A Day in The Life

主に映画、ゲーム、同人誌の感想などをコンクリートミキサーにかけてブチまけた、ここはいいトシしたおっさんのブログ。

第20回博麗神社例大祭戦利品レビューその8

2023-07-01 23:38:15 | 同人誌感想
 名華祭新刊も注文したのでどんどん進めていきます戦利品レビュー。
 実は各イベントごとの新刊の他にもDL販売で手に入れた本などなども残ってるなんて口が裂けても言えない。
 
・ムガムビル8(薬味さらい)
 なんだかこないだ7冊目の感想を書いたばかりな気がしますが、続けて8冊目の総集編です。
 今回はけっこう異色な話が多かった印象。それでは収録作品ごとに感想を。
・スワコVSスペーススワコ
 のっけからこれですよ。なんだよスペーススワコって。
 しかし、一見ギャグだとしか思えない導入から「原初の信仰と生命」というシリアスなテーマに踏み込む作品だと思いましたがアノマロカリ諏訪子のインパクトがすごすぎてなにもかも分からなくなりました。
 ところでこの流れだと次はデストロイ諏訪子が来る流れだと思うんですが大丈夫なんですか。
・幽香繚乱
 個人的に風見幽香というキャラクターは、描いた人の妖怪観がもっとも強く出る東方キャラクターだと思ってるんですが、本作における幽香のこの「いちおう人間の姿をしてるけど、その本質はどちらかというと『現象』に近い存在である」というような描き方がとても好き。
 魅力を感じる漫画の条件はたくさんあると思いますが、その中の一つに「キャラの書き分け」があるでしょう。然るに本作に置ける幽香は、その目と表情でもって明らかに他のキャラと比べて異質な存在であることを表現していると思います。この茫洋とした視線、常に軽く微笑んでいるような表情、たまらなく人外感。
 実際本作における幽香の「拡大」は、彼女自身が意図して引き起こしたものでもなんでもなく、いわば一種のシステムエラーだったんじゃないかと思います。
・ゴゥ!ゴゥ!アラウンド
 このサークルさんお得意のダブル、トリプルミーニングなタイトルの全5篇の短編集。
 第一篇:「ハイ完成」じゃないんだよなんだこの邪神像。このサークルさんの作品における諏訪子はもう完全におもしろキャラとしての地位を確立していて笑えます。そして鬼形獣新キャラの袿姫さま&磨弓ちゃんもなかなかのおもしろキャラになる予感。
 第二篇:なんかちょっと前から文は完全に邪悪なキャラになってしまってますが、今回は幼児化&ボコォひぎぃという一般誌にあるまじき特殊プレイの餌食となっています。そして潤美さんの重さの方向性は人によって刺さりそう。
 第三篇:ハイ出ましたこのサークルさんではもはや恒例のコーナーとなったグルメコーナー! 食材はもちろん人肉! 久侘歌に肉を食わせて鳥葬というのはうまいとおもいました。(ダブルミーニング)
 第四篇:このサークルさんのキャラの書き分けが魅力的なのは前述したとおりですが、瓔花のこのぼんやりとした目つきとゆるんだ口元が、いかにも「水子の魂の集合体」といった感じで印象的。この辺からだんだんタイトルに込められた意味に察しがついてきます。
 番外篇:ここでタイトル回収。巡り巡る業というだけでなく、ある種の食物連鎖でもあるわけですね。そして最後のオチが実にエグい。
・からすとうさぎ
 文やはたてといった天狗連中はこのサークルさんが好んで描いている東方キャラという印象ですが、本作ではそこにはぐれ兎と鈴仙という外部要因を置くことで、彼女らが組織・立場に属している/縛られている→そこから脱しようとするキャラであるという側面が強調されていると感じました。
 二次創作の醍醐味の一つが「原作では特に接点のないキャラを絡める」なわけですが、タイトル通りははてと鈴仙の意外な共通点が見えた一編でした。
・マジマジ
 このサークルさんの描かれる作品はいろんな側面で上手いと思うんですが、本作では作中で取り上げられている「資質と素質」「理想と現実」というテーマをメインキャラであるアリスと彼女の操る人形と魔理沙に当てはめ、その上で「本質」という結論に到達する流れが実にスムーズで美しい。このサークルさんの作品はテーマやストーリーラインが重層的でも喉越しすっきりで食べやすいんだよな。あとアリスがドレミーさんもドン引きの妖怪で笑えます。
・PRIMAL FLOWER
 毎回の楽しみである描き下ろし。今回収録の作品はどれも特殊な味付けのものだったのでそれをどうまとめるのかと思ったら「花が咲き乱れる異変を鎮めるためにフラワーマスター風見幽香のレプリカ=造花を作る」というストーリーラインを作るのがまあすごい。
 そしてこのストーリーラインもしっかり収録作をなぞったものになってて、なおかつ最終的にいちばん美味しいところを持っていくポジションに幽香を据えるのがまた上手い。思うに幽香はいわゆる最強キャラの一角なので、ポジショニングが非常に難しいんじゃないでしょうかね。この描き下ろしは、そんな幽香を幹に据えて他のキャラを枝葉としてうまく配置することで地に根を張った安定感のある一本の作品として成り立っていると感じました。
・カバー下
 総集編ももう8冊目ですが、なんかもう諏訪子がすっかり不憫ポジションになってて笑えます。でもそういうポジションのキャラには特殊な信仰が集まるので安心していいと思います。そして魔理沙ちゃんは相変わらずロマンチック。
 
 今日はここまで。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする