いよいよ葬儀のクライマックスが近づいてきました
頼んだお寺様は真言宗でした、実家がその宗派でしたから
頼んだのでしょう、戒名は「俗名」で頼んだようです、もし
田舎に埋葬になれば、そこのお寺さんから戒名をいただく
つもりが身内にはあったのでしょう、眠くなるようなお経でしたが
やはり真言宗のお経はなんかメリハリが弱いようです、
うとうとしたら、やたら台車が動きました、
とうにお経は終わり、お別れの刻が来たようです
「それではお別れでございます」
落ち着いた口調の葬儀社さんの手には、お別れ用の花が
お盆に添えられておりました、「ちゃんと供えた花から取ったのでしょうね」
などと余計な心配は無用でした、供えた花は全てお盆に載っており
各親戚に渡されておりました、
それぞれが花を持ち、私の顔を触りながら、花を入れております
涙の一滴が頬を伝わり・・私の頬に・・・
・・・
こんなに愛されていたのかと思うくらいに
ぽたぽたと滴りおちています・・・
あぁ~私は死んでしまったのだ・・・
客観的に柩の上から眺めていた私は
思わず、「ありがとう・・みんな・・」と囁き、
死体の私の目にも涙が溢れて止まりません・・
私の涙は皆さんの頭上から落ちているはずなのに・・
すう~と消えていきます、やはり魂の身からは物理的な雫になりません
「最後でございますから、今一度お顔をご覧下さい」
葬儀社さんにうながされ皆の顔が私をのぞきこみます
そのときお花の花粉が鼻の中に・・・・
ふっふっふぃっくしょん・・!
くしゃみをしてしまいました、もちろん外見には出ませんが・・
もし、鼻の近くの花が揺れたら、それは故人様のくしゃみかも
しれないのです・・
最後に身内の一人が言いました
「葬儀社のお前が死んで、誰が葬儀をするんだ」
・・・・
それを聞いた葬儀社さんは、「この人葬儀社さんだったの」と気がついた
ようです
外は、真っ青な秋の空
昼の陽の高さと比べても、胸を張って爽やかに死んで行ける私は
「生きていたから死ねること」
いい人生をありがとう・・・周りの全ての人にあたまを下げていました、
そして、いろいろ観察してしまった葬儀社さんにはゴメンナサイ
死体の私から御礼申し上げます
高いところから時々会いに来ますのでよろし・・・く・・・
すると、す~ぅ~と意識が薄れてきました
やはり向こうの世界に行かないといけないようです・・・
周りが照明を落としていくようにだんだん暗くなり・・
・・・・・・・やがてはるか向こうに明るい点が見えてきました
どうやら、川を越えたようです・・・
とりとめのない変な死体の話しを聞いて下さいまして
ありがとうございました、
葬儀社さんは、やはり死体から一番見られている職業なのです
合掌
頼んだお寺様は真言宗でした、実家がその宗派でしたから
頼んだのでしょう、戒名は「俗名」で頼んだようです、もし
田舎に埋葬になれば、そこのお寺さんから戒名をいただく
つもりが身内にはあったのでしょう、眠くなるようなお経でしたが
やはり真言宗のお経はなんかメリハリが弱いようです、
うとうとしたら、やたら台車が動きました、
とうにお経は終わり、お別れの刻が来たようです
「それではお別れでございます」
落ち着いた口調の葬儀社さんの手には、お別れ用の花が
お盆に添えられておりました、「ちゃんと供えた花から取ったのでしょうね」
などと余計な心配は無用でした、供えた花は全てお盆に載っており
各親戚に渡されておりました、
それぞれが花を持ち、私の顔を触りながら、花を入れております
涙の一滴が頬を伝わり・・私の頬に・・・
・・・
こんなに愛されていたのかと思うくらいに
ぽたぽたと滴りおちています・・・
あぁ~私は死んでしまったのだ・・・
客観的に柩の上から眺めていた私は
思わず、「ありがとう・・みんな・・」と囁き、
死体の私の目にも涙が溢れて止まりません・・
私の涙は皆さんの頭上から落ちているはずなのに・・
すう~と消えていきます、やはり魂の身からは物理的な雫になりません
「最後でございますから、今一度お顔をご覧下さい」
葬儀社さんにうながされ皆の顔が私をのぞきこみます
そのときお花の花粉が鼻の中に・・・・
ふっふっふぃっくしょん・・!
くしゃみをしてしまいました、もちろん外見には出ませんが・・
もし、鼻の近くの花が揺れたら、それは故人様のくしゃみかも
しれないのです・・
最後に身内の一人が言いました
「葬儀社のお前が死んで、誰が葬儀をするんだ」
・・・・
それを聞いた葬儀社さんは、「この人葬儀社さんだったの」と気がついた
ようです
外は、真っ青な秋の空
昼の陽の高さと比べても、胸を張って爽やかに死んで行ける私は
「生きていたから死ねること」
いい人生をありがとう・・・周りの全ての人にあたまを下げていました、
そして、いろいろ観察してしまった葬儀社さんにはゴメンナサイ
死体の私から御礼申し上げます
高いところから時々会いに来ますのでよろし・・・く・・・
すると、す~ぅ~と意識が薄れてきました
やはり向こうの世界に行かないといけないようです・・・
周りが照明を落としていくようにだんだん暗くなり・・
・・・・・・・やがてはるか向こうに明るい点が見えてきました
どうやら、川を越えたようです・・・
とりとめのない変な死体の話しを聞いて下さいまして
ありがとうございました、
葬儀社さんは、やはり死体から一番見られている職業なのです
合掌