飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

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ミハルコフ監督の映画「太陽にやかれてⅡ」の試写会に6千人!

2010年04月19日 10時52分07秒 | Weblog
 ロシアの有名な映画監督ミハルコフ氏が製作し、アカデミー賞の外国語映画賞を受賞した「太陽にやかれて」の続編がこのほど完成、試写会が17日、大クレムリン宮殿で行われた。プーチン首相が支援していることもあって、試写会には政治家や旧ソ連軍兵士約6000人が詰め掛けたという。

 スターリン時代の粛清下の男女の愛をリアルに描いた「太陽にやかれて」は、1994年に上演された。ミハルコフ監督自身が主演したうえ、娘のナジェージダも6歳でデビューを飾った作品で、世界中でヒットした。もちろん日本でも上映され、私も見て感激した記憶がある。

 それから16年後、そのパートⅡが完成した。今回は二部作となっていて、配役は前作とほとんど同じ。5500万ドルの巨費を投じて第二次大戦の戦闘シーンなどがリアルに描き出されているという。前作で監督演じるコトフ大佐は最後に秘密警察に殺害されることが暗示されているが、実際には生き延びて第二作に登場、前線に投入される筋書きという。

 ミハルコフ監督といえば、ロシアでは名門の出で、父は詩人で劇作家、祖父は著名な画家である。本人は演劇学校から映画大学を出て、役者と監督を兼ねた作品多数を作っている。最近では「シベリアの理髪師」「12人の怒れる男」などを製作、洗練された演出で評判が高く、ロシアを代表する映画監督である。

 今回の映画についても「3時間の大作だが、一気に見た」「批判もあるだろうが、見る価値のある映画だ」など、試写会の評価もまずまずだ。その半面、プーチン首相の支援を得ている保守的な監督だけに改革派などから批判も出ている。この日の試写会には、プーチン首相も出席するとみられていたが、予想に反し欠席した。しかし、試写会後に監督に電話し、お祝いの言葉を伝えたという。

 この映画は今月22日から一般公開される。ミハルコフ監督は、もともと今年5月の対独戦勝65周年に合わせて製作したといい、「勝利にはいかに莫大なコストがかかるか、人々はいかに耐えたか、を知ってほしい」と語っている。今年の記念パレードには、スターリンの肖像も登場する予定になっており、初夏のモスクワは戦争回顧一色に覆われそうだ。
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