“酔い、惑い、描き、祈った。”
なかなか私的には好きな言葉が並んでいる。
そんなキャッチコピーに誘われてなんば高島屋へ
「没後50年 モーリス・ユトリロ展」を観に行く。
ユトリロも好きな画家のひとりである。
グランドホールに設えた展覧会場は
ユトリロの描くパリ一色であった。
まさにパリの回廊を巡っているような感覚。
やっぱりパリは憧れの街だ。確か8年前だったか
撮影で出かけたフランス旅行を想い出した。
グルノーブルのシャトーホテルでの撮影。
プチでも中庭が美しい由緒あるホテルだ。
リヨンからレンタカーで一路国道を北へ走り抜け
向かった先はブルゴーニュワインの中心地ボーヌ。
そしてそこから村々を訪ね巡った。あの
ロマネコンティのブドウ畑に感動した。
たったこれだけの作付面積なのか…と。
レンタカーを返すのにとまどり
リヨン駅を発車ぎりぎりで乗り込んだTGVは
延々と続く田園地帯を高速で走り続けた。
珍しかった牧歌的なフランスの田園風景も
しばらくするともうその単調さにあきてしまった。
しかし改めて狭い国土を高速で走リ抜ける
日本の新幹線の優秀さを思い知った。
やがてTGVはパリリオン駅へ滑り込む。
パリでは先人たちのいろんな面影の場所を訪ね歩く。
ユトリロ、ヘミングウェイ、フィッツジェラルド…
アブサンにゴロワーズ、パリの食堂…。ワインの日々。
いいなぁ。壊れているものは美しい。きっと
パリもユトリロも私の憧憬で在り続けるのだろう。
つい心が回廊してしまったユトリロ展であった。