飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

拘留中のロシア女性パンク3人の釈放求めアーティストが立ち上がる!

2012年06月28日 11時13分22秒 | Weblog
 
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 今年2月、女性パンクグループ3人が反プーチン的パフォーマンスをしたとして逮捕され、現在も拘留されているが、これに対し映画監督や俳優ら103人が27日、裁判所に釈放を求めるアピールを行なった。

 逮捕・拘留中の女性3人はパンク・ロックグループ「プッシー・ライオット」(子猫の騒動の意味)のメンバーで、顔に覆面をかぶって激しく踊ることで知られている。2月21日、モスクワの中心部にある救世主キリスト大寺院で反プーチンのパフォーマンスを行なったとして刑法213条(乱暴狼藉)違反の疑いで逮捕された。当初裁判所は6月24日まで拘留すると決定したが、その後、7月24日まで1ヵ月延長した。

 アピールが掲載されたモスコフスキー・コムソモーレッツ紙によると、リャザノフ映画監督、女優のハマトワさんらアーティスト103人が署名に加わり、「彼らの行動は刑法犯罪には当たらないし、反教会的行動でもない。彼らを釈放し審理をやめるべきだ」と主張している。また、「彼らは依然監禁中で、社会は分裂や過激主義に向かうことに耐え切れなくなっている」と指摘し、裁判所に寛容な対応を求めている。

 パンク・グループの弁護士は「裁判所の決定は人権に反している」として欧州裁判所に提訴している。また、国際人権擁護団体アムネスティ・インターナショナルは3人を「良心の囚人」とみなしている。

 これに対し、裁判所側はアーティスト側から書簡が届いていることを認めたが、「裁判所は行政のように垂直機構ではなく、裁判官の判断で決定される」として結論については言及を避けている。

 メドベージェフ前大統領は司法の独立を守るため様々な手立てを講じたが、未だに裁判所は政権側の意向をうかがいつつ判断する傾向が強い。このパンク・グループは大統領選前の微妙な時期に「反プーチン的パフォーマンス」を教会で行なっており、政権側が“みせしめ”的に拘留を続けているのではないだろうか。だとしたら一日も早く彼らを釈放すべきだ。(この項おわり)
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第34回モスクワ国際映画祭が開会、大型映画館建設計画が浮上!

2012年06月26日 11時11分17秒 | Weblog
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第34回モスクワ国際映画祭の開会式が21日、アルバート通りの映画館「オクチャーブリ」で華やかに行われた。30日まで同映画館で世界各国から参加した映画が上映される。今年はルイジニキ競技場にロシア最大の映画館を建設する計画が浮上し、市民の関心を呼んでいる。

 開会式にはメジンスキー文化担当大臣が出席し、プーチン大統領の祝辞を代読した。この中で、大統領はモスクワ国際映画祭について「最も古い映画フェスティバルの一つであり、その歴史を誇りに思っている」と述べた。このあと、映画祭会長を務めるニキータ・ミハルコフ監督がバベンコ・ブラジル映画監督ら審査員を紹介した。映画祭には、イタリア・スペインなどから17作品、ロシアからも2作品が出品されている。

 この映画祭は、カンヌ国際映画祭などと並ぶ権威ある映画祭だが、それにふさわしい会場がなく、新たな大型映画館の建設が求められている。今回の会場となった映画館「オクチャーブリ」はモスクワの目抜き通りにはあるものの、入口が狭く、着飾った俳優たちが入場する場面が演出できないなどの不便さが指摘されている。このためミハルコフ監督らを中心に、映画祭の会場にふさわしい大型映画館の新設を計画している。

 26日付けのコメルサント紙(電子版)によると、ルイジニキ競技場の施設内に、300席の映画館と550人収容の大ホールを建設する計画。さらに、その周辺にホテル、レストランなどの施設を作り、大規模な映画レジャーランドにする予定だ。ミハルコフ監督はすでにソビャーニン・モスクワ市長に手紙を送り、土地の確保などを要請している。

 だが、競技場周辺にはスポーツ施設が立ち並び、すでに満杯状態だ。このため市当局は競技場周辺の土地を他に活用する考えはないとしており、大型映画館建設計画は難航しそうな雲行きだ。ただ、ミハルコフ監督はプーチン大統領と親交があり、国家主義的な考えも似ているとされる。大統領が乗り出してくれば、急展開することも考えられる。はたして大統領の出番があるのかどうか、見ものである。(この項おわり)
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プーチン露大統領、反プーチン派を厳しくけん制、法律遵守を呼び掛け!

2012年06月22日 11時31分53秒 | Weblog
 プーチン大統領は21日、サンクトペテルブルクで開かれた国際経済フォーラムで「変化への渇望は非生産的で危険でさえあり、市民社会と国家を崩壊に導く可能性がある」と述べ、反プーチン派に対し厳しく警告した。反プーチン派の活動が依然活発なことから、大統領が力で押さえつけようという意向を示したとみられている。

 メキシコのG20首脳会議から帰国した大統領は、疲れを癒す間もなく、国内外の企業家や政府関係者らが多数参加する「ロシア版ダボス会議」に出席した。問題発言は、投資環境の改善などについて52分間演説した中から飛び出した。以下は21日のコメルサント紙(電子版)の記事から引用したもの。

 「成熟した市民社会なしでは、経済を構築することはできない。我々は誰とでも対話を行う用意がある」「多数派の利益を考慮しながら少数派の権利も保障しなければならない」。こう切り出した大統領は、「すでに国家は少数派の意見を吸い上げる方策を取った」と述べ、政党の登録を簡略化し、市民10万人以上の署名を集めればインターネットで議会に提案できるようにしたことを挙げた。

 大統領とすれば、それにもかかわらず反プーチン派の運動が依然活発で、市民社会を脅かしており、非生産的で危険でもあるとみなし、「政治家たるものは、自分の立場を法律の範囲内でのみ表現する義務がある」と発言、同派の指導者に法の遵守を強調した。

 実は大統領の演説の前に、シュワロフ第一副首相が「ロシアでは中流層が増え続けており、変化を望んでいる。我々も彼らと一緒に働かなければならない」と、反プーチン派との“連携”を進める発言をしていた。閣内からも野党の運動を容認する意見が出てきたことから大統領は危機感を感じ、けん制の意味も込めて発言したようだ。

 この発言に対し、スラチノフ人文政治研究所長は「ロシア社会の大半がプーチン流のやり方に同意せず、変化を求めていることをプーチン大統領は全然理解していない」と述べ、本来の政治改革を徹底するよう求めている。この記事に対し、読者からネット上に多くの書き込みがなされているが、大半が大統領に批判的な内容であることに注目したい。

 今回の大統領発言は、国民の意識と大統領の認識との間に大きな乖離があることを示している。大統領がこの程度の理解のまま、強硬路線を突っ走ると大変な事態になる可能性がある。大統領は少なくとも閣内の声を謙虚に聞き、認識を改める必要があるのではないか。そうでないと、国民から思いがけないしっぺ返しを食うことは目に見えている。(この項おわり)


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反プーチン派の2政党が連合、野党連立政権の受け皿になるか?

2012年06月18日 12時00分34秒 | Weblog
 反プーチン派のロシア共和党と国民自由党が16日、合同総会を開いて連合することを決めた。新指導部はリベラル派政党「ヤブロコ」などに結集を呼びかけたが、今のところ連合に賛同する政党はなく、与党「統一ロシア」に対抗する野党連立政権の受け皿になるのは厳しい状況だ。

 今回の連合は、共和党のルイシコフ党首、国民自由党のネムツォフ元第一副首相、カシヤノフ元首相らが中心になって進めてきた。現行の反プーチン運動は少数野党や運動体の連合で、強力な力を発揮できないとして、広範な野党の合同を呼びかけたが、新政党の指導者は旧政権の有力者が多く、中流層などの支持を得られなかったというのが実情のようだ。

 なかでも、エリツィン政権からプーチン政権にかけて首相を務めたカシヤノフ氏に対する反発が強く、今月12日にモスクワで行われた大規模集会「百万人行進」の会場に姿を現すと、参加者から不満と軽蔑の声が上がったという。若い参加者からすれば、一世代前の「保守的政治家」のイメージが強いためらしい。

 合同総会では、秘密投票の末、ルイシコフ、ネムツォフ、カシヤノフの三氏を共同議長に選出。「連帯」指導者のヤーシン氏らを拡大政治会議のメンバーに選んだ。また、政治宣言の中で、昨年暮れの反プーチン派集会で決議した政治犯の解放、政治改革の実現、繰り上げ議会選と大統領選の実施などを政権側に要求していくことを決定した。

 だが、出席者の間からは「プーチン大統領を我々との会談に引っ張り出し、要求を受け入れさせる力はまだない」「我々にはまだ議会選繰り上げ実施の準備ができていない。もっと学ぶべきことが残っている」などの意見がでた。野党側は依然として一本化できず、強力な指導者も現れていないことから、プーチン政権に取って代わる野党連立政権の樹立にはほど遠いというのが出席者の実感に違いない。

 ロシアの民主派、リベラル派といった運動をソ連崩壊前後からみていると、個人政党のように、指導者を中心に固まる傾向が強い。また、無理に連合しても指導者同士で対立し、空中分解したケースが少なくない。これでは強力な連合体に発展していくのは難しい。実現すべき要求を元に、いかに幅広く人々を結集できるかが肝心である。今のようなやり方では、これまでの失敗を繰り返すだけに終わってしまうように思えてならない。(この項おわり)





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プーチン政権、反プーチン派「百万人行進」の壊滅を狙う作戦か?

2012年06月13日 11時12分49秒 | Weblog
プーチン露大統領の就任後、初の反プーチン派による「百万人行進」は12日、モスクワ中心部で行われ、前回より多い約2万人が参加した。デモ規制強化法施行後、初めての大規模集会だったが、治安部隊との衝突もなく、平穏に終了した。その裏では、治安当局による集会主催者らの取り調べが続けられ、反プーチン派指導者“追い落とし工作”が強まっている。

 この日、参加者は目抜き通りのトベルスコイ通り沿いにあるプーシキン広場に集結。サハロフ広場までデモ行進し、そこで集会を開いた。当局の発表では、デモ行進には1万8千人が参加、集会には1万5千人が集まったとされる。主催者側は5万人以上が参加したと発表した。前回、大統領就任式前夜の5月6日の参加者は当局発表で1万人弱だったので、それを上回ったことは間違いない。

 今回の集会には、ブロガーのナバリヌイ弁護士、「連帯」指導者のイリヤ・ヤーシン氏、テレビ司会者のクセニア・サプチャクさんら常連の姿がなかったのが目を引いた。この時間帯には、彼らに対する取り調べが検察庁付属捜査委員会によって行われていたからだ。当局側は前日の11日、自宅などの家宅捜索を行い、デモ当日に施設へ呼び出して取り調べを行なった。

 この取り調べは、前回の集会・デモでデモ隊が治安部隊と衝突、双方に負傷者が出たことに関するもの。約500人が拘束され、その中でも指導的な人物が罰金などの刑を受けている。このうち、イリヤ・ヤーシン氏とクセニア・サプチャクさんはコメルサント紙の取材に対し、約6時間取り調べを受け、団体の資金源まで詳しく聞かれたと話した。また、サプチャクさんはパスポートを取り上げられた上、所持金の出所などを追及され、脱税していないかどうかも聞かれたという。

 サプチャクさんは、かつて改革派の指導者だったサプチャク元サンクトペテルブルク市長(故人)の娘として知られている。「当時、父に対してこのような迫害が行われたが、歴史が繰り返すとは思わなかった。反対派を苦しめろという命令が出ていることは明らかだ」と語った。父のサプチャク氏はプーチン大統領の恩師であり、恩人でもあるが「大統領に助けを求めたいとは思わないが、今回の事件の理由を聞いてみたい」と述べた。

 プーチン政権は、反プーチン派の指導的人物を取り調べ、脱税などあらゆる犯罪を摘発して追い落とす作戦を取っているようだ。こうして犯罪者のレッテルを貼り、支持者から分断する方針とみられるが、あまりにも姑息なやり方ではないか。政権側はなんとしてもこの運動をつぶしたいのだろうが、思惑通りに行くかどうか。高額な罰金を課すデモ規制強化法が施行されても、デモ参加者が増えていることを政権側は真剣に検討すべきだろう。(この項おわり)



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プーチン大統領、デモ規制強化法案に署名、施行!

2012年06月11日 11時06分59秒 | Weblog

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プーチン露大統領は、無許可デモ参加者への罰金大幅増額などを盛り込んだデモ規制強化法案に署名し、9日から施行された。これに対し、野党側は憲法裁判所に提訴するなど、あくまで反対する構えだ。反プーチン派は12日に大規模集会「百万人行進」を計画しており、治安当局の対応が注目される。

インタファクス通信などによると、プーチン大統領は8日、サンクトペテルブルクで開かれた司法制度問題協議会に出席。「欧州諸国の同種の法律を比較検討したが、(デモ規制強化法案の中に)諸外国よりも厳しい条項はなかった」と述べ、法案に署名する意向を伝えた。大統領は同夜、法案に署名し、法律の条文が9日付けのロシースカヤ・ガゼータ紙に掲載された。

この法律の施行により、無許可デモで拘束された一般参加者への罰金の最高額は5000ルーブル(約1万2000円)から30万ルーブル(約72万円)に引き上げられる。また、主催団体への罰金額の最高は百万ルーブル(約2百40万円)となる。そのほか、地方自治体は集会やデモの場所を限定することができるようになり、全国的に集会やデモが制限される。

 プーチン大統領の今回の決定について、ゴルバチョフ元ソ連大統領は「大統領の決定は誤りだ。修正すべきだ」と述べた。また、ネムツォフ元第一副首相も「この法律は憲法違反であるだけでなく、欧州人権条約にも反している」と語り、憲法裁判所や欧州人権裁判所に提訴する意向を示した。政治評論家のパブロフスキー氏は「大統領は過ちを犯した。なぜなら、この法案は野党との対話を長期間不可能にするからだ」と語った。

 世論調査機関・レバダセンターは5月下旬、全国で約1600人を対象に世論調査を行なった。それによると、この法案に賛成している人は17%にとどまり、「状況を悪化させるだけ」として38%が反対の意向を示し、「罰金額が釣り合わない」と、26%が批判的という結果が出ている。

 この法律の初適用は、12日に予定される反プーチン派の大規模集会となる。野党側はモスクワなどで大量の動員を目指しており、治安当局の出方によっては衝突が起きる恐れもある。プーチン大統領は法案署名の前、「法律施行に当たっては民主主義の権利を制限しないようにすべきだ」と当局に釘を刺しているが、人権が守られるかどうかは未知数だ。

 昨年暮れの不正選挙糾弾集会以来、市民の意識が高まり、“見せかけの民主主義”から本来の民主主義実現を求める声が強まっている。これを受けてメドベージェフ政権は選挙制度の改革に乗り出したが、プーチン大統領に代わってから改革を骨抜きにする動きが目立っている。今回の法律がその動きをさらに強めることになると、中流層を中心とした市民から手痛いしっぺ返しを受けることになりかねない。


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デモ規制強化法案の成否;プーチン大統領に最初の試練!

2012年06月07日 11時58分12秒 | Weblog
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反プーチン派のデモ攻勢に対し、プーチン政権は無許可デモ参加者への罰金額大幅引き上げなどの法規制で対抗しようとしている。その法案は政権側のゴリ押しで6日までに可決されたが、野党側は反発し、憲法裁判所に提訴する構えだ。プーチン大統領がこの法案に署名するかどうかが当面の焦点だ。

この法案の要点は、無許可デモで拘束された一般参加者への罰金額を現在の最高5000ルーブル(約1万2000円)から最高30万ルーブル(約72万円)に引き上げる。主催団体への罰金は最大百万ルーブル(約2百40万円)となる。そのほか、逮捕歴のある政治家がデモを主催したり、デモ参加者がマスクを付けることも禁止される。

 この法案は、メドベージェフ首相が党首の与党「統一ロシア」が提案した。下院では野党が一斉に反発し、採決に抵抗したが、11時間にわたる審議の末、5日に通過した。上院は6日に審議し、大統領側近のナルイシキン議長が多数の修正案を1時間で否決し、強引に採決した。あとはプーチン大統領の署名を待つのみとなっている。

 これに対し、野党の共産党などは「憲法に保障された集会などの自由に違反する」として憲法裁判所に提訴する方針。大統領と親しいクドリン元財務相も「憲法違反の法案で、見直すべきだ」と反対している。大統領直属のフェドトフ人権評議会議長は、大統領に対し法案に署名しないよう求める書簡を提出すると明言した。

 世論調査機関・レバダセンターが5月下旬に行なった約1600人対象の調査結果によると、法案に賛成している人は17%にとどまり、「状況を悪化させるだけ」として38%が反対の意向を示し、「罰金額が釣り合わない」などと26%が批判的だった。

 では、プーチン大統領はどういう判断を下すのか。大統領広報官は「大統領は欧州諸国で採用されている基準に反する場合のみ、拒否権を行使する」と述べている。そもそもこの法案は12日に予定される反プーチン派の大規模集会に間に合わせようと政権側が審議を急がせた事情があり、プーチン大統領は数日中に法案に署名するとの見方が有力だ。

 一方、メドベージェフ首相は大統領だった2年前、同種のデモ規制強化法案に拒否権を行使している。今回、プーチン大統領が署名すれば、大統領が直接、野党側の批判の矢面に立つことになる。それを政権側があえて強行するのかどうか。3期目が始まったばかりのプーチン大統領にとって最初の試練となるのは間違いない。  (この項おわり)


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新設の「極東発展省」は極東・シベリア地域の事実上の政府になる!?

2012年06月04日 11時28分01秒 | Weblog
 
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プーチン大統領は新内閣設立に当たり、極東・シベリア開発のための「極東発展省」を新設したが、その設立計画が4日、明らかになった。同省の施設は主にハバロフスクに置かれ、他の連邦機関の介入を制限する独立性の高い機関になる見通しだ。事実上の「極東共和国」として、プーチン政権の「アジア重視」政策を担うことになりそうだ。

 4日付けの有力紙コメルサント(電子版)が計画の概要を明らかにした。それによると、極東発展省のトップは、ビクトル・イシャエフ極東連邦管区大統領全権代表が兼務する。元ハバロフスク州知事で、極東地域のボス的存在だ。

 同省の主な任務は、まず第一に極東・シベリア地域の連邦資産、とくに天然資源の管理運営である。この中には、土地の管理も入り、販売の際の価格評価にも関与する。そのほか、連邦資産の民営化や戦略的企業リストの変更にも加わる計画だ。

 第二に、この地域の連邦予算の管理者として予算の配分や実行を監督する。このため他の省庁や地方権力の行使が大幅に制限されることになる。第三に、極東発展省に司法・裁判権が与えられる。ミスを犯した人を罰するだけでなく、優秀者に対しては褒賞を与える権利も付与される。

 この省庁の施設はモスクワとハバロフスクに置かれるが、本部はハバロフスクとなる。省庁の人員は240人で、モスクワや極東・シベリア地域に配置される。この結果、この省庁の統括面積は連邦全体の36.3%にのぼり、国内総生産の5.4%になるという。

 ロシア革命後の干渉戦争時に、日本の軍隊との直接対決を避けるため、ロシア共産党の決定でバイカル湖以東の地域に「極東共和国」が樹立されたことがあった。目的は違うが、その再現ともいえる。その後、共和国の首都をチタに移し、バイカル湖から太平洋岸までの全域が領域になり、反革命軍を打倒するとともに、日本軍を撤退に追い込んだ歴史がある。

 この省庁は今後、極東・シベリア地域のエネルギーなどの開発を担うことになり、日露関係の懸案である北方領土(南クリル諸島)の開発や日本との共同経済活動にも関係するだろう。日本との間で軋轢が起きる可能性もあるが、両国関係の発展につながる施策を是非実行して欲しい。「極東共和国」のような事態はごめんである。  (この項おわり)

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「飲酒天国」ロシアの首都モスクワで夜間、ビールが買えなくなる!

2012年06月01日 11時02分52秒 | Weblog
 
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ロシアで喫煙に続き飲酒を規制する動きが強まっているが、首都モスクワでは近く、売店で夜間、ビール類の販売が禁止されることになった。市当局が31日、市議会に酒類販売規制案を提出したもので、他地域よりもひと足早く首都で「夜間禁酒法」が施行される見通しだ。

 モスクワではすでに、ウオツカとワインは午後11時から午前8時までの夜間、売店での販売が禁止されている。ビール類は現在、1日中どこでも購入できるが、今後夜間はすべての売店、自販機での販売が禁止されることになる。

 モスクワ市の2025年までの発展戦略によると、酒類の販売箇所数を現在の約10分の1に削減する計画。このため今後2年間に酒類販売業者を毎年20%ずつ削減する方針。さらに、禁止場所での罰金を現在の100-300ルーブルから1000ルーブルに増額することにしている。

 ロシア全体では、すでに今年1月1日からアルコール度16.5%以上の酒類は夜間の小売店での販売が禁止されている。ビールもアルコール類と同様とみなされているが、販売禁止は来年、全国一斉に行われることになっている。なお、教育・スポーツ・文化施設での酒類販売はビールも含めてすでに禁止されている。

 プーチン大統領が2000年に登場してから、ロシアではタバコへの規制が強化された。政府はさらに禁煙場所を増やすほか、販売への規制を強め、価格も値上げして喫煙者を大幅に減らす方針だが、これに加えて酒類の販売規制も大幅に強化されることになる。規制の推進論者であるプーチン氏が大統領に返り咲いたため、こうした動きに拍車を掛けていることは間違いない。

 このことは5月10日のブログでも触れたが、ゴルバチョフ共産党書記長が就任後まもなく音頭をとって始めた「禁酒法」が悪評を買い、国民の人気が急降下した事実を忘れてはいけない。健康面だけでなく、環境面からもロシア政府が酒、タバコの規制にやっきになるのはわかるが、やりすぎると庶民から大きなしっぺ返しを受けることは肝に銘じておいたほうがいい。(この項おわり)

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