家に帰れば、食卓に
八重咲きの芍薬がいけてあった。
芍薬は私が二番目に好きな花である。
振りが大きく派手目な花であるが
楚々とした気品を感じさせてくれる。
薔薇の豪華なエレガントさとは
また違う趣きがあっていい。
昔、京都は石塀小路のとある料理屋の
玄関にいけてあった芍薬の姿が
今でも脳裏に焼きついている。
はんなりとした花姿だった。
「これはいったい何の花ですか?」
と尋ねたら
「芍薬ですよ。」
とにっこり微笑んで教えてくれた。
以来
忘れじの芍薬となったのである。
どうしてこんなに気品を感じるのか?
そう思って調べてみたら…。
芍薬は枝分かれせずに
まっすぐに立つのだという。
なるほど。そうだったのか。
立てば芍薬とはそういう意味か。
枝分かれして沢山の花をつけるより
こういう咲き方をする花の方が
やはり凛とした感じでいいと思う。
明日くらいには、蕾の花も
一気に全部開花するだろう。