飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

ロシアとNАΤO、グルジア戦争からアフガン戦争へシフト!

2009年06月29日 10時56分58秒 | Weblog
 ロシアとNАΤOの外相会議が28日、ギリシャのコルフ島で開かれた。昨年8月のグルジア戦争で両者が激しく対立して以来、初めて開かれた会議。グルジア戦争をめぐっては双方とも意見の違いがあるものの、こうした対立を超え、アフガン戦争など当面のテロ対策や欧州の安全保障強化に向けて協力することで合意した。

 29日付けのロシアの中立系独立新聞は、ロシアとNАΤO諸国の関係は約1年前とは様変わりし、好転したことを会議の結果が示していると伝えた。もちろん、グルジア戦争についてはそれぞれ言い分があり、欧米諸国が南オセチアやアブハジアの独立を認めているわけではない。だが、米国がイラク戦争から撤退し、アフガン戦争に軸足を移動しつつあり、ロシアとの協力が不可欠と判断している以上、いつまでも前の戦争に関わってはいられないというのが会議全体の雰囲気だったようだ。

 このため、会議ではロシアを経由してアフガニスタンへ物資を運ぶ問題やソマリアなどの海賊対策など、現在進行中のテロ対策を重点的に協議した。また、メドベージェフ露大統領が提案している「新欧州安保条約」についても協議したが、米国やEUはNАΤOを弱体化するいかなる案にも賛成しないだろうとの意見が大勢を占めたという。

 会議終了後の記者会見でラブロフ露外相はグルジア戦争に関して「だれもが新しい現実を認めることが必要だ。戦争後にとった我々の措置は覆せないし、現実の事態を考慮するべきだ」と述べた。一方、NАΤOのデホープスヘッフェル事務総長は「この問題はすぐには解決しないが、難問になるとも思えない」と語った。

 オバマ米大統領が7月はじめ、モスクワを訪問し、メドベージェフ大統領と会談する。ロシアはすでにアフガンへの物資輸送受け入れを決めており、米輸送機が近くロシアの上空を飛ぶことになる。これにより米露関係は緊密化し、ロシアと欧州の関係も改善されることになろう。 
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ロシアは「欧州会議」の中で最も遅れた国!?

2009年06月25日 16時15分40秒 | Weblog
 欧州の社会的進歩を促し、民主主義や人権保護を進める「欧州会議」の議員会議が24日、本部のある仏ストラスブールで開かれ、ロシアが欧州で最も遅れた国の一つであるとの中間的結論が出された。昨年夏のグルジア戦争が尾を引いていて、欧州諸国がロシアに対し厳しく当たっているという面もありそうだ。

 第二次大戦後、欧州の統合を目的に設立された「欧州統合運動国際委員会」が前身だが、欧州連合(EU)とは別の組織である。会議では、アルメニア、ブルガリア、セルビアなどモニタリング中の11カ国の状況が検討され、この中ではロシアが最も多くの義務を果たしていない、などとする決議がなされた。

 それによると、①ロシアは死刑制度を廃止していない、唯一の加盟国(ただし、96年以降、死刑執行を停止している)②人権に関する欧州協定を批准していない③人身売買に反対する協定に署名していない、などと指摘している。また、ロシアの検察はソ連時代と同様、幅広い権限を持っており、司法の独立を妨害していることも盛り込まれている。とくに許せない違反として会議では、ロシアとグルジアの間の戦争を上げている。

 数々の厳しい指摘に「ロシア代表団はへきえきしている」とロシアの有力紙コメルサントは伝えている。このためロシア政府は「反撃の機会を狙っている」との見方も出ている。欧州会議には西側や旧東欧諸国など47カ国が加盟していて、ロシアは”孤軍奮闘”という印象が強い。だが、民主化を推進すべきロシアとしては、ここは我慢して一つ一つ義務を果たし、欧州諸国の信頼を得ていくしか道はないだろう。
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モスクワのエレベーターの半分は危険だって?!

2009年06月07日 16時11分35秒 | Weblog
 モスクワ市内のアパートなどに設置されているエレベーターの老朽化が進み、2台に1台が危険であることがモスクワ市政府機関の調べで明らかになった。ロシアの中立系独立新聞が伝えたもので、アパートの老朽化とともにモスクワっ子にとって深刻な問題になっているという。

 市政府機関によると、モスクワ市内のエレベーター約12万8千台のうち、すでに18%に当たる約2万3千台が使用期間をすぎているが、専門家のチェックを受けずに使われている。エレベーターの修理や取り替えには多額の費用がかかるため、危険とわかっても放置されているものが多いという。

 それに加えてエレベーターの部品などが壊されたり盗まれたりするケースが多い。昨年1年間だけで約6千件が壊され、約600件が部品などを盗まれたという。自分のところのエレベーターが動かなくなったり部品が壊れたりすると、ほかのところから調達して間に合わせる場合が多いらしい。

 市政府機関では、検査で危険とわかった場合、エレベーターを5昼夜停止する措置を取るが、その後の措置については裁判所の判断に委ねるのだという。エレバーターの取替えや大規模工事は金融危機の影響で今年初めからストップしており、まだ再開のめどは立っていない。

 このためアパートの住民は毎日ひやひやしながらエレベーターに乗っているが、住民の中には「20階以下なら歩いて上り下りしたほうが安全だし、健康にもいい」と言う人もいる。今の経済状況が続くようだと、当分は万一に備えて歩いたほうが無難なようだ。

 
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