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ロシア中央選管(チュロフ委員長)は、下院の選挙法改正案をまとめ大統領府に送った。11年暮れの下院選で批判が強かった比例区一本を改め、比例区と小選挙区の半分ずつの制度に戻すというのが大原則だ。だが、重い刑法犯を科せられると生涯立候補できないとの厳しい条項が含まれていて、早くも野党側はこの改正案への批判を強めている。
27日付けのイズベスチア紙(電子版)に掲載された中央選管の改正案は、プーチン大統領の指示を受けて作成された。その柱は①下院450議席のうち、225議席を比例区、残りを小選挙区から選出する②小選挙区の候補者は一定数の署名を集めなければならない(最低必要数は未定)③複数政党が選挙ブロックをつくる場合は議席獲得に必要な得票率を5%から7-10%に上げる、などとなっている。
早くも問題になっているのは、過去に重い刑法犯に問われ、有罪になった場合、生涯立候補できないとされている条項だ。一定期間立候補できない場合は公民権一時停止となるが、改正案だと公民権剥奪となる。共産党と公正ロシアは「この条項は憲法に違反する」と批判している。
この条項が含まれた経緯について中央選管は説明していないが、イズベスチア紙は政権与党「統一ロシア」のイニシアチブによるとみている。つまり、政権側がこの条項を入れたことになり、反プーチン派の立候補を抑えようとの狙いが透けて見える。政権側はウダリツォフ左派戦線代表ら指導者を次々に逮捕・起訴しており、この条項に引っかかる可能性がある。
一方、改革派のクドリン元財務相が主宰する「市民主導委員会」もすでに選挙法改正案を作成、下院に提案する方針を決めている。こちらの案は比例区の議席獲得基準を大幅に下げるなど、少数野党にも議席が得られるよう配慮した法案だ。
プーチン政権は中央選管作成の改正案を元に、下院に提案する法案をまとめる方針だ。その際、野党や改革派の改正案を参考にするとみられるが、どこまで野党側の意見を反映できるかが鍵となろう。下院の3分の2を占める政権与党を基盤とするプーチン政権が、野党側の批判を無視してゴリ押しすれば、再び与野党の対立が深まる可能性がある。(この項終わり)