「君の名は。」を観に行った。
この映画の封切り前から、その映像に惹かれていて
観に行くと決めていたのだが、あれよあれよと
人気になって中々行く機会を失っていた。
評判に違わぬ素晴らしい映画であった。
アニメもここまで拘ってクオリティを追及すると
人を感動させるほど素晴らしい作品になるのだ。
精緻でありながらかつ、ファンタジックである
ところがいい。アニメもリアル過ぎるとかえって
興趣をそぐものだが、この作品にはそれがない。
やはり監督のポテンシャルでありセンスなのだ。
都会と田舎の映像の対比が、都会人の郷愁をそそる。
何度も観に行く人が多いのも頷ける。
飛騨の里山の映像は、私もいつの間にかそこに入り込み
まるで吟行をしているかような錯覚を覚えた。
里山の四季が手に取るように目に飛び込んでくる。
はて、観終わってから、ふとそのシチュエーション
どこかであったような気がしていたのだが。そうだ。
これは村上春樹の「1Q84」の天吾と青豆のようではないか。
特に、宣伝ポスターのビジュアルにもなっている階段の
ラストシーンは、天吾と青豆のあの二人が、ついに
邂逅しそうな場面を彷彿させるのだ。また
オカルト的な着想は海辺のカフカのテイストだ。
どうも気になって家に帰って調べたら、なるほどやはり
新海監督は村上春樹ファンであるとあった。
春樹ワールドにインスパイアされているのかもしれない。
しかしこれは特段おかしくもないことである。古今
すぐれた文学作品の多くも、既出の作品にインスパイア
されたものが多いのである。
ちなみにこの映画、10月時点で興行収入164億円。
崖の上のポニョやアバターを抜いて、国内歴代9位。
邦画では国内歴代5位とか。さてさて
あのラストシーンなら続編があるのだろうか?