おかげ横丁に山口誓子俳句館があった。
へえ、ここにこんな俳句館があるなんて
予想だにしていなかった。興味津々で入る。
山口誓子は、昭和初期に水原秋桜子、高野素十
阿波野青畝とともに「ホトトギスの四S」として
一時代を築いた俳人だ。わが先々師の五十嵐播水とは
京大三高俳句時代に深い交流があった人でもある。
そうか、山口誓子は伊勢に所縁の深い人だったのだ。
繙くと、昭和26年から28年にかけて、誓子は三重で
過ごしている。その頃に記された誓子の日記には
当時の誓子の三重での暮らしぶりが生き生きと
描かれていると言う。
「誓子にとって、三重での暮らしは後の俳壇での
大活躍につながる重要な時間だった。」
なるほど。そうなんだ。
投句箱があったので、即吟の句を投句。
これも旅の楽しみのひとつ。
■私の好きな誓子の俳句
流氷や宗谷の門波荒れやまず
ピストルがプールの硬き面にひびき
海に出て木枯帰るところなし
つきぬけて天上の紺曼珠沙華
遠き世の如く遠くに蓮の華
ひとり膝を抱けば秋風また秋風