飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

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メドベージェフ露大統領、次期大統領選への立候補を宣言!?

2010年04月27日 07時36分34秒 | Weblog
 メドベージェフ大統領は26日からのノルウェー訪問を前にノルウェー紙とインタビューし、12年の次期大統領選に立候補するかどうかについて「大統領選に立候補することを排除しない」と語った。この発言は、控えめながら次期選挙に立候補することを宣言したものと受け取れる。

 大統領の任期は現在4年なので、メドベージェフ大統領は5月に折り返し点を迎える。この時期になると次期大統領選の立候補問題がクローズアップされるが、いまのところ有力候補と見られているのはメドベージェフ大統領と、前大統領のプーチン首相だけだ。現時点では当事者の発言を元に推測するしかないが、メドベージェフ大統領は今回の発言でこれまでより一歩前へ出たという印象だ。

 今回の大統領発言は、「この問題についてはいつも一様に、典型的に答えている」と前置きし、次のように続けている。「もし国家のために、そしてプーチンが国家元首となり、いま私が国家元首となって担っている現在の路線を維持するために必要なら(次期大統領選に)立候補することを排除しない」と述べている。そして、「大統領の業績が最低限、国民に受け入れられ、単なる感覚ではなく、結果を得ることを目指さなければならない」ことを立候補の条件としてあげ、「(最終的な判断は)パスモートゥリム(見ていてくださいの意味)」と述べた。

 大統領は直近の今年2月のフランス雑誌とのインタビューでは「先のことは誰もわからないが、責任のある人間であり、国家にとって何がベターなのかを(プーチン首相と)一緒に協議して決める」と述べ、あくまで首相の意向を聞いてから決めるというスタンスをとっていた。ところが、今回はプーチン首相にまったく言及していないことから、ロシアの有力新聞の間では「大統領は(立候補問題で)初めてプーチン首相抜きで語っている」との見方が出ている。

 その半面、大統領は立候補について「可能である」というはっきりした言い方をせず、「排除しない」つまり「可能性はある」という言い方にとどまっていることから、「立候補は明らかではなく、可能性は低い」(独立新聞の解説)との見方も依然強い。その裏には、プーチン首相がいまだに実権を握っていて、大統領はまだ首相の路線から一歩も出ていないという不満があるようだ。

 一方、プーチン首相は立候補問題について「誰が立候補するかは(メドベージェフと)2人で協議して決めるが、2人は同じ血が流れているのでどちらが立候補しても路線は変わらない」(昨年9月のバルダイ会議での発言)という立場を取り続けている。前回同様、大統領選直前の状況を見て判断するつもりらしい。

 2人とも双頭体制とも「タンデム体制」ともいわれる現政権がうまく機能していることを強調しているが、政権運営について強権的な首相とリベラルな大統領の違いが微妙に政策ににじみ出ていることも事実だ。どこまで折り合えるのか、いつまで協調路線が続くのか、まさに「パスモートゥリム(見ていてください)」だ。


 

 
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