マーちゃんの数独日記

かっては数独解説。今はつれづれに旅行記や日常雑記など。

『ボストン美術館 日本の美術の至宝』展を観る

2012年04月05日 | 映画・美術・芝居・落語

 今日、4月5日(木)、家人と東京国立博物館に出掛け「ボストン美術館 日本美術の至宝」を観て来ました。
 早朝9時、東博の正門前に並ぶと、前から5列目。意外に少ない人数の待ち合わせでしたが、係員に案内されて平成館への移動を開始する頃には相当の列に膨れ上がり、この特別展の人気の高さが窺えます。


 アメリカのボストン美術館は、アーネスト・フェノロサや岡倉天心に始まり、100年以上にわたって日本美術の蒐集に努めて来ました。海外にある日本美術コレクションとしては世界随一の規模と質の高さを誇るそうです。総数10万点に及ぶ美術品。かくも多くの美術品をよくぞ集められたものと、その財力の豊富さと蒐集意欲の激しさに脱帽です。(写真:東博正面のポスター)







 それらの美術品の中から、厳選された仏像・絵巻・近世絵画等々90点が紹介されていました。絵巻では「吉備大臣入唐絵巻」と「平治物語絵巻 三条殿夜討巻」が、近世絵画としては、長谷川等伯・雲谷等顔・尾形光琳・伊藤若冲や狩野派の作になる名品の数々が。恐らく日本に存していれば国宝や重要文化財の指定を受けていたであろう美術品も数点はあることでしょう。これらの作品群が海外に流失してしまい、簡単には私達日本人の眼に触れ難くなってしまった事を嘆く気持はありますが、それ以上に、良い状態で保存され修復されて来たことに、私は感謝したい思いを抱きました。
 
 第一章「麗しのみほとけ」は後回しにして、第二章「海を渡った二大絵巻」に急ぎました。ほぼ先頭の位置で、じっくりと絵を眺め地の文の写しを読みます。2順目でこの絵巻の前を通り過ぎると、物凄い数の人垣で列が殆ど動かないのを目撃して、まずは二大絵巻を目指したのは正解だったと一人納得しました。
 「平治物語」では居ながらにして平安時代末期の凄惨な戦乱の様子や炎上する宮殿を目撃することになります。凄まじいまでのリアルな、迫力十分の合戦絵巻です。

 「吉備大臣」の絵巻を見るのは実は2度目です。2010年4月11日のブログにも書いた様に、一昨年の4月に出掛けた「奈良美術館」でこの絵巻1巻と4巻を見ていました。平城京遷都1300年を記念して、ボストン美術館から特別に”お出で頂いて”いたのです。(写真:絵葉書より。吉備大臣らを乗せた舟、唐に到着)





 賢過ぎる吉備真備を恐れてか、吉備大臣は入唐後すぐ幽閉されてしまいます。安倍仲麻呂の霊に助けられて宙を飛び、奇策で囲碁勝負に勝利する様子がユーモラスに描かれている絵巻ものでした。再度この物語をじっくり味わいたい願いが叶いました。(写真:絵葉書より。吉備大臣、楼閣に幽閉される)





 4月4日の朝日新聞夕刊で、MOA美術館所有の「浄瑠璃物語」を観た記者はその感想を次の様に書いています。「詞書を黙読しながら画面を追うと、人形浄瑠璃(文楽)の舞台を見るかのような感覚を味わう」と。絵巻に接する私の印象と非常によく似ています。


 さて私はこれ以外に、特に長谷川等泊作「龍虎図屏風」と尾形光琳作「松島図屏風」をじっくり鑑賞して来ました。(写真:絵葉書より。「龍虎図屏風」右隻の一部)