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昨年はプーチン大統領の訪日を巡って色々な動きがあったものの、訪日には至らなかった。今年こそ訪日が実現すると期待する声が強いが、アファナーシェフ駐日ロシア大使は「準備には時間がかかる」として今年の早い時期での訪日は難しいとの見方を示している。
西側諸国がロシアに経済制裁を加えている間は訪日は難しいとの見方が強く、訪日はウクライナ紛争の解決が見えてから、との観測が大勢を占めているようだ。となれば今年前半はもちろん、後半に入っても訪日が実現するかどうかは定かではない。このため日露双方は現在、安倍首相がロシアの地方都市を訪れ、そこでプーチン大統領と会談する方向で調整しているという。
訪日の時期以上に重要なのは、領土問題をどういう形で解決させるかという大方針を日本政府自身が協議し、与党さらには野党とも調整してコンセンサスを形成することだろう。一説によると、安倍首相は歯舞、色丹の2島返還で解決する腹だと言われる。そうだとすると、日ソ共同宣言をベースにした解決を示唆しているプーチン大統領との会談で解決する可能性があるが、それで与党や世論が納得するだろうか。それこそ戦後70年の与党の路線を覆す大問題に発展する恐れもある。
いずれにしろ、安倍首相がこの問題の決着を急ぐなら、何らかの形で自分の考えを国民に説明し、事前に了解を得ておく必要がある。このところ、安倍首相はかなり独善的に重要問題を決めるケースが目立っているだけに心配である。
と言っても、私は今さら四島返還でなければいけないと言うつもりはない。これだけこじれた問題を話し合いで解決するには、双方が譲歩しなければ永久に解決しない。ただ、後世に禍根を残さないためにも、国民の意見をよく聞いて、一定の理解を得た上で交渉すべきだと言いたいのである。
一方で、領土交渉は政府の専権事項であり、交渉の中身を事前に漏らすわけにはいかないという理屈もわからないわけではない。だが、韓国との戦争慰安婦問題での解決の仕方を見ていると、現政権が政権維持のために拙速な解決をする危惧を感じざるをえないからである。
領土問題は百年の計で決めるべきもので、ゆめゆめ拙速に決めてもらっては困る。その意味でも、メディアがきちんと政権側の動きをフォローし、正しく報道することが肝心である。昨今の消費税軽減税率問題をみていると、一片の不安がよぎるのは私だけだろうか。(この項終わり)