飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

ロシアでプーチン大統領の名前を町名にしようという運動が…。

2015年02月28日 00時47分59秒 | Weblog
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「プーチン大統領の名前にあやかり、町おこしをしよう!」―。そんな市民運動がロシア西部・パルミ州の小さな町で起きている。大統領は1度この町に立ち寄ったことがあり、その時のリップサービスが町民をその気にさせたらしい。

この町は、ウラル山脈の西側にあり、クラスノカムスクという名前である。プーチン氏が立ち寄ったのは3期目の大統領に就任した2012年で、アイスホッケーの試合を観戦に来た。その時、大統領はスケート場の老朽化に同情したのか、「来年、新しいスケート場を建設する」と約束したのだ。
力が
だが、大統領の約束にもかかわらず、スケート場の建設が遅れ、完成のめどは立っていない。このため地元のニュースサイトは「大統領の計画を地方自治体の役人が邪魔している」などと批判しているほどだ。

ウクライナ危機が起きてから、欧米と闘う大統領に人気が集まっていることもあって、町名をプーチン町に改名しようという市民運動が起きた。その裏には「大統領の名前を付ければ、中央も地方の問題を取り上げてくれるのでは」との期待がこもっている。

とりわけこの町で問題になっているのは、水が汚れているとか、道路が舗装されていない、などのインフラ整備が遅れていることだ。大統領の名前を付ければ町が有名になるだけでなく、観光客も増えるのでは、と住民は取らぬ狸の皮算用をしている。

だが、プーチン大統領のペスコフ報道官は「町名の改名はあまり効果的ではない。そのうえ、町民に間違った期待を与えることになる」と難色を示している。さらに、地元のチェチョウキン町長も「改名には意味がない。今の歴史のある名前の方が良い」と否定的だ。

こうした雰囲気を反映してか、改名を求める署名運動はまだ盛り上がりに欠けている。署名は4月までに集め、町役場に提出する方針だが、期限までに必要な署名が集まるかどうか、定かではない。

ロシアは今、ウクライナ紛争を起こした張本人とされ、西側から経済制裁を受けているうえ、原油安で経済はダブルパンチを受けている。とくに地方都市では大きな影響を受けており、プーチン大統領の人気にあやかりたいという気持ちはわかるが、大統領にそれほどの神通力があるかどうか。(この項おわり)

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ロシア人の約7割が「西側を脅威と思っている」との世論調査結果!?

2015年02月22日 16時35分23秒 | Weblog
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ウクライナ紛争でロシアと欧米が対立しているが、ロシア人の約7割が「ロシアに軍事的脅威を引き起こしているのは外国」と思っている―。そんな世論調査結果がこのほど公表された。今回の紛争では、ロシアが親露派勢力の後ろ盾となってウクライナとの対立をあおっているとの見方が大勢だが、大半のロシア人は逆に考えているようだ。

20日付けのロシア紙モスコー・タイムズによると、この調査はロシア世論調査センターが14、15の両日、全国で1600人を対象に行った。その結果、ロシアに脅威を引き起こしているのは外国と答えた人が68%にのぼった。また、戦争が起きる可能性が1999年以来、最も高まっているとみていることも分かった。

なぜ、こうした調査結果が出たのだろうか。ここで外国とは西側、つまりは欧米諸国を指している。ロシア国営メディアやクレムリン寄りのメディアが東部ウクライナの戦闘を「西側によって引き起こされたもの」と解説し、外国戦闘員の存在にしばしば注意を向けさせているからだとみられる。さらに、露骨に反西側の立場を取っているプーチン大統領が「戦闘はNATOの代理人によって起きている」と述べていることも影響しているのだろう。

これに対し、西側の政府高官は、ロシアを「欧州の地図を力で描き直そうとしており、バルト諸国に脅威を与えている」と非難している。今ウクライナで起きていることが将来、旧ソ連諸国のバルト三国でも起きうるというのが、西側の脅威の裏付けになっているのだ。

ウクライナ危機の見方がロシアと西側とで180度違っていることがよくわかるが、その背景には強権的なプーチン大統領と、大統領の言い分をプロパガンダする官制メディアの存在が大きくのしかかっているといえよう。

こうした発想の底流には、帝政ロシア、ソ連時代を通じて何度か繰り返された外国勢力による侵略の歴史への恐怖があるのではないか。そうした国民の恐れを巧みに使ったプーチン大統領の統治術が効果を発揮しているのかも知れない。そうだとしたら、ロシア人の見方を変えることは、とても一朝一夕にはできそうもない。(この項おわり)

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親露派によるウクライナ東部の要衝制圧は織り込み済みだった!

2015年02月19日 16時47分33秒 | Weblog
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ウクライナ紛争で親露派武装勢力は18日、ドネツク州の要衝デバリツェボを制圧したが、これはプーチン大統領にとっては織り込み済みだった―。ロシアの経済紙ベドモスチが19日付けの電子版で明らかにした。16時間に及ぶ4カ国首脳による停戦交渉で、プーチン大統領はウクライナ側に投降するよう求めたが、ポロシェンコ大統領はこれを拒否したため、グレイゾーンとして残されていたという。

ベドモスチ紙によると、親露派は先月末からデバリツェボを包囲し、孤立した数千人のウクライナ政府軍兵士に投降を迫っていた。このためプーチン大統領は11日から行われた停戦交渉でこの要衝を手放すよう主張したが、ポロシェンコ大統領は「そんな要衝は存在しない」として断固拒否した。デバリツェボの攻防はウクライナ側にとって死活問題で、どうしても敗北を認めなかったため、取決めできなかったという。

両大統領の間でこうしたやり取りがあったから、ポロシェンコ大統領は18日、ウクライナ政府軍部隊の降伏ではなく、「計画的な撤退」と表明したのだろう。15日の停戦開始後のデバリツェボ制圧に対し、米欧側は「停戦合意を逸脱している」と非難しているが、この問題を伏せて停戦を結んだというのが真相のようだ。

ベドモスチ紙は「もしポロシェンコ大統領がプーチン氏の条件を飲んでいたら、政治的な死を意味しただろう」と書いている。政治学者のマカルキン氏も「ウクライナ大統領はこの結果、参謀総長をあきらめざるを得ないかも知れないが、総合的に判断すれば負けなかったといえる」とコメントしている。

プーチン大統領は17日、訪問先のハンガリーでの記者会見で「兵士が武器を置くのを(ウクライナの)指導部が妨げないことを望む」と発言、余裕のあるところを見せていた。このとき、すでに大統領は親露派の勝利を確信していたことは間違いない。

最後に同紙は「ウクライナ東部の完全な和平まではまだ遠く、新たな交渉や妥協が必要だろう」と書いている。今のところ、デバリツェボ以外では大きな戦闘はないようだが、停戦合意がいかに「もろい合意」だったかがはっきりした。また新たな仕切り直しの交渉が求められよう。(この項おわり)


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ウクライナ巡る4カ国首脳会議で停戦合意したが、和平はまだ遠い…!

2015年02月13日 20時02分49秒 | Weblog
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ウクライナ紛争を巡る独仏露とウクライナの首脳会議は11日夜から16時間に及ぶマラソン会談となり、ようやく15日から停戦することで合意した。だが、プーチン大統領のゴリ押しで親露派に有利な内容となり、ロシア各紙も和平が実現するどころか、戦争に発展する最悪の結果になる可能性を示唆している。

ロシアの中立系「独立新聞」は13日付けの電子版で「ウクライナは平和を望むが、最悪の結果になりそうだ」との見出しをつけている。また、民主派の英字紙モスコー・タイムズの電子版も「首脳会談は停戦を提案したが、和平は来ない」との見出しで悲観的な見通しを書いている。

今回の合意は、昨年9月の停戦合意をベースに、①15日から停戦開始②ウクライナと親露派双方が射程の長さによって重火器を前線から最大140キロ引き離し、緩衝地帯を設ける③親露派支配地を「暫定自治区」とする、の3点が中心だ。

昨年9月のミンスク合意と大きく違ったのは緩衝地帯の範囲だ。重火器を引き離す基点がウクライナ軍は現状の前線を基点にするのに対し、親露派は昨年9月の位置を基点にしており、年明けから猛攻撃で支配地域を拡大した親露派に断然有利になっている。また、親露派支配地を「特別な地位」から「暫定自治区」に格上げした形だ。

独立新聞は今回の合意を「肯定的に評価すれば、ポロシェンコ・ウクライナ大統領は国家の構成などの戦略的問題で譲歩しなかった。一方、プーチン大統領もこれまでの方針を後退させなかった」と結論付けている。だが、結果的にはウクライナ側に明らかに不利になり、ウクライナの政治学者は「ロシア側が譲歩すると期待する方が間違っている」とコメントしている。

また、ウクライナの軍事専門家は「紛争はなくならないばかりでなく、戦争に発展する可能性がある。ウクライナは将来に備えて、あらゆるシナリオを準備しておくべきだ」と警鐘を鳴らしている。

一方、ロシア政治の権威、トレーニン・モスクワ・カーネギー・センター所長はモスコー・タイムズ紙のインタビューで「ドネツク州がウクライナに復帰するとは思えない。(モルドバ国内の)沿ドニエストル共和国と(アゼルバイジャン国内の)ナゴルノ・カラバフ共和国の中間のような存在になるのではないか」と述べている。今回の合意がソ連解体後の「凍結された紛争地域」への道を開く可能性を示唆しているのだ。

いずれにしろ、今回の合意がウクライナ紛争の終結に向かうとの見方は少ない。今後もウクライナ東部で戦闘が続けば、米国が兵器をウクライナに貸与し、ロシアと米国との代理戦争になることは必定だ。そうした最悪の事態をどうしたら食い止めることができるのだろうか。(この項おわり)
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終戦70年目の北方領土返還要求全国大会、安倍政権の意気込み伝わらず!

2015年02月08日 00時05分21秒 | Weblog
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終戦から70年目の今年、旧ソ連による北方領土占拠も70年目に入る。いまだに返還の目途も立っていない中、東京・日比谷公会堂で7日、北方領土返還要求全国大会が開かれた。領土解決を優先課題に掲げる安倍晋三首相があいさつに立ったが、例年通りの内容に終始し、解決への意気込みが感じられなかった。

70年前の終戦時、北方領土には3,124世帯、1万7291人の日本人が住んでいたが、長い歳月がたつ間に6割の島民が亡くなった。存命の方々の平均寿命も間もなく80歳になろうとしている。「生きている間に島に帰らせてあげたかった」という元島民の悲痛な叫びが会場に響いた。

来賓のトップにあいさつに立った安倍首相は「プーチン大統領とは(安倍政権の)一期目と合わせ、10回会談している。北方領土の帰属問題を解決して平和条約を締結できるよう、粘り強く取り組んでいく決意だ」と述べた。さらに、「今年は戦後70年目の節目の年だ。今なお平和条約が締結されていないのは異常であるといわざるを得ない」と強調したが、いまひとつ迫力に欠けた感がする。

続いて岸田文雄外相が登壇し、「ウクライナ問題が日露関係を複雑にしているが、ロシアとの交渉を継続させていく。本年の適当な時期にプーチン大統領の訪日を実現するため努力する」とあいさつした。だが、大統領の訪日が実現しても、ウクライナ紛争が解決しなければ北方領土を解決できる国際情勢にならないことは明らかだ。二人とも、あいさつ後、公用があるとしてそそくさと会場を後にしたのは偶然ではないだろう。

大会ではこのほか、連合、日本青年会議所、地婦連などの代表が今後も返還運動を盛り上げていくことを誓った。しかし、領土返還問題は第一に政治家の仕事といえるが、各政党や議員連盟の代表はひな壇に座って聞き入っているだけで、積極的な発言はなかった。政党数が多く、全員にあいさつしてもらう時間がないという事情は分かるが、せめて議員連盟など超党派の代表の決意表明を聞きたかった。

そんな中で、島根県安来市第三中学校の教員、生徒が「ビザなし交流」で初めて北方領土を訪ねた際の感想を述べていたのが印象に残った。女子中学生は「択捉島でロシア人の生徒たちとゲームなどを通じて仲良くなった。言葉を越えて心が通じ合った気がする。ただ、島内に日本を感じさせるものが何も残っていないことにガク然とした」と語り、「改めて領土問題を解決しないといけないと思った」と話していた。

さらに、富山県民会議の代表は元島民が北海道に次いで2番目に多いこともあって、元島民の貴重な証言をDVDに記録して県内の全小中学校に教材として配布していると語った。こうした活動が全国に広がれば、返還運動はさらに強固になっていくだろう。領土問題の早急な解決が見込まれない時だけに、官民とも知恵を出し合って地道な活動を積み重ね、若い世代に伝えていくことが重要だと痛感した。(この項おわり)



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ロシア軍派遣情報をウクライナ大使館に通報・逮捕された主婦に同情集まる!

2015年02月04日 11時36分02秒 | Weblog
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ウクライナ紛争を巡り、ロシア軍派遣の情報をウクライナ大使館に通報し、国家反逆容疑で主婦が逮捕される事件が先月あった。この主婦には幼子を含む計7人の子供がいることから市民の同情を呼び、これまでに4万人から釈放を求める署名が寄せられた。また、ロシア当局がウクライナ大使館を盗聴していた疑いも浮かび、思わぬ波紋を投げかけている。

インタファクス通信によると、この主婦はロシア中西部のスモレンスク州に住むスベトラーナ・ダビドワさん。昨年春、近所にあるロシア軍施設から軍人がいなくなったことを聞き込み、軍隊がウクライナへ派遣されたのではないかと思い、モスクワのウクライナ大使館に通報した。この事実を把握したロシア当局が今年1月21日、スベトラーナさんを国家反逆容疑で逮捕した。

彼女には、夫アナトーリさんとの間に4人の子供がいて、1人はまだ生後2カ月の乳飲み子。そのほか、アナトーリさんの先妻の子供3人の面倒も見ている。このため、弁護士や市民がスベトラーナさんの釈放を求める運動を開始、これまでに4万人の署名を集めた。署名簿は下院議員らを通じて大統領府に提出された。その後、スベトラーナさんは現在地を離れないとの誓約書を提出、拘置所から釈放された。

スベトラーナさんは逮捕後、モスクワに護送され、取り調べを受けていた。裁判で国家反逆罪と判断されれば最高20年の禁固刑が言い渡される。裁判所は3月19日までの拘留を認めたが、世話をしなければならない子供が7人もいるという事情を考慮し、自宅軟禁の措置を取った。

一方、ウクライナのペレビーニス外相は3日、「スベトラーナさんはウクライナ大使館に通報したというが、ロシア当局はどこからその情報を得たのか」と述べ、大使館がロシア当局に盗聴されていた可能性を強く示唆した。さらに同外相は「スベトラーナさんの行動は市民として当然の行為だ」と持ち上げ、ロシア当局の対応を批判した。

ロシア当局はウクライナ紛争で国民の警戒心を高めようとスベトラーナさんを逮捕したのだろうが、逆に市民の反感を買う結果になった。さらに、国家による盗聴疑惑まで表面化し、ウクライナとの関係が一層悪化するというおまけまでついた。プーチン大統領はこの問題をどう処理するのだろうか。(この項おわり)




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ウクライナ紛争がロシアとウクライナの戦争に発展するとみるロシア人が急増!

2015年02月02日 11時29分17秒 | Weblog
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ウクライナ紛争は年明け後、親露派武装勢力が攻勢を再開、ウクライナ軍との戦闘が激化している。この新事態について、ウクライナとの本格的な戦争に発展するとみるロシア人が急増していることが最新の世論調査で明らかになった。EUを交えた4者による停戦交渉も不調に終わっており、このままだと最悪の事態になりかねない。

2日の露経済紙「ベドモスチ」(電子版)によると、全ロシア世論調査センターが行った世論調査で、ウクライナ紛争は今後ロシアとウクライナの戦争に発展すると答えた人がおよそ4人に1人にのぼった。3カ月前の調査では17%だったので約8ポイント増加した。また、「すでに戦争が進行している」と答えた人は10%だった。

ロシア人の大半は昨年春以来、ウクライナ紛争を「内戦」とみなしてきた。今回の調査でも半数以上が内戦ととらえているが、年明けの親露派武装勢力とウクライナ軍との戦闘が激化していることから、本格的な戦争になるとの危機感が高まりつつあるようだ。

全ロシア世論調査センターのワレーリー・フェドトフ所長は「昨年秋の停戦合意への期待が消滅し、停戦が当分実現できないことから戦争の可能性が高まった」と分析している。

また、ロシア下院のロベルト・シレーゲル議員は「戦争の予感が高まっているのは、ウクライナ政府への否定的な評価が強いからだ。クーデターで成立したウクライナ新政権は、東部住民との合意が必要と考えていないため内戦が激しくなっている」と、ウクライナ政府を批判している。

ウクライナ紛争は昨年2月、クリミア半島のロシアへの編入から始まり、すでに1年近くに及んでいる。この間、西側諸国の経済制裁に原油安が加わり、ロシア人の生活は日々悪化している。こうした不満が世論調査に色濃く表れたといえる。

先日行われた停戦をめぐる4者協議でも、ロシア、ウクライナとも強硬姿勢を示し、今のところ妥協の余地が見えない状況だ。この際、プーチン露大統領とポロシェンコ・ウクライナ大統領の両国首脳が胸襟を開いて話し合い、停戦に向けた行動を起こすべきだ。今のままでは、本格的な戦争に突入するのは避けられない情勢だ。(この項おわり)

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