飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

ロシアとウクライナの天然ガス騒動の勝者は誰か?

2009年01月24日 23時56分17秒 | Weblog
 新年早々に始まったロシアとウクライナの天然ガス騒動は、3週間ぶりにようやく決着した。最後はウクライナのティモシェンコ首相がモスクワに乗り込んでプーチン首相と差しの会談を行い、向こう10年の契約を結んだ。この騒動でだれが一番の勝者といえるのだろうか。

 現地の新聞や通信を読んでいると、ティモシェンコ首相が一番の勝者という見方が強い。美人で気が強く、ウクライナのジャンヌ・ダルクともいわれる女性だけに、採点が甘いともいえるが、難しい交渉をまとめ、ロシアの顔も立てたのだから成功といえよう。しかも、年内にも行われる大統領選ではユーシェンコ大統領と一騎打ちをするといわれており、当選に弾みがかかるかもしれない。一説には、これで大統領選でロシアの支持を得るのは間違いないとの見方も出ている。

 それに対し、一番の敗者はユーシェンコ大統領だろう。今回の騒動でウクライナ国内をまとめきれず、指導力のなさを内外に暴露してしまった。そのうえ、ロシアとの取引に介在する企業との金銭的疑惑も指摘されている。このままでは再選は難しいのではないか。

 プーチン首相の評価は分かれている。欧州からすれば天然ガスを武器に、ウクライナとの戦争を仕掛けた張本人と見られても仕方ない。だが、ロシアから見れば、ウクライナの価格を欧州並みに引き上げる道筋をつけた上、ユーシェンコ大統領とティモシェンコ首相との不仲を決定的にした「功労者」ともいえる。

 今後心配なのは、ウクライナの内政だ。早くもプーチン首相とティモシェンコ首相の密約説などが流れている。ウクライナでは、ことあるごとに政治家同士が足の引っ張り合いをして、いつまでもゴタゴタが続く。政治家の統治能力のなさなのか、国家としてのまとまりに欠けるのか。ウクライナもソ連から独立してまもなく20年となる。そろそろ国家として一本立ちしなければ、国際社会でやっていけない。

 
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