Pro house keeper

アメリカのローカルフードを中心に、世界各国の料理レシピを自宅で気軽につくる料理日誌。

フラワーレス・チョコレートケーキ。

2009-02-14 17:31:23 | 料理
本日、ご存じバレンタイン・デーです。
今年はどのスイーツを作ろうかと数日間いろいろ考えていました。
去年は、豆腐ガトーショコラを作って低カロリー路線のケーキでしたが、今年は別路線の低カロリーケーキ、"フラワーレス・チョコレートケーキ"を作ってみることに。

このケーキ、日本ではほとんど知られていない名前のケーキのようですが、欧米では意外にpopularのようです。私も今まで知らなかったのですが、ガトーショコラの変形のようなものですね。

日本で人気の手作りチョコケーキ"ガトーショコラ"もほとんど小麦粉を使いませんが、このケーキはその名のごとく、粉類不使用。オリジナルの御用達料理書のレシピではさらに砂糖も不要で、材料もかなりシンプルです。生クリームも使わないのでカロリー的にもフルファットレシピにしてはかなり抑えられていると思います。

一部の"フラワーレス・チョコレートケーキ"のレシピには粉材料としてアーモンドプードルを加えたりしてあるものもあるようですが、基本的にはチョコレートとバターと卵のみで粉材料系は一切なしが常道。

作り方も材料もシンプルなのですが、レシピによってかなり違いが大きいお菓子らしい。一歩間違うと、ブラウニーやスフレ、カスタードクリームやムース状態のケーキになってしまうようです。

このケーキの理想の食感はNYチーズと"Murquis au chocolat"を足して二で割ったようなものとのこと。つまり、ちょっとふんわりとしたクリーミーなムース感と重厚で口どけのよい風味を持ったケーキという感じ。と言われてもよくわかりません。。。

食べたことも見たこともないので、とりあえず作ってみることにしました。

まず、型の底にオーブンペーパーを敷き、側面には油を塗っておきます。湯煎焼きにするので、型の周りをアルミ箔で覆っておきます。

ボウルに卵を割り入れ、泡だて器でふんわり、もったりとするまでしっかり泡立てます。通常だと、共立ての場合でも手動泡立てのため、別立てにするのが私流なのですが、御用達料理洋書の解説によれば別立てより"共立て"にすると仕上がりが違うらしく、今回は特別に"共立て"にしてみました。

さらに日本では"共立て"の場合、温めると泡立ちやすいので、通常湯煎しながら泡立てる方法が推奨されるのですが、御用達洋書には冷たい状態の卵で泡立てるようにとのこと。理由は気泡が細かくしっかりと泡立ち、なめらかな食感になるとか。日本と全く逆の推奨方法でアメリカンレシピにはいつもながら驚かされますね。
冷たいと時間がさらに泡立てに労力がいり、ちょっとしたエクササイズになりました。

泡立てながらチョコレートを湯煎で溶かし始めます。鍋に湯を沸かして、その上にボウルをのせ、チョコレートとバター、インスタントコーヒーの粉を加えて溶かします。電子レンジを使う場合は、先にチョコレートだけを少し溶かしてからバターとコーヒーを加えて再加熱するように指示してありました。

さらに湯煎で溶かす場合は、チョコレート液の温度を46度まで上げるように指示。

今回もお手軽に板チョコを使っています。味はビターかセミスイートを推奨。今回はビターを使いました。もちろんスイートチョコでもいいのですが、このケーキはどちらかというと大人のケーキのようで、甘さが控えめな方が合うようです。

ちなみに甘さ控えめと言っても、"無糖チョコレート"を使うのはこのケーキにはN.G.とのこと。無糖チョコは日本では見かけたことはないですが。。。
滑らかさ、食感ともにややざらつき、もろく崩れるようなケーキになるらしい。
と言うのも、無糖チョコレートはキメがもともと粗いようで、混ぜ加える砂糖を溶かすためにかける高熱でチョコレートを変質させ、なめらかな食感を引き出せる者らしい。つまり、ホットチョコレートソースなど高温加熱する手順がある場合は有効な材料だとか。

今回の場合、チョコの湯煎温度は65℃程度とマイルド。よってビターやセミスイートチョコレートの方が、じわじわと加熱する方式には合っているらしい。チョコと砂糖を低温で溶かして混ぜることで、口内センサーよりも小さな粒になり、滑らかさを感じるようです。

温かいバターチョコ液に泡立てた卵の1/3量を加え、ゴムべらで卵液の筋が多少残る程度まで混ぜ、再度1/3量を加えます。同様に混ぜ、最後の1/3量の卵液を加えたら、全体がきちんと混ざるまで手早く混ぜ合わせます。
やはり泡立てた卵を油分と合わせるとあっという間にしぼんでしまいますね。もともと大きく膨らませるケーキではないのですが、ふくらみに影響しないかとやや心配でした。

すぐに準備した型に生地を流し込み、表面をヘラでならしてから、160度に予熱したオーブンで湯煎しながら10分程度焼きました。
今回はNYチーズケーキと同様の焼き方で湯煎しながら低温長時間焼成をし、見極めは時間よりも中心部分の温度を直接測って決めます。これがアメリカンレシピの良いところ。一目瞭然でわかりやすく、失敗がない。

アメリカでは卵は生食する習慣はないので、卵を加熱してサルモネラの殺菌が必要です。よってケーキを焼く場合は低温焼成といっても殺菌できなければなりません。
71度がサルモネラの殺菌可能温度。でもこの温度まで中心部分を加熱すると食感がぼそぼそになり、加熱オーバー。
もう一つの方法が60度5分以上でも殺菌可能なため、こちらの手法で今回のケーキは焼いているようです。

とりあえずケーキを10分程度焼いて、表面に膜が張ったようにやや固まり、ツヤが出てきたら中心部分に温度計を刺して測ります。60度に達していたら、オーブンから出し、湯煎も外して、型のままラックにおいて室温で冷まします。室温で冷ましている間も余熱で外側から内側に熱が広がるため、中心部分の温度は60度を5分は保てるらしい。よって殺菌は可能とのこと。日本では生食できる新鮮な卵を使えば、ケーキの状態の方に目を配って、温度はそれほど気にしなくてもよいのですが。。。
まあ、数値判断できるので何が目的にしても、失敗がなくていいですが。。。
室温までケーキが冷めたらラップして一晩ケーキを寝かせます。焼きたてはまだ柔らかいですが、冷えると固まってきます。

食べる前に型の周囲にナイフを入れて型をはずし、粉砂糖を振って完成です。
やはり当日食べないのがアメリカンケーキの王道ですね。

よくあるガトーショコラのレシピだと、焼いている間に膨れますが、冷めると表面にひびが入って割れ、へこんでしまいます。
このケーキは、それほどもともと膨れませんが、冷めてもへこまず、ひび割れずに形はきれいです。ケーキは薄めですので、もう少し高さを出したい場合は小さな型で量を多めに作るといいかも。一人分ずつ小さく作ってもいいかもしれませんね。

本来はバレンタインデーの夕食後に食べようと前日に作ったのですが、当日は旦那さん飲み会のため、夕食不要とのこと。急遽、昨日の夕食後に食べてみることに。

切り分けて、生クリームの変わりに水きりヨーグルトを添えてみました。
食感は濃厚なチョコ風味ですが、甘さが控えめで上品な味。市販の100円板チョコですが、高級な味になっていました。
食べる前1時間くらいは冷蔵庫から出して常温に戻しておくとよいのですが、時間の関係上、10分くらいしか戻せなかったのもあり、やや中心部が固かったのですが、焼き具合はよかったように思います。

粉不使用ですが、クラムはキチンと出来ていて、詰まって重いですが、チョコレートの塊ではなく、口に入れるとスッと溶けて、なめらかな食感のケーキです。
市販のチョコケーキは、ボリュームはあるもののぼそぼそ感の強いものが多いのですが、このケーキはずっしりとして確かにアメリカンレシピのNYチーズケーキ的な食感でした。

本日の朝、もう一度食べてみると、さらに味が良くなっていて、キチンと常温にもどしておいたこともあり、かなり上品な生チョコ的ケーキになっていました。
前日はそれほどでもなかったダンナさんの評価も一晩寝かせた完成ケーキには大絶賛。味の信頼性は高いものと思われます。
市販のぼそぼそチョコケーキはもう食べられませんね。

作り方も材料も簡単ですので、一度お試しください。

このチョコレートケーキを作ってみたい方はこちらを参考にしてください。↓
Cpicon フラワーレス・チョコレートケーキ。 by PCWP


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