朝夕がひんやりしてきた頃。
日が暮れるのも早い。
HAT神戸の海岸沿いで連凧を揚げている人がいた。
初老のその人は凧糸をしっかり結わえ付けて
ひとり気持ちよさそうに煙草をふかしていた。
自転車から降りて見上げるおじさん。
散歩しながら繋いだ手をしっかり離さずに
見上げている若い恋人連れ。
散歩のワンちゃんは下ばかり嗅いで見上げる素振りはなし。
街頭の明かりがどことなく哀愁を帯びてきた九月の空。
この海辺の風景…何故か映画「日の名残り」で
アンソニーホプキンスが灯燈し頃に桟橋のベンチで
彼女と邂逅するシーンの風景に重なった。
ペーソスに溢れた美しい海と夕暮れ。
秋は黄昏である。