ゴールデンウィーク期間中なのに引きこもってばっかだと健康に悪いので、行ってきましたサンサン劇場。
本日見てきたのはこの2本。
と、その前にサンサン劇場のファッションリーダーこと秋山殿の勇姿を確認しておきましょう。
今回はスパイダーマンに扮する秋山殿。隣のくまちゃんの周囲になんか紐みたいなものがあると思ったらオクトパスの触手かよ。
ちなみに今日は朝からひっさしぶりの稽古をしてきたので全身筋肉痛でズタボロです……。
ともあれ、感想を書いていきましょうかね。
まずは「アンチャーテッド」。
原作となるゲーム本編は4を除いて以前無料配布されてたアンチャーテッドコレクションでプレイ済み。
公開当時は見よう見ようと思ってて結局見てなかったのでこの機会に鑑賞。
ゲーム原作の映画化がどうなるかというのはこのブログを読んでる人ならわかるというものでしょうが、本作はアンチャーテッドのテイストをしっかりと活かした内容となってて、ゲーム原作の実写化としてはかなりうの合格点を叩き出してたと言っていいでしょう。
そも原作付きの実写映画の成否を分ける点はなにかというと、結局は「らしさ」だと思うんですよね。「らしさ」がないと、実写化映画は原作のガワをかぶせただけの別物になるし、実写化映画の失敗パターンは余計な要素を付け足されたり改変されたりすることで「らしさ」が失われてしまうという。
しかるに本作は、冒頭からいきなり輸送機から貨物といっしょに落下してるネイトというロケットスタートから始まる辺りが実にアンチャーテッド。すでに状況が始まってるところからスタートするので、見てる方は一気に話に放り込まれるというのは原作ゲームでもプレイヤーを一気にゲーム世界に没入させてくれた手法ですが、本作でもその手法を取っているので、もう否応なくアンチャーテッド。
また、個人的にすごいと思ったのが、冒頭のロケットスタートからラストまで、ストーリーの進行がゴールを目指してまったく遅滞せずに進んでいること。
どこかで聞いた言葉なんですが、「カーチェイスをしてる間はストーリーの進行が止まってしまう」というのがあります。つまりこれは、アクションは行われているもののそれがストーリー進行に寄与していないということでしょう。
対して本作では、前述の通りスタートからゴールまで遅滞なくストーリーが進行していき一切突っかかりがありません。しかも、遅滞はないのに緩急はしっかりついているというのが地味にすごい。なので最初から最後まで一気に楽しめました。
内容の配置も良かったと思います。ゲーム本編はDLCも含めると、PS4で4+1本、PSVitaで1本となっていますが、その中からたくさんの要素を抜き出して再構成しているので、余計なものがなく必要なものがきちんと揃っています。
出てくる要素がすべてアンチャーテッドなので、本作を評するならアンチャーテッドの魅力を2時間に凝縮したフルコース料理と言えるでしょう。
しかし、概観してみると本作、確かに紛れもなくアンチャーテッドなんですが、突出した部分がないというか、アンチャーテッドシリーズの持つテーマのどれを主題として掲げているのかがはっきりしない感はありました。原作から取捨選択した要素があまりに平均的で、特にどこを強調したっていうのが見えづらいというか。そこがちょっと残念でしたかね。
次、「スターフィッシュ」。
こちらは例によって例のごとく塚口での上映をきっかけに知った作品で、予告とポスターの紹介文以上の事前情報は一切なし。
でもなんか、自分の中のおもしろ作品アンテナが急激に反応したので見てみることに。
主人公オーブリーは、親友であったグレイスの葬式の帰りに、彼女の思い出を求めてかグレイスの自宅に侵入します。そこで一夜を明かしたオーブリーが外を見ると、世界は一晩にして雪に閉ざされた無人の街に変貌していた……というもの。
オーブリーは、グレイスが残したメッセージから、7本のミックステープに隠されたシグナルを集めることが
結論から言うと、本作における謎はぜーんぜん説明されません。なんで間違いきなり無人になったのか、街を跋扈する怪物は何者なのか、グレイスはなぜ死んだのか、そもそもこの作品世界は現実なのか幻想なのか、などなど、数々の謎には明確な答えは一切示されません。徹底して明確な答えを示すことを避けている。
そもそも本作のタイトルがなんで「スターフィッシュ」=ヒトデなのかよくわからん。
本作はそうした「徹底した不可解さ」「訳のわからなさ」が好きな人にはたまらない作品だと思います。
特に直前に見たアンチャーテッドが非常にわかりやすい冒険アクションモノだっただけに、本作の方はとにかく何もかもが不明瞭。なので正直、こういう作品の感想は書きにくいったらありゃしない。
仕方がないので思いついたことを書いていきますか。
まず本作、明らかに現実離れした内容なのに、冒頭でいきなり「実話に基づく物語」という衝撃的なメッセージが提示されます。また、作中ではいきなり映像がアニメーションになったり、本作の撮影風景が出てきたりといったメタフィクション的な描写も出てきます。
これに関しては、当然本作がそのまま実話に基づいているというわけではないでしょう。じゃあどういうことかというと、これっていわゆる「喪失と再生の物語」であって、作中でオーブリーのみに起こった親友グレイスとの死別のような喪失体験は別段特別なものでもなく、誰の身にも起こりうるということで「実話に基づく物語」ということなんじゃないでしょうか。
そして作中のメタフィクション的な描写は、喪失体験を経験したオーブリーの認識のゆらぎというかショック状態を表現してるんじゃないでしょうかね。
また、本作におけるオーブリーの目的である「グレイスの残したミックステープを探す」というのも、失ったグレイスの足跡をたどることで喪失の受容、そして再生のプロセスを音楽に乗せて描写したものなんじゃないでしょうか。
前述の通り、本作ではいわゆる説明的なシーンはなく、謎は明確に説明されません。しかし、全編を通してみてみるとなんとなーく察することはできると思います。
顔を削られた死体はオーブリーの夫で、顔がないのはオーブリーがその存在を忘れたい、なかったことにしたいからじゃないかとか、街を跋扈する怪物にはなんとなく「水子」のイメージを感じるなあとか、実はグレイスはオーブリーのイマジナリーフレンド的な存在だったんじゃないかとか、トランシーバーから聞こえる声は精神的に自閉したオーブリーに対する外部からの声なんじゃなかろうかとか、まあいろいろ想像はできますが、明確に「これが正解」と指し示すタイプの作品ではないでしょう。
こういう作品に出会えるのも塚口のいいところです。