飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

安倍首相はプーチン発言に乗せられた?それともそのフリをした?

2018年10月05日 23時06分32秒 | Weblog
プーチン露大統領による前提条件なしの日露平和条約締結の提案を巡って未だに議論が続いているが、ほぼ結論が出たようだ。日経電子版記事が引用しているトレーニン・カーネギー・モスクワセンター所長の見方が正しいようだ、とロシア政治専門家の畔蒜泰助さんがフェイスブックに書いている。

それによると、9月12日にウラジオストクで開かれた「東方経済フォーラム」でのプーチン氏発言は偶発的なもので、事前に準備していたものとは考えにくいと指摘。では、なぜそのような発言をプーチン氏がしたのかというと、そのフォーラムで安倍首相が直前に演説し、平和条約締結へ向かう強い歩みを強調したので、プーチン氏としては何か反応しなければ弱みを見せたことになると思い、アドリブで提案したというのだ。

つまり、プーチン氏としては、「日本に領土を引き渡すのは不可能」というメッセージを伝えたかったのだという。その後、毎日新聞がパノフ元駐日ロシア大使の発言として、領土問題を棚上げする「中間条約」案が日露間で作られたことがあるという発言を伝えている。私は、プーチン氏がとっさにそのことを思い出して、ああした発言をしたというのが正解だと思う。

問題は、その発言をめぐる日本政府の対応だ。安倍首相は16日のN H Kの討論番組で「プーチン氏は平和条約を締結すると強く前に打ち出した。むしろ日本は積極的に受け取って行くべきだ」と、とんだ「勘違い発言」をしている。領土抜きの平和条約の無意味さを全く理解してないような発言だからだ。

だが、冷静に考えれば、プーチン氏と何回も会談している安倍首相が、そんなことを知らないというのはおかしい。むしろ、それを知っていて、プーチン氏に乗せられた振りをしているという方が正しい見方かもしれない。そう考えたくなるのは、こうした日露首脳のやり取りの裏で、実は領土返還の密約が進められているという情報が流れているからだ。

それによると、安倍首相は北方2島の返還で領土交渉を打ち止めにして、自分の首相期間中に平和条約を締結しようと目論んでいるというのだ。日本政府の主張は四島返還だが、プーチン氏、安倍首相とも「双方が了解できる解決案を」と繰り返しており、ロシア側としては歯舞、色丹の2島返還なら最小限の損害で済むことになる。

だが、日本側はそれで納得できるのだろうか。面積でいえば歯舞、色丹の2島は四島全体の7%しかないからだ。これでは、いくら痛み分けと言っても、戦後70年余も頑張ってきた旧島民や北海道民の理解は得られがたい。安倍政権としては、憲法改正が難しくなってきたので、北方領土返還で国民の目をくらますつもりなのではないだろうか。(この項終わり)









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