夕暮れになると公園の野のあちこちで黄色い花が咲いています。わっと群れるような感じではないですが、点々とあちこちで咲き満ちています。待宵草です。夕方に咲いて朝には萎みます。萎むと紅色に変ります。
月見草と言われてますが、真打の月見草は別種でよく見るのは「待宵草」。月見草というのは白い花の種を言うのですが、私はまだ野にそれを見たことはありません。ほとんどの人はこの「待宵草」を「月見草」と認識しています。待宵草も月見草も日本の固有種ではありません。北アメリカ原産の外来種です。
文学作品で月見草と言えば、やはり竹久夢二の詩に出て来る月見草と太宰治の「富嶽百景」に出て来る月見草が有名ですね。
「まてどくらせどこぬひとを 宵待草のやるせなき。こよひは月もでぬさうな。」夢二は「宵待草」と称していますが正しくは「待宵草」です。養命酒の月間元気通信によるとこうありました。
“大正6(1917)年発表の歌詞では、千葉での失恋の思いを故郷岡山の旭川河原のオオマツヨイグサを見て作ったと言われています。発表後「待宵草」を誤って「宵待草」にしたことに気づきますが、改めずにそのままにしたと伝わっています。”
同じく元気通信からの抜粋ですが、“太宰治は『富嶽百景』のなかで「三七七六米の富士の山と、立派に相対峙し、みじんもゆるがず、なんと言ふのか、金剛力草とでも言ひたいくらゐ、けなげにすくっと立つてゐたあの月見草は、よかつた。富士には月見草がよく似合う。」と書いています。ただ、ツキミソウを金剛力草と表現していますが、本来はそんなに強い植物ではありません。この小説の舞台、御坂峠はツキミソウの生育環境としては厳しく、登場した植物はオオマツヨイグサだったのではと考えられます。”
本来の白い月見草は寒さに弱く丈夫な体?ではないためほとんど野生化できず、よって野で見かけることはないようです。(でもこういう花の方が好きです)ということで待宵草は月見草ということで良いのでないでしょうか?白より黄色い方が月らしいですしね。
日の暮れて忽ち月見草の野に