ロシアのウクライナ侵攻に対し、日本政府は米欧の主要国と足並みを合わせ、ロシアに批判的な立場を続けている。これに対し、プーチン大統領は国内外の有識者を集めた10月5日の「バルダイ会議」で、日本側が対話姿勢に転じれば「応じる用意がある」と表明した。この呼びかけに岸田政権はどう答えるのか。
会議の参加者は、各国の学者、研究者が多く、大統領と比較的自由に意見交換する場になっている。大統領に質問したのは、日本から参加した笹川平和財団の畔蒜(あびる)泰助主任研究員。毎日新聞によると、大統領は「私たちは日本に制裁を科しておらず、『窓』を閉ざしたわけでもない。閉ざしたのは日本の方だ」と述べた。
さらに、大統領は「もし日本が(ロシアと)対話する必要があると考え、何らかのイニシアチブを発揮することが可能だと思うのであれば、それは悪くない。(ロシアには)応じる用意がある」と述べた。続けて「あなたたちがその『小窓』を少し開ける時が来たと考えるならば、どうぞ開けてください。私たちは反対だと言ったことは一度もない」と述べたという。
今回のプーチン発言に対する日本政府の反応は不明だが、日本政府は米国など西側諸国と歩調を合わせ、ウクライナを支援しているため、日本だけでロシア政府と協議するシナリオは考えにくい。その一方、日本は北方領土問題を抱え、いつまでも西側諸国と同じスタンスを維持し続けるわけにもいかない。ウクライナ紛争については西側諸国と意見を共有しつつ、北方領土問題の解決も図らなければならないだろう。(この項終わり)