飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

ロシアとウクライナの天然ガス騒動はロシアだけが悪いのか

2009年01月08日 10時46分24秒 | Weblog
ロシアとウクライナが天然ガス供給をめぐって対立している問題で、双方とも譲らず、ついに欧州向けガスが完全に停止する事態となった。日本のマスコミ報道を見ていると、資源大国・ロシアが資源のないウクライナをいじめている、あるいは政治的意図を持って圧力をかけているかのような報道が目立つが、実態は違うのではないだろうか。事実関係はまだはっきりしないが、今回の問題は天然ガスをめぐる経済問題としてみるべきではないかと思う。


マスコミの論調を見ていると、ロシアが強硬姿勢を貫いているのは、ウクライナに政治的圧力をかけているからだとの見方が多い。昨年夏、ロシアとグルジアの対立が戦争状態に発展したのは、グルジアがロシアの反対を押し切ってNАТO(北大西洋条約機構)への加盟を目指したことが最大の原因だった。ウクライナもグルジア同様、西側社会への仲間入りを求めており、そうした動きに歯止めをかけようとロシアが天然ガスを使って脅しをかけているというのだ。

ところが、毎日新聞の8日朝刊国際面に掲載されたクルチーヒン・エネルギー問題専門誌編集長によると、ウクライナがロシアとの交渉でロシアの天然ガス独占企業ガスプロム周辺の仲介企業を排除するよう求めたため、プーチン首相サイドの怒りを買い、交渉が決裂、長期化しているのだという。現在の仕組みはプーチン大統領とクチマ大統領(いずれも前の大統領)の間で取り決められたもので、双方の仲介企業に金が流れる形になっているようだ。それらを排除してユーシェンコ現大統領周辺に利益が流れるような形に変えるのがウクライナ側の狙いとみられる。これが事実とすると、政治問題のような高尚なものではない。

ロシアとしても、天然ガスを政治利用するより、最大の外貨獲得源であるガスでしっかり稼ごうというのが本音で、そのためにこれまで安く抑えてきた旧ソ連諸国向けのガス供給価格を欧州向け並みに近づけつつある。欧州向けのガスの8割はウクライナを経由するパイプラインで運ばれている。このためロシアはパイプライン使用料をウクライナに支払っている関係もあり、いつまでも欧州価格の半分ですませるわけにはいかないのだろう。

ウクライナとしては、この問題でロシアの横暴さを見せつけ、欧州諸国の同情を買う作戦だった。ところが、ウクライナはその裏でパイプラインからの「ガス抜き取り」を相当行っていることが次第に明らかになっており、欧米からの同情も集まりそうもない。

EUの仲介でロシア、ウクライナ双方のガス会社社長が8日からブリュッセルで交渉を再開する見通しとされる。欧州各国もかなりの備蓄をもっていて、供給停止でもすぐ困るわけではないが、両国ともいつまでも対立を続けていては国際社会の反発を受ける。そろそろ解決に向かう時期だろう。
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1 コメント

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水道・ガス (ウノッチ)
2009-01-21 16:13:54
モスクワで、タダだったのに、市内電話、水道、ガスだったと記憶する。ドムは一人当たりいくらというカウントだったと思う。ガスやら水道を計量する器械が作れないからだと誰かに教わったが?いまではメーターがついているのかいな?
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