東京で28日、日露外相会談が行われ、3月にロシア大統領選が実施されることから、新大統領が就任する5月まで北方領土交渉は事実上、棚上げされることが決まった。新大統領にはプーチン首相が復帰することが確実とみられており、タフなネゴシエイターのプーチン氏をどう説得するかが今後の焦点となる。
今回の外相会談は定期的なものだが、メドベージェフ大統領の北方領土初訪問(2010年11月)で冷え込んだ日露関係が好転したことを再確認し、今後の北方領土交渉の方針を確定する意義があった。その意味では、双方とも領土問題を先送りせず、交渉を継続することで合意し、初期の目的を達成した。領土交渉に絡んでロシア側が提案した北方領土の共同経済開発についても、日本側は前向きの回答を行い、前進する方向となった。これで今後の交渉の基盤は出来つつあると言えよう。
外相会談をめぐるロシア側の報道を見ても、領土問題については「日露間の平和条約交渉を継続することで合意した」(インタファクス通信)と述べるにとどまり、ビザ発給手続きの簡素化合意をメインに取り上げていた。以前のように領土問題をセンセーショナルに取り上げたメディアはなく、日露関係そのものが落ち着いてきた印象を与える。
そもそも日露の基本条約締結交渉は大統領の専権事項である。とくにプーチン氏は2000年から2期8年間、大統領を務めた際、積極的に交渉を進めた経緯があり、「ロシアで事情を一番知っている」(ロシア高官)人物である。だが、日本政府が領土交渉の基本方針をめぐり、「2島先行返還」から従来の4島返還に大きくブレたことから、その後、解決意欲を失った印象がある。それだけに、ロシア外務省も4年ぶりに復帰するプーチン氏が今後どういう方針を打ち出すか、しばらくは様子見の状態ともいえそうだ。
一方、日本側は野田首相の政権基盤が固まり、領土交渉をやり遂げられるかどうかにかかっている。だが、民主党政権は消費税をはじめ、重要な内政案件を多数抱えており、政権を維持できるかどうかの正念場を迎えている。この状態では、とても北方領土交渉に取り組める状況にないことは明白だ。ロシア側もそれを見越して、日本の政局の行方を見守っている状況である。
双方とも、実質的な交渉に入るのは無理であり、当面先送りしようというのが本音だろう。日本の政権はこの数年、毎年首相が変わっていて、不安定な状態が続いている。野田政権も今現実に迫っている危機を切り抜けなければ、これまでの首相同様、短命政権になってしまう。民主党政権としては早く今の事態を解決し、政権基盤を固めてロシア側とじっくり交渉したいところだろう。
今回の外相会談は定期的なものだが、メドベージェフ大統領の北方領土初訪問(2010年11月)で冷え込んだ日露関係が好転したことを再確認し、今後の北方領土交渉の方針を確定する意義があった。その意味では、双方とも領土問題を先送りせず、交渉を継続することで合意し、初期の目的を達成した。領土交渉に絡んでロシア側が提案した北方領土の共同経済開発についても、日本側は前向きの回答を行い、前進する方向となった。これで今後の交渉の基盤は出来つつあると言えよう。
外相会談をめぐるロシア側の報道を見ても、領土問題については「日露間の平和条約交渉を継続することで合意した」(インタファクス通信)と述べるにとどまり、ビザ発給手続きの簡素化合意をメインに取り上げていた。以前のように領土問題をセンセーショナルに取り上げたメディアはなく、日露関係そのものが落ち着いてきた印象を与える。
そもそも日露の基本条約締結交渉は大統領の専権事項である。とくにプーチン氏は2000年から2期8年間、大統領を務めた際、積極的に交渉を進めた経緯があり、「ロシアで事情を一番知っている」(ロシア高官)人物である。だが、日本政府が領土交渉の基本方針をめぐり、「2島先行返還」から従来の4島返還に大きくブレたことから、その後、解決意欲を失った印象がある。それだけに、ロシア外務省も4年ぶりに復帰するプーチン氏が今後どういう方針を打ち出すか、しばらくは様子見の状態ともいえそうだ。
一方、日本側は野田首相の政権基盤が固まり、領土交渉をやり遂げられるかどうかにかかっている。だが、民主党政権は消費税をはじめ、重要な内政案件を多数抱えており、政権を維持できるかどうかの正念場を迎えている。この状態では、とても北方領土交渉に取り組める状況にないことは明白だ。ロシア側もそれを見越して、日本の政局の行方を見守っている状況である。
双方とも、実質的な交渉に入るのは無理であり、当面先送りしようというのが本音だろう。日本の政権はこの数年、毎年首相が変わっていて、不安定な状態が続いている。野田政権も今現実に迫っている危機を切り抜けなければ、これまでの首相同様、短命政権になってしまう。民主党政権としては早く今の事態を解決し、政権基盤を固めてロシア側とじっくり交渉したいところだろう。