かっこうのつれづれ

麗夢同盟橿原支部の日記。日々の雑事や思いを並べる極私的テキスト

本当に子供達はおかしくなっているのか?もっと判断できる数字を出して欲しい。

2005-09-23 23:28:03 | Weblog
 小学校が大変な状況になっているとか。子供達が、ちょっとした注意などをきっかけに暴力をふるう「事件」の発生が急増しているそうです。全国ワーストの大阪では、「学校が荒れていることは否定できない」とか「今の子が判らない」とか、教育委員会や現場の教師達の悲鳴が上がっているそうです。ただ、私としては、新聞に出ていた数字、即ち「2004年に全国で1890件」発生、1997年からの調査で最悪の数字というデータがどこまで「最悪」な数字なのか、理解できないでおります。調査開始時点の発生は1300件位、以後1500件から1200件くらいで推移していて、03年が1600件、04年が1890ですから、増えたと言われれば増えたとも言えます。ですが、グラフに書いてみれば判るように、飛び抜けて増えているわけではない。統計学的な解析で増加が有意に認められたというならともかく、これでは大して言えることはないのではないでしょうか? それにひどいのは掲載しているグラフ。新聞のグラフは起点が0じゃなくて1200件からにしているんで、妙に1800件が多いように見えます。でもこれは、急増しているように見せたいがための強調表示でしかありません。0を起点にグラフを書けば、もっと違った見え方をするはずです。
 また、その数字にしても、本当は「事件」が増えたのではなく、色々認識が深まってきて報告される事例が増えただけなのかも判りませんし、校内暴力の定義が調査時点から変化して、かつては暴力と認めなかった事も暴力として認定するようになったのかも知れませんし、あるいは現場によってどこからどこまでを「校内暴力」と認めるかという閾値が違うのかも知れません。それらの背景をしっかりおさえて記事にしてくれないと、どうも疑問だらけの数字にしか見えないのです。また、大阪が全国最悪、という見出しも疑問です。数字を見ると、高知県が28件、島根県が47件、我が地元奈良県でも70件と言う数字に対して大阪は320件、とこれだけ見ると桁違いに多いように感じるんですけど、それぞれの都道府県の小学校の数や児童数などの基礎数字はどこにもありません。当然ながら全国有数の人口密集地帯の大阪と、島根や我が地元のような田舎とは、小学校の数も桁が違うと想像されます。もし大阪に比べて奈良の学校数が10分の一しか無かったなら、奈良の発生率は大阪のざっと2倍となり、最悪の都道府県は奈良県でした、何て言う結果が出かねません。つまり、客観的に大阪が最悪かどうかは、件数だけでは判断できないはずなのです。それなのにこういう見出しを平気で付ける感覚が、私には理解できません。客観的にデータを取って、そのデータに基づき対策を練るというのは文系だろうが理系だろうが関係ない共通の基本だと思うのですが、データの信頼性や扱い方に関しては、大きな溝があるように感じられます。大阪の事態を何とかしないと、という意気込みがこういう紙面を生み出すのでしょうけど、もっと冷静に数字を読み解くようにしないと、結局問題解決のために見えてこなくてはならないものが、データから拾えなくなるでしょう。しかも、ある校長の話として「暴力シーンの登場する漫画やテレビの影響が・・・」などとまたしても書いてある。人物が特定できない「ある校長」という書き方からして胡散臭いですし、それがこの事態の一因だと読者をミスリードするような書きっぷりには呆れるやら怒りを覚えるやら。マスコミの情けない一面をこれでもかと見せつけるような内容には心底あきれかえってしまいました。いい記事だってたくさんあるのに、どうしてこういう困った記事が無くならないのでしょうね。

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 何と日本で「デスティニー計... | トップ | 話がいきなり最終決戦なのは... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事