飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

アファナーシェフ露大使、離任会見で交流活発化を提言!

2017年12月22日 11時25分30秒 | Weblog

国際政治・外交ランキング

エフゲニー・アファナーシエフ駐日ロシア大使は21日、都内のロシア大使館で記者団と懇談し、大使の任期を終え、年内に帰国すると語った。大使が着任したのは2012年4月なので、5年8ヶ月間駐在したことになる。13年暮れからのウクライナ紛争でロシアは西側諸国から経済制裁を受け、日ロ関係も一時は停滞したが、その後、緊張が緩和され、日ロ関係も順調に推移している。大使はこうした経緯を踏まえ、「前向きな考えを抱いて帰国します」と、安どの表情を見せていた。

アファナーシェフ大使は自らの大使交代を告げた後、「日ロ双方とも同じ問題に直面している」と述べ、人口減少問題に言及した。特にロシアはソ連崩壊直後から人口減少が著しく、プーチン大統領が海外に住んでいるロシア人に対し、母国に帰国するよう呼びかけたほどだ。安倍首相は北方領土問題解決に向けて、日露経済協力プランを提案しており、その中に人口減対策が含まれている。大使は日ロ間で専門家同士が協議するなど、対策に乗り出したことから「両国は手を組んで対策を講じる必要がある」と前向きの姿勢を示した。

大使は、日ロ間の最大の懸案である北方領土問題について「いつごろ解決できるか」と質問されたのに対し、「政治は予測しがたい」と述べ、具体的な時期については言及を避けた。続けて「第三国との関係とちがい、敏感な問題では様々な問題について協議することが大事だ」と付け加えた。さらに、記者団が「全ての障害のうち、一番の問題は歴史認識と安全保障問題だ。どうやって解決するのか」と追及したところ、「我々は様々な問題を協議しているが、日ロ間の人的交流をもっと増やす必要がある。年間7,8万人の交流では何もないに等しい。お互いをもっと知り合う必要がある」と強調した。

ロシア側は人的交流を増やすため、ビザの撤廃を提案しているが、日本側が否定的なため交渉は進んでいない。大使はタイ駐在大使のとき、ビザを撤廃した結果、観光客が5倍に増えたという。中国から日本への観光客が約700万人に上っていることから、大使は日ロ間でも年間25万人まで増やしたいと述べ、そのためにインフラ整備が必要と指摘した。

来年6月、ロシアでサッカー・ワールドカップが開かれるが、ロシア政府は入場券を持っている人にはビザは不要だとPRしている。どうも日本政府はソ連時代のイメージが強く、ビザを廃止すればロシア・マフィアなどが大量に流入すると恐れているようだ。ソ連崩壊からすでに4半世紀が過ぎている。いつまで日本政府は旧ソ連の亡霊に振り回され、日ロ交流を本格的に進めようとしないのだろうか。(終わり)
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プーチン大統領、4回目の大統領選に出馬を表明!

2017年12月07日 09時07分40秒 | Weblog

国際政治・外交ランキング


プーチン大統領は12月6日、満を持して来年3月の大統領選に出馬を表明した。2000年にエリツィン大統領の後任として初めて立候補して以来、4度目の出馬である 。今回の任期は2024年までで、これがプーチン氏にとって最後の大統領の任期となる。任期を全うすれば実に20年間、ロシアのトップに座り続けることになる。

今回の出馬表明は、モスクワとロシア中部のニジニノブゴロドの2カ所で行われた。後者では、自動車工場内で労働者に囲まれての表明となった。折しも、来年韓国の平昌冬季オリンピックにロシアが国家として選手団を派遣できないことが大きな話題になっている中での発表となった。華々しく出馬表明をしたかった大統領としては、苦々しい思いをしているに違いない。

とはいえ、プーチン氏の支持率は今だに80%前後の高さを保っているうえ、有力な対抗馬が現れず、当選は間違いない情勢である。いわば信任投票であり、得票率がどこまで伸びるかが焦点とも言える選挙である。ロシア国民にとっては、事実上選択肢がない“不幸な選挙”といえないこともない。

不安といえば、現在65歳のプーチン氏が任期6年を全うするとすれば、71歳になるという点である。ロシアでは高齢の部類に入り、健康状態が問題化する可能性もある。その点、プーチン氏はマッチョの大統領を普段から演出していて、様々なスポーツに挑戦していることから問題ないかもしれない。

大統領としては任期が連続2期と憲法で定められ、次は最後の6年間になるので、レームダック状態になる可能性がある。これまでと同じ路線を維持するだけでは、国民の不満が高まるかもしれない。その一方、後継者を誰にするかの問題も浮上する。世界最大の国家を統率する大統領として、どこまで国民の信頼を得ていけるのか。プーチン氏にとって、まさに真価を問われる6年間になるだろう。(この項終わり)

                              
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