を示しているのはトルコだけだが、その理由として両国がクルド独立派を受け入れていることを挙げており、厄介な問題が残されている。それ以上にロシアは両国の加盟に強く反発し、核兵器使用を含む対抗措置を取ると警告しており、これをきっかけに軍事的緊張がさらに高まる恐れもある。
一方で、ウクライナの善戦は米国の巨額の軍事支援によって支えられており、親ロシアの国などから「米国の独り勝ち」との批判も出ている。とりわけ、中国はロシア・ウクライナ戦争に乗じて米国が国際政治力の拡大と軍事産業の膨張を狙っているとして警戒を強めている。今後、バイデン米大統領への批判が高まることも予想され、この紛争がすんなり決着するかどうかは依然、予断を許さない状況だ。(この項終わり)