飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

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ロシアの民放テレビ、「反プーチン派集会開催に米国が協力」とする番組を放送、野党側が強く反発!

2012年03月17日 09時57分39秒 | Weblog
 ロシアの民放テレビ局「NТB」は15日夜、反プーチン派の抗議集会を「解剖する」という報道番組を放送。集会主催者が金を支払って参加者を集め、さらに米国国務省の協力まで得ていたとする内容だったことから大きな反響を呼び、野党側がテレビ局前などで抗議集会を開く騒ぎに発展した。

 17日のロシア有力紙コメルサント(電子版)などによると、問題の番組は「抗議の解剖」とのタイトルで36分間放送された。大統領選(3月4日)終了後の10日にモスクワで行われた不正選挙抗議集会で、主催者側は集会参加者が1万人以下にとどまる見通しになったことから、団体旅行者らに金を支払って集会に参加させたとする映像を流した。さらに、モスクワでの抗議行動は「米国国務省の介入なくしては実施できない」と指摘し、米国国務省が反プーチン派の集会開催に協力していたように受け取れる説明を流したとされる。

 これに対し、集会指導者らは「放送は全くのでたらめだ」と強く反発している。野党「国民自由党」共同指導者のネムツォフ元第一副首相は「ノルウェーでの演説場面は情報機関員が撮影した映像で、ロシアで登録されているビデオカメラによる撮影ではない」と述べ、政権側が制作に関与していることを示唆、NTBのボイコットを呼びかけた。野党側は17日午後、抗議集会を開くとともに、18日にもオスタンキノ・テレビ塔前で抗議集会を開くことを決めた。

 一方、NTBはコメントを拒否しているが、16日夕、ホームページでこの番組を「視聴者多数の希望により」18日夜の時間帯に再放送すると伝えた。政権側も沈黙を守っているが、NTBはじめ全国ネットのテレビ3局は政権側の統制を受けていることは周知の事実。このため、この番組の真偽や当局との関係をめぐって今後論議を呼ぶのは間違いない。

 プーチン首相は選挙期間中から「学生たちが米国から金をもらって抗議集会に参加している」などと述べ、米国政府が抗議運動に関与していることを示唆していた。NTBの番組は首相発言を裏付けたともいえるが、当局側がテレビ局に指示して番組を制作した可能性が高いとみられる。プーチン首相が大統領に復帰することが決まったため、政権側が強硬姿勢に転じたとの見方もでている。プーチン新大統領の5月就任を前に、早くも政権側が“野党つぶし”に動き出したのかもしれない。
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