飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

ウクライナ東部の要衝陥落、ウクライナはロシアとの停戦交渉に入るべき時ではないか!

2022年06月26日 15時20分14秒 | Weblog
ロシア軍と激戦が続いたウクライナ東部の要衝都市セベロドネツクが陥落し、ウクライナ軍部隊は撤退しつつある。ウクライナのゼレンスキー大統領が「この戦いにドンバス地方の命運がかかっている」と指摘していた戦いに事実上敗れたことから、ウクライナは今後、ロシアとの停戦交渉に動くか、それともさらに戦い続けるかの岐路に立たされている。

現地からの報道によると、セベロドネツクのストリュク市長は6月25日、「市は完全にロシアの占領下に入った」と述べ、ウクライナが同市の支配権を失ったことを認めた。すでにウクライナの大半の部隊がセベロドネツクから撤退し、ドネツ川対岸の都市リシチャンスクなどに合流しているという。ウクライナの治安関係者は「撤退は兵士らの命を守るためで、将来のロシア軍への反抗に備えることができる」と指摘している。

一方、ロシア国防省によると、ロシア軍は6月24日、リシチャンスクに対して南方から攻撃し、同市を封鎖したという。ゼレンスキー・ウクライナ大統領は、あくまで西側諸国から重火器の提供を受けて戦闘を継続する構えだが、西側諸国の中でも「重火器の提供はもう限界」とみる国も出始めており、ウクライナがこれまで通り重火器の援助を受けられるかどうかは微妙だ。

こうした状況の中で、ロシアのプーチン大統領は6月25日、ベラルーシを訪問し、ルカシェンコ大統領と会談した。この中で、プーチン大統領はベラルーシに核弾頭を搭載できるミサイルを数ヶ月以内に配備する方針を明らかにした。これまでプーチン大統領は核兵器の使用については明確な発言をしてこなかったが、今回ベラルーシへの核配備を明言したことで、核兵器使用が現実化する可能性が出てきたと言える。

もし、この核使用の計画が実施されれば、米国など西側の核保有国も黙って見過ごすことはできない。今後の展開によっては、第三次世界大戦が現実化する危険性もないとは言えないからだ。そういう事態にならないためにも、ウクライナは1日も早くロシアとの停戦交渉に臨むべきだろう。米国など西側諸国もこれまでの強硬路線だけではなく、硬軟両用の作戦でウクライナを支援して行くべきだ。今後、世界各国はより一層慎重な対応を迫られている。(この項終わり)



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ロシア軍とウクライナ軍の戦闘、長期化の恐れも!

2022年06月09日 18時08分27秒 | Weblog
ロシア軍がウクライナへ侵攻してから100日を越えたが、依然として停戦の見通しが立たず、ウクライナ東部のドンバス地方(ドネツク、ルガンスク両州一帯)の支配圏を巡って激戦が続いている。ロシア軍は首都キーウ(キエフ)などウクライナ北部から撤収した後、東部に戦力を集中し、ルガンスク州の重要都市セベロドネツク周辺などでウクライナ軍に集中的な砲撃を加えて徐々に支配地域を広げている。ウクライナのゼレンスキー大統領は演説の中で「この戦いにドンバス地方の命運がかかっている」と強調した。

一方、プーチン露大統領は6月12日、自国の祝日「ロシアの日」にちなんだ式典で演説。1721年のスウェーデンとの北方戦争に勝利し、大国の基礎を築いた帝政ロシアのピョートル大帝に言及し、「先人たちの偉業や軍功は我々にとって誇りだ」と述べ、ウクライナ侵攻を改めて正当化した。プーチン氏については、西側諸国などから重病説が流れているが、それを身をもって否定し、ロシア国民を鼓舞したといえる。

では、今後戦闘はどうなって行くのだろうか。ドイツのシュルツ首相は、ロシアが今後、軍事力を維持することは不可能になるとの見方を示した。その理由として、西側諸国の厳しい制裁が「非常に効率的で広範囲に及んでいるため」とし、「ロシア経済は数十年前の状況に後退するだろう」と述べている。その上、米国から携帯型の地対空ミサイル「スティンガー」などの新型兵器がウクライナに多数供与されており、ロシアは経済、軍事の両面で厳しい状況に追い込まれそうだ。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、ウクライナから国外に脱出した避難民は6月8日までに700万人を越えた。このうち、ポーランドへは369万人が入国し、ロシアへは104万人が移ったという。ウクライナの人口は2021年には4159万人だったので、総人口の約4分の1がウクライナを離れたことになる。

ロシア軍とウクライナ軍による戦闘は当面、消耗戦が続き、長期化しそうな雲行きだ。このため、国連などで戦闘停止を巡る和平の動きが活発化すると見られるが、各国が自国の利害を超えて協調しなければ停戦に持ち込むのは難しそうだ。こういう時こそ、日本が米国、中国、欧米諸国の間に立って和平への努力をすべきではないだろうか。我が国の積極的な外交努力が、今後問われる事態になりそうだ。(この項終わり)


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする